大阪府堺市にある百舌鳥(もず)・古市(ふるいち)古墳群が2019年7月、ユネスコの世界遺産に登録された。

この世界遺産登録が古墳ブームに拍車をかけたわけだが、奈良県では古墳好きにはたまらない、こんなケーキが販売されているのをご存じだろうか。


発掘したくなる(画像はプティ・マルシェ提供)

これは「ならまち菓子工房 プティ・マルシェ&ぷちまるカフェ〜」(Petit Marche)で提供している「古墳型ケーキ」。緑色のフカフカ古墳に、添えられたスコップ型のスプーンの組み合わせがかわいい。

古墳型ケーキはSNSでも好評で、ツイッターでは、

「見た目だけかと思っていたら...おいしー!!!中の人も発掘出来るしさいこーなスィーツでした」
「中の三段築成も楽しいし、周囲の円筒埴輪(メレンゲ)も美味しい」
「勾玉、土器片出土には興奮を覚えました」

といった声が寄せられている。見た目や味だけでなく、中から出土品に見立てたナッツが発掘できるのも人気の理由の一つだ。

「メレンゲはにわ」も付いてくる

現在販売しているのは1基 800円(税抜)の小型古墳ケーキと、4〜7号サイズの大型ケーキ。スポンジとチョコクリームを使って前方後円墳の形にし、表面には抹茶スポンジを砕いたものをまぶしている。

中にはカシューナッツ(イメージ:勾玉)、ピーカンナッツ(土器片)が入っており、大型サイズでは、クッキー(鏡の破片)やフルーツ(バナナ)も加わる。周囲はメレンゲ(円筒はにわ)で囲うなど、盛りだくさんのケーキだ。


説明書も付いてくる(画像はプティ・マルシェ提供)

Jタウンネットは11月19日、プティ・マルシェの店主・中島智加さんに詳しい話を聞いた。

中島さんによれば古墳型ケーキが誕生したのは2011年。初めて作ったものは大きめサイズだったという。

「私も古墳が好きで、古墳を紹介するテレビ番組を見ている時に、古墳の断面がケーキの断面に似ていると思いました。
その時から古墳の形のケーキを作る機会を伺っていたのですが、2011年6月に奈良が好き・考古学が好きという知人がお店を開くことになり、この人なら喜んでくれるだろうと開店祝いに大きな前方後円墳型のケーキを贈ったのが第1号の誕生です」(中島さん)

その後は年に数回、誕生日用として大型古墳ケーキの注文を受け付けていた。

ツイッターにアップした写真を見たユーザーらの要望を受け、2013年10月からは秋恒例の正倉院展(奈良国立博物館)の開催期間限定で小型ケーキを販売。その写真もツイッターにあげたところ、古墳型ケーキを求めて多くの客が店に訪れ、瞬く間に人気商品に。徐々に販売日を増やし、現在は正倉院展に関わらず販売している。

店舗では撮影用の埴輪のおもちゃを貸し出すなど、インスタなどに写真をアップしたい人向けへの気遣いが感じられる。中島さんは古墳型ケーキの人気の理由の一つを、「古墳を掘るという背徳感のようなものもゾクゾクさせるのかもしれません」としている。

古墳型ケーキは公式サイトにある専用予約フォームからの事前予約が推奨されている。

中島さんは古墳型ケーキの人気ぶりについて、

「とても嬉しいですが、古墳に興味がある方が全国にこんなに大勢いらっしゃるとは思ってもいませんでした。古墳に興味を持つきっかけとして、歴史書や史跡だけでなく、ケーキという入口から入って頂くのもまたいいのではないかと思っています」

と話している。