2001年以降の選手たちで構成される今回のチームは、発足して約10か月。2017年のU-17ワールドカップ組は山粼大地(順天堂大)のみで、アジア予選出場者も松本凪生だけで経験はまだまだ浅い。だが、成長を待ってもらえるほど時間はない。同世代の久保建英(マジョルカ)はすでにA代表に招集されており、このチームに加わる可能性は低いが、山本理仁(東京ヴェルディ)や斉藤光毅(横浜FC)など所属クラブの関係で招集できなかった面々もいる。来年には今秋のU-17ワールドカップ出場組も合流するはずで、西川潤(桐光学園)、若月大和(桐生一)、鈴木彩艶(浦和レッズユース)、半田陸(モンテディオ山形)らが虎視眈々とメンバー入りを狙っているのは言うまでもない。
 
 選手たちも自分たちの立ち位置を理解しており、危機感は持っている。

「(U-17ワールドカップに出場した藤田譲瑠)チマに負けないようにして、視線を引き付けられるようにしたい」(石浦)

「最終予選に勝ち上がれたので、自分のチームに帰ったら、勝たせられるように努力をしたい。そういうのが結果につながれば、アピールになると思う。(来季から浦和に入団するけど、)プロの世界でもしっかり試合に出て結果を残していきたい」(武田英寿)

 今回のベトナム戦は不甲斐ない内容だった。だが、これで黙っている選手たちではないだろう。簡単に引き下がるようであれば、このピッチに立ってないし、世界では戦えない。

 影山監督は最後にこんな言葉を残した。

「今回はあまり一人ひとりに『あの時はこうだったから』というフィードバックはしない」

 選手たちはメッセージをどう受け取るのか。指揮官はアジアの厳しさを痛感した彼らの成長を誰よりも待ち望んでいる。

取材・文●松尾祐希(フリーライター)