英記者はラグビーW杯を通して日本文化にもスポットライトを当てた【写真:石倉愛子】

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渋谷をクローズアップ、スクランブル交差点で「混乱した経験」も紹介

 ラグビーワールドカップ(W杯)日本大会は成功裏に幕を閉じた。海外メディアは大会を振り返る特集を続々と組んでいるが、英最大手の衛星放送「スカイスポーツ」は大会を取材した記者が、実際に肌で触れた日本文化を振り返る大特集を掲載。その中で渋谷のスクランブル交差点とともに、ハチ公像についてクローズアップしている。

「2019日本ラグビーW杯でのユニークな経験」との見出しで特集された記事では、取材した記者が大会期間中に触れた日本についてレポート。温かいトイレの便座や緻密な電車のダイヤなど、様々な体験を母国のファンに伝えているが、心に残った街の一つが渋谷だったようだ。

「仮に東京の代表的な場所を挙げるとするならば、それは渋谷のスクランブル交差点だろう」と切り出すと「地球上で2番目に利用者の多い列車駅が渋谷。5本の横断歩道があり、それによって、あらゆる方向へ移動できる。3つの巨大なスクリーンが24時間ずっと映像を流し、移動する人々が殺到するので人混みが最高潮に達している」と観光客の定番スポットを紹介した。

 ただ、戸惑いもあったという。「混乱した経験としては、どんな時でもこのスクランブル交差点で一度に3000人の人が歩いていることだ」と記述。1日50万人がスクランブル交差点を利用していると紹介した上で「もしニューヨークを『眠らない街』と表現するなら、東京は『止まらない街』と表現できるかもしれない」とつづった。

ハチ公像に興味「歴史上最も尊敬された犬であるのだ」

 その理由には「早朝5時だろうが、深夜11時だろうが、車は多いし、遊牧民のような人々は速いペースでどんどん歩いている。道はカオス状態なのである」と記した。記事では、別の項目で渋谷の象徴であるスポットについてもクローズアップしている。それが、ハチ公像だった。

「尊敬と誇りについて最高度の国である、その中でもハチ公像以上に注目を集めたものはない」と指摘。「ハチ公というのはある秋田犬のことで、時代を超越した物語の主人公として褒め称えられている。約10年間、毎日、亡くなった飼い主を迎え待とうとして渋谷駅に通い続けたという犬なのだ」と背景を伝えた。

「忠誠を表すこの心に突き刺さるような銅像は日本人の琴線に触れ続けている。ハチ公はそのシンボルとして存在感を示している」とした上で「ハチ公の死から59年経った1994年の5月、ハチ公の吠える声を記録した音声が作成された。その結果、何百万人の人がラジオを通してハチ公の吠え声を聴くことができた。ハチ公は確実に、歴史上最も尊敬された犬であるのだ」と評した。

 記事では、ハチ公像が渋谷の待ち合わせスポットとして認知され、毎日10万人が利用。記念写真を撮る人で列ができることも伝えた。日本で多くの人が集まる「Shibuya」の街と文化に、ラグビーの母国の記者も高い関心を抱いたようだ。(THE ANSWER編集部)