南アフリカに敗れた日本は8強で敗退【写真:荒川祐史】

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ファンの視線を集めたシーン、試合後に明かす「下向く必要はない」

 ラグビーワールドカップ(W杯)日本大会は20日、東京スタジアムで準々決勝が行われ、日本と南アフリカが4強入りをかけて激突。過去2度の優勝を誇る強豪に対し、日本は健闘及ばず3-26で敗れ、涙をのんだ。試合後、選手たちは円陣を作り、リーチ・マイケル主将が声をかけた。ファンの視線をくぎ付けにした場所で何を語ったのか。

 試合後のピッチ上で、あるシーンが生まれていた。敗れた選手たちが輪を作り、円陣を組む。田村が、稲垣が、松島が……。何人もが涙を流し、肩を組む。そんな輪に向け、声を発しているのがリーチ主将だった。歴史的快進撃を演じた選手たちを鼓舞するかのように、何事か力強い表情で声をかける。選手たちもしっかりと言葉をかみしめ、しっかりと受け止めていた。

 9月20日、ロシアとの開幕戦からちょうど1か月後の10月20日。日本の夢の30日間は終わり、これが“最後の円陣”となった。大会公式ツイッターも動画付きで公開し、感動を呼んだシーン。いったい、何を語りかけていたのか。リーチ主将は試合後の会見で言葉の数々を明かした。

「下向く必要はない」

「胸を張って」

「このチームを作って、キャプテンとして誇りに思っている」

「選手、一人一人も誇りに思うべき」

「(今後の)態度、姿で見せることが大事」

涙ながらに聞いた稲垣も感銘「その話を聞いて、僕も…」

 南アフリカに完敗こそ喫したが、日本中の期待を背負い、1次リーグ4連勝で史上初の決勝トーナメント進出した輝きは褪せることはない。すべてを犠牲にして取り組んできたことを誇りに思うように、主将の立場から訴えていた。

 さらに、涙ながらに言葉を聞いていた稲垣は、リーチの言葉として「このチームを誇りに思う、と。この1年間だけでも250日以上一緒に生活してきて、本当に家族のように思ってきた。そのチームが次に試合ができなくなるのは寂しいけど、自分たちの今までやってきたことを誇りに思おう」と話したと明かした。

「その話を聞いて、僕も家族同様に思っていましたし、次、このメンバーでもう試合をすることはないんだなっていう寂しさは感じましたね」と稲垣。敗れてなお、最後まで日本は「ONE TEAM」であり続けた。それを象徴するようなシーンだった。(THE ANSWER編集部)