外国人に道を聞かれたときなんかに「英語を話せるようになりたいなぁ」と思ったことはありませんか。

しかしいざ勉強しようと意気込んでも、「何をやればいいかわからない」「勉強する時間がとれない」など、越えるべきハードルは山積み。忙しいビジネスパーソンとしては、なんとか短期間でラクに英語を身につける方法を知りたいところ。

留学経験なしで10カ国語をマスターしたという秋山燿平さんによれば、英語(言語)の習得は3カ月でできるらしい。

…本当にそんなこと可能なんでしょうか?

秋山さんに、3カ月で日常英会話をマスターする超効率的な英語習得法を聞きました。


【秋山燿平(あきやま・ようへい)】東京大学薬学部卒、現在はIT会社に務める。海外在住経験なし、留学経験なしで、独学で複数言語を習得したマルチリンガル。英語、中国語、フランス語、スペイン語などのメジャーな言語をはじめ、ポルトガル語、アラビア語など、合わせて10カ国語を話し、うち4カ国語(英語、中国語、フランス語、スペイン語)はビジネスレベル。著書に『純ジャパの僕が10ヶ国語を話せた世界一シンプルな外国語勉強法』(ダイヤモンド社)、『集まる! 刺さる! SNSでウケる中国語』(明日香出版社)がある

英語の学習でもっとも大事なのは、挫折を防ぐこと

いちかわ:
秋山さんは、日常会話レベルで10カ国語を話せるマルチリンガルだと伺いました。大変失礼ですが…本当ですか?

秋山さん:
日本にいながら10カ国語を習得しました。英語は中高で勉強していたのでゼロからとは言えませんが、それ以外の言語はすべて独学ですね。


【秋山さんが話せる言語と所有している検定】

・日本語
・英語(TOEIC950点)…ビジネスレベル
・中国語(HSK6級)…ビジネスレベル
・スペイン語(DELE B2)…ビジネスレベル
・フランス語(フランス語検定2級)…ビジネスレベル
・イタリア語…日常会話レベル
・韓国語…日常会話レベル
・ポルトガル語…日常会話レベル
・アラビア語…日常会話レベル
・インドネシア語…日常会話レベル

※2019年9月現在

いちかわ:
10カ国語ってすごいですね! それだけたくさんの言語を身につけたということは、習得にはあまり時間をかけてないってことですよね。

秋山さん:
そうですね。たとえばフランス語は3カ月の独学で習得し、現地で問題なくコミュニケーションをとれた経験があります。ほかの言語もたいてい3カ月あれば日常会話ができるレベルまで習得できました。

決して難しいことをしているわけではないので、誰でも3カ月あれば日常会話レベルの英語を身につけられると思います。

いちかわ:
でも3カ月ってかなり短い気がするんですが…

秋山さん:
もちろん、学校での英語の授業と同じ感覚で勉強していたら無理ですね。

日本は日本語だけで生きていける国なので外国語を必要とするプレッシャーが弱く、中途半端な目的意識で「なんとなく」始めても、ほぼ間違いなく挫折してしまいます。これを防がないといけません。

いちかわ:
よくあるケースですね。

秋山さん:
なので明確な目的意識を持ち、できる限り早く実践へ移って成功体験を積むことが大事なんです。

そうして早い段階で「もっとしゃべれるようになりたい」とポジティブに思えれば、英語を習得するモチベーションになり、3カ月で会話もできるようになるはずです。

英語学習の挫折を防ぐ方法

挫折を防ぐ方法 目指すゴールを明確にする

いちかわ:
正直なところ、まだ半信半疑なんですが…日常会話レベルの英語を3カ月で習得するのを目指すとして、まずはじめに何をすればいいんですか?

秋山さん:
まずはゴールを明確にしましょう。

たとえば「外国人に観光案内ができるようになる」とか「海外旅行先で英語だけで話せるようになる」でもいいです。

なぜ英語を身につけたいのかをふまえて、ゴールが本心から目指したいものになっていれば、それがモチベーションになります。

挫折を防ぐ方法 インプットは最低限に抑えて実践に移る

秋山さん:
そして挫折を防ぐ最大のポイントは、インプットだけの期間をできるだけ短くすること。すぐに、外国人と話して実践経験を積むフェーズに移りましょう。

はじめのインプットは全体の 1割ぐらいに抑えるイメージです。


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⊆汰 ⇄ インプット(9割)

いちかわ:
一般的な学習方法とはだいぶイメージが違いますね。インプットだけのフェーズ( 砲任呂世い燭い匹譴らいの暗記量が必要なんでしょう?

秋山さん:
僕は200単語・30表現を覚えたら、実践(◆砲飽椶襪海箸鮨箴しています。中学校の必修単語数が約1200単語と言われてますから、それより圧倒的に少ないですね。

いちかわ:
そんなに少なくていいんですか!?

秋山さん:
はい。なぜなら「必修」と言われていても、日常会話では不要なものも多いんです。

なのではじめに覚える量は一気に省いてしまって、実践を積みながら足りない部分を補うほうが効率がいいんです。

超効率的英語習得法 最低限の単語・表現を覚えよう

いちかわ:
では、最初のインプットのフェーズで押さえるべき内容を教えてください!

秋山さん:
もちろんどんなゴールを目指すかによって多少ズレはありますが、万人に共通して必要な単語・表現があります。

僕はこれを、泳ぐための最低限の手法「犬かき」にたとえて「犬かきの単語・表現」と呼んでいます。

いちかわ:
具体的にどういったものですか?

秋山さん:
「犬かきの単語・表現」にあたるのは、「自己紹介」「趣味」「日本」の3種類に分類できます。

2つ目までは当たり前かもしれませんが、3つ目も意外と大事。初対面の外国人と話すとなると、高確率で自分の国について聞かれます。日本について話すための単語・表現は知っておきましょう。

僕の著書に万人が使える単語200個と表現30個を掲載しています。自分で「犬かきの単語・表現」をピックアップするのがめんどくさいという方は、それを参考にしてみてください。


「犬かきの単語」の一部

買う:buy
働く:work
天気:weather
少し:a little
多分:maybe
あとで:later
どのように:how
〜へ(目的地を表す):to


「犬かきの表現」の一部

〜する:I 動詞
〜できる:I can 動詞
〜だった:I was 〜
あなたは〜したことがありますか?:Have you ever 過去分詞 〜 ?

秋山さん:
本にも書いてない単語や表現については、ゴールに応じた自分専用の単語帳をつくって覚えることをおすすめしています。

文法もほとんど勉強しなくていい

いちかわ:
英語を学ぶ際には文法も大事ですよね。これも最低限に絞って覚えればいいんでしょうか?

秋山さん:
そうですね。文法については、ほぼ知らなくても大丈夫なくらいです。

いちかわ:
えっ!?

秋山さん:
仮にbe動詞がわからなかったとしても「I Japanese」で相手にだいたい意味は伝わるし、goの過去形がわからなかったとしても、文脈で過去の話をしていると伝わると思うんですよね。

なのでコミュニケーションがとれるようになることを目標としている場合は、文法の優先度はかなり低いです。

いちかわ:
とはいえ、まったく知らないと厳しいですよね…?

秋山さん:
そうですね。文法については、先ほどの「犬かきの単語・表現」と同じで、伝えたい内容に必要なものを逆算的な発想で覚えましょう。

たとえば「京都へ行った」と過去の出来事を伝えたいと思ったタイミングで、過去を表現する文法を覚えるイメージです。

いちかわ:
いわゆる「文法書」みたいなものに沿って勉強する必要はないんですね。

秋山さん:
もちろん最終的にそういったものをマスターしているに越したことはありません。

でも「下手な英語を話しちゃいけない」とインプットに時間をかけて挫折したら、元も子もありませんよね。

いちかわ:
た、たしかに…。

秋山さん:
最初のインプットのフェーズはとにかく早く終えて、実践に移ることが大事。はじめから完璧を目指す必要はありません。

超効率的英語習得法 言語交換アプリで外国人とやりとりする

いちかわ:
でも実践したいと思っても、日本にいながら外国人と知り合うことって難しいような…

秋山さん:
実はスマホで知りあえるんですよ。僕が活用していたのは「言語交換アプリ」です。

いちかわ:
言語交換アプリ?

秋山さん:
これは自分の母国語と勉強したい言語を登録することで、逆の設定の人とマッチして、お互いに言語を教えあえるアプリです。

たとえば日本人が英語を学びたい設定にしておくと、日本語を学びたい英語が堪能な外国人とマッチします。講師に教えてもらうわけではないので、基本的には無料で学べます。

いちかわ:
それはコスパがいいですね! 言語交換アプリって、いろいろあるんですか?

秋山さん:
代表的なのは「Hello Talk(ハロートーク)」と「tandem(タンデム)」で、僕はHello Talkを使ってました。

使い心地はLINEのような感じで、スキマ時間にメッセージのやりとりができるんです。相手は日本や日本語に興味がある人なので、下手な英語にも寛容な対応をしてくれます。


画像は「Hello Talk(ハロートーク)」のスクリーンショット

秋山さん:
もしわからない箇所があれば、アプリ内の翻訳機能も使えます。テキストのやりとりなら、自分のペースで勉強しながらコミュニケーションできるのがいいですね。

いちかわ:
テキストの送りあいしかできないんですか?

秋山さん:
いえ、2種類の音声のやりとりも可能です。ひとつは保存した音声を送る形式の音声メッセージ、もうひとつは音声通話。

英語の習熟度に合わせてチャレンジしていけば、比較的ラクに実用的な英語が身につけられるはずです。

超効率的英語習得法 オンライン英会話でさらにレベルアップ

秋山さん:
ただ、言語交換アプリにもデメリットはあります。

お互いに言語を教えあうサービスなので、自分も日本語を教えないといけませんし、やりとりが途中で途切れてしまう可能性もあります。

いちかわ:
無料で学べる代わりに、少し面倒なことも発生するのか…

秋山さん:
そこが気になるようであれば「オンライン英会話」もおすすめです。

優秀な講師に有料で英語を教えてもらう形式なので、自分の要望に沿って質の高いレッスンを受けられます。

いちかわ:
具体的にはどんなレッスンが受けられるんでしょう?

秋山さん:
だいたいのサービスではレベル別のオリジナル教材が用意されていて、それを元に会話の練習をすることになります。

たとえばオンライン英会話の大手「DMM英会話」では、最近のニュースにもとづいた教材や世界の文学についての教材などがあります。

出典 https://eikaiwa.dmm.com
画像はDMM英会話公式サイトのスクリーンショット

いちかわ:
フリートークが苦手でも教材があれば話しやすそうですね。

丁寧に教えてもらえそうですが、どれくらいの価格なんでしょうか?

秋山さん:
だいたい月額5000〜6000円で毎日レッスンが受けられます。「DMM英会話」のスタンダードなプランだと月額6480円。毎日受けた場合、1レッスンに換算すると209円です。

いちかわ:
思ってたより安いです! 逆にレッスンの質が不安になるくらい…

秋山さん:
オンライン英会話には人件費の安い国の講師が多いんです。おかげで質を保ちながら、安くサービスを提供できているみたいですね。

もし「このくらいの価格なら自己投資してもいいかな」と思えるなら、オンライン英会話はかなりおすすめです。

超効率的英語習得法 頻出の単語・表現だけ追加で覚えていく

いちかわ:
実践経験を積みながら、インプットも並行で進めるんですよね。基本的には新しく出会った単語などを覚えていくイメージでしょうか。

秋山さん:
ここでも大事なのは、覚える対象は必要最低限に絞ること。新出の単語・表現をすべて覚えようとしてもかなり難しいですからね。

いちかわ:
覚えるべきかどうかは、どう判断するんですか?

秋山さん:
「言い換えができるもの」と「使う頻度が高くないもの」は覚えなくて大丈夫です。

たとえば、言い換え可能な単語に「huge(巨大な)」があります。これは代わりに「very big」と言っても最低限の意味は伝えられますよね。

また、「今後使うことはないだろうな」と感じるレベルの単語であれば、同様に覚える必要はありません。

初心者はとにかく覚えることを必要最低限にしたほうが、楽しみながら上達できるはずです。

いちかわ:
やっぱり、とにかく実践重視なんですね。

秋山さん:
はい。コミュニケーションは完璧じゃなくていいんです。

今や英語は世界共通の言語で、いろんな国の人がしゃべってるじゃないですか。当然ながら習熟レベルは様々ですし、どの国の英語にも母国語なまりや個性があります。

シンガポール人の英語は個性的で「シングリッシュ」と呼ばれてるくらいです。

いちかわ:
そうなんですか!

秋山さん:
なので少しくらい不格好でも、まったく問題ありません。

とにかく場数を踏むことで「自分は英語でもコミュニケーションができる」という自信になって、さらにレベルの高い英語を身につけるモチベーションにもなると思いますよ。

秋山さんが繰り返していた「(ムダなことは)覚えなくていいです」という言葉に、背中を押してもらえた取材でした。

苦痛に感じるインプットは最低限に抑えて、コミュニケーションを楽しみながら英語を学びましょう! 難しそうに感じる英会話は、意外と簡単に身につけられるかもしれませんよ。

〈取材・文=いちかわあかね(@ichi_0u0)/編集=葛上洋平(@s1greg0k0t1)〉

秋山 燿平(Yohei Akiyama) (@yohei_akiyama) | Twitter
https://twitter.com/yohei_akiyama

【公式】秋山燿平
https://www.yohei-akiyama.com/