『偽装不倫』は日テレの悪い癖、『Heaven?』は痛々しい? フジで他局ドラマがボロクソに
地上波の平日の情報番組は、朝4時に始まる。だが、フジテレビは、BSフジで放映中の『クイズ!脳ベルSHOW』が再放送されている。そして、土曜日の早朝に放映されているのは、自社プログラムの1週間を総括する『週刊フジテレビ批評』。渡辺和洋と山中章子の両フジアナウンサーによる生放送だ。
30分番組。冒頭は、フジでその週に放映された番組を観た視聴者から寄せられた意見を紹介する「テレビウィークリー」。中盤は、テレビにまつわる疑問を解決する「ハテナTV」。後半は、「The批評対談」。テーマに合った見識者にインタビュー、座談会といったナマの声を届けるコーナーだ。ここで、番組改編期ごとに展開されるのは、“ドラマ徹底批評”だ。
出席者は、毎回同じ。『日刊スポーツ』の梅田恵子芸能記者。ドラマ解説者の木村隆志さん。辛口ライターの吉田潮さん。この強者の中に、「ハテナTV」を受け持つ久代萌美アナが加わる。全局のドラマ初回を必ずチェックするほどのドラマウォッチャー、というのが起用の理由だ。3人の辛口批評家と、最年少で唯一20代の局アナ。久代アナだけがセーフティーネットで、甘口という構造だ。
木村さんの分析によると、今クールのドラマは「原作ありきで安全路線」。そんな中でも、4人が声をそろえて絶賛したのは、上野樹里主演の月9ドラマ『監察医 朝顔』(フジ系)だ。吉田さんは、「イケメンが1人もいない」ことを理由にあげ、物語展開、キャスト、東日本大震災と絡める設定の妙にも賛辞を送った。
対して“口撃的”なのは、漫画家・東村アキコ原作で、杏主演の『偽装不倫』(日本テレビ系)。プライベートでは、元モデルで俳優・東出昌大との間にもうけた3人の子どもとハッピーな毎日を送る杏。番宣ではそのリアルを、嬉々と語っていた。しかし、本作で演じるのは、32歳で独身、婚活で失敗続きのモテない派遣社員。解離性を抱いて当然だ。
そもそも日テレドラマには、悪い癖がある。吉田さんはその理由に、「東村アキコ原作を変えてしまう」ことを挙げる。17年1月期に放映された『東京タラレバ娘』が、その一例だ。同作は、“たら・れば”ばかりを並べて、ほんとうの幸せをつかめない女性3人が主役。ストーリー展開の肝となる女性たちの平均年齢が、ドラマで下がっているのだ。結果、旨みや鮮度とともに、視聴者からの共感も手離した。
批評軍の3人+1人は、本音勝負。居丈高と取られかねない。そのリスクを背負っても、石原さとみの主演ドラマ『Heaven?〜ご苦楽レストラン〜』(TBS系)に対して、“辛口のほうの3人”は、「ぜんぜんおもしろくない」、「期待はずれ」、「痛々しい話」と攻撃の手を緩めない。礼賛で終始しない。覚悟が見える。フジの土曜日早朝プログラム。批判を恐れず、本音で勝負を貫徹してほしいものである。
(伊藤由華)
30分番組。冒頭は、フジでその週に放映された番組を観た視聴者から寄せられた意見を紹介する「テレビウィークリー」。中盤は、テレビにまつわる疑問を解決する「ハテナTV」。後半は、「The批評対談」。テーマに合った見識者にインタビュー、座談会といったナマの声を届けるコーナーだ。ここで、番組改編期ごとに展開されるのは、“ドラマ徹底批評”だ。
木村さんの分析によると、今クールのドラマは「原作ありきで安全路線」。そんな中でも、4人が声をそろえて絶賛したのは、上野樹里主演の月9ドラマ『監察医 朝顔』(フジ系)だ。吉田さんは、「イケメンが1人もいない」ことを理由にあげ、物語展開、キャスト、東日本大震災と絡める設定の妙にも賛辞を送った。
対して“口撃的”なのは、漫画家・東村アキコ原作で、杏主演の『偽装不倫』(日本テレビ系)。プライベートでは、元モデルで俳優・東出昌大との間にもうけた3人の子どもとハッピーな毎日を送る杏。番宣ではそのリアルを、嬉々と語っていた。しかし、本作で演じるのは、32歳で独身、婚活で失敗続きのモテない派遣社員。解離性を抱いて当然だ。
そもそも日テレドラマには、悪い癖がある。吉田さんはその理由に、「東村アキコ原作を変えてしまう」ことを挙げる。17年1月期に放映された『東京タラレバ娘』が、その一例だ。同作は、“たら・れば”ばかりを並べて、ほんとうの幸せをつかめない女性3人が主役。ストーリー展開の肝となる女性たちの平均年齢が、ドラマで下がっているのだ。結果、旨みや鮮度とともに、視聴者からの共感も手離した。
批評軍の3人+1人は、本音勝負。居丈高と取られかねない。そのリスクを背負っても、石原さとみの主演ドラマ『Heaven?〜ご苦楽レストラン〜』(TBS系)に対して、“辛口のほうの3人”は、「ぜんぜんおもしろくない」、「期待はずれ」、「痛々しい話」と攻撃の手を緩めない。礼賛で終始しない。覚悟が見える。フジの土曜日早朝プログラム。批判を恐れず、本音で勝負を貫徹してほしいものである。
(伊藤由華)