超小型ウルトラモバイルPCは、なぜ増えているのか? スマホとPCの逆転が生みだした市場

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いまやスマートフォンがあれば日常生活で困ることはない、スマートフォンで何でもできる時代ともいえる。
少々乱暴な言い方だが、
・自宅にはパソコンがない
パソコン使ってない、使わない
このような人も増えている。

しかし実際には、仕事はパソコンが必要という状況は変わっていない。
・MicrosoftのExcelで表計算や集計
・MicrosoftのPowerPointで、プレゼンテーション資料の作成
・Microsoftのワードで書類の作成
・画像や動画の編集
こうした作業でパソコンが必要となることが多い。
仕事先にノートPCを持ち込むなど、仕事ではノートPCを持ち歩きが必要になることも少なくない。

ところが日頃からスマートフォンを使い、スマートフォンに慣れてしまうと、わざわざノートPCを持ち歩くのは、かなり面倒だ。

そんな状況を知ってか知らず、小さなバッグにも収まる超小型のノートPC、通称「ウルラモバイルPC」(UMPC /Ultra Mobile PC、)が次々と市場に出てきている。
さらにウルトラモバイルPCは、価格も安いこともあり、スマートフォンと併用するユーザーがじわじわと増えている。

・たまにパソコンが必要
・外出先で軽作業が必要
こうした人にとっては、既存のモバイルノートPCよりも小型なウルトラモバイルPCは、まさにニーズにぴったりの製品なのだろう。


スマートフォンと一緒に持ち運べる超小型のウルトラモバイルPCの種類が増えている


ウルトラモバイルPCのディスプレイサイズは、7インチから8インチと小さく、ディスプレイに合わせた本体は、横幅が20cm以下のものが多い。
この大きさであれば、大人が片手で楽に持てるサイズ。
紙のノートでいえばA5からB5サイズといったところだ。
厚さも1.5cm程度と決して厚みが気になるということもない。
ウルトラモバイルPCは、片手に単行本や新書本を持って出かける感覚で持ち歩くことができるのだ。

ウルトラモバイルPCとしては、現在、
「GPD Pocket」
「OneMix」
この2つのブランドが有名だが、こので、他にも数社が市場参入している。

ウルトラモバイルPCのディスプレイ解像度は、1920x1200ドットが基本多い。

ただ最新モデルのOneMix 3のように8.4インチ、2560x1600ドットという高解像度の製品もある。このOneMix 3はスタイラスペンに対応しており、ディスプレイは360度回転するため、タブレットスタイルとして使うこともできる。

スマートフォンでネット検索しながら、OneMix 3の画面にペンでアイデアを書き込むといった使い方はスマートで効率もよさそうだ。

当初は既存のノートPCと同じようなクラムシェルスタイルのウルトラモバイルPCがおおかったが、ディスプレイが360度曲がるようなタブレットスタイルに可変するウルトラモバイルPCも少しずつ増えている。

スマートフォンと併用する人の多いウルトラモバイルPCユーザーにとって、タブレットスタイルでも使える進化は、さらなる使い勝手の向上、作業の効率化となるだろう。
今年参入したChuwiの「MiniBook」も8インチ画面を360度回転させることのできる、タブレット兼用スタイルの薄型だ。


タブレットスタイルにもなるUMPC、ChuwiのMiniBook


これまでは、スマートフォンとタブレットを併用する人も多かった。
しかしAndroidタブレットやiPadを併用してもパソコン作業が全てできるわけではない。タブレットに外付けキーボードを追加しても、サイズも大きくなり、取り回しなど総合的な使い勝手は、低下してしまう。

その点ウルトラモバイルPCは、フルにパソコン機能が使えて、持ち運びも楽だ。
スマートフォンとタブレットを併用するなら、タブレットをウルトラモバイルPCに持ち変えたほうが満足できそうだ。

さらにウルトラモバイルPCが有利なのが拡張性だ。
ウルトラモバイルPCには、外部ディスプレイに画面を出力できるHDMIを搭載しているものもあり、訪問先の会議室やホテルのTVに接続して、大画面でプレゼンを行ったり、資料作成をしたりもできる。

スマートフォンとウルトラモバイルPCの併用が活かせるポイントをあげてみた。
・不定期だが、外出先でPCが必要になることがある
・いざというとき用にPCを持って移動したい
・移動中や移動先で通信を利用できる
・出張先でキーボードやマウスを貸してもらえる

こうして、みると、意外に現在の多くの仕事で当てはまりそうだ。


TVに接続すれば大画面でも活用できる


以前であれば、仕事ではパソコンを使う。これが当たり前だった。
しかし現在は、スマートフォンだけでパソコンの代わりになる。
どうしてもスマートフォンでできないことだけにパソコンを使っているわけだ。

つまり業務や人によっては、スマートフォンパソコンのポジションが逆転しているのだ。

こうした社会や環境変化が、「ウルトラモバイルPC」のニーズと市場を押し上げているのかも知れない。


執筆 山根康宏