「監督のスタイルに順応したい」ポルト移籍の中島翔哉、ポルトガル代表で活躍した指揮官コンセイソンとの相性や起用法は?
現地時間7月5日に、カタールのアル・ドゥハイルからポルトガルの強豪ポルトへの移籍が決定した日本代表MFの中島翔哉。ポルティモンネンセでプレーしていた今年の1月以来、半年ぶりにポルトガルに復帰することになった。
そのポルトを率いるのが、2017年夏に就任したセルジオ・コンセイソン監督だ。ポルトガル代表のウイングとして活躍したことで知られている。
現役時代は、このポルトで評価を高めて、98年夏にイタリアのラツィオへ移籍。加入2年目にはセリエA制覇に大きく貢献した。その後はパルマやインテル、スタンダール・リエージュなどでプレー。56キャップを刻んだポルトガル代表でも、EURO2000のドイツ戦でハットトリックを達成するなど、鮮烈な印象を残した。
10年に引退すると、すぐに古巣スタンダールのアシスタントコーチとなり、指導者の道へ。一気に評価を高めたのが、ブラガ、ギマラエスなど母国の中堅クラブの監督を経て、16年12月に就任したナント時代だ。
降格の危機に瀕していたチームの指揮を任されると、システムを4-3-3から4-4-2に変更。まず組織的な守備を植え付け、カウンターとサイド攻撃というシンプルなスタイルで、見事に蘇生させたのだ。その手腕が評価されて、わずか半年でポルトに引き抜かれたのだった。
この4-4-2はコンセイソンのいわば代名詞で、これまで4-3-3が主流だったポルトでも迷わず導入。資金難でほとんど補強ができなかったチームを巧みにまとめ上げ、就任1年目で宿敵ベンフィカから5年ぶりにリーグ王座を奪還してみせた。
昨シーズンはベンフィカと2ポイント差の2位に終わり連覇は逃したとはいえ、チャンピオンズ・リーグ(CL)でチームをベスト8に導いたコンセイソンの手腕は、高く評価されている。
その44歳の指揮官が、中島に求めているのが、契約切れで退団が決定しているヤシン・ブライミの穴埋めだ。このアルジェリア代表FWは、左サイドハーフとして崩しの核を担っていた。中島がブライミの8番を受け継いだのも期待の表われだ。
圧倒的な戦力差から国内リーグでは、ボールを保持して敵を押し込む試合が多いとはいえ、この指揮官がことさら要求するのが規律とハードワークだ。守備に貢献できない選手は評価されない。それは、コンセイソン就任後、天才肌の司令塔オリベル・トーレスの出番が大幅に減っていることからも明らかだ。
とりわけ、予選3回戦の出場となるCLで、本大会に勝ち進めば、格上との対戦が多くなる。よりソリッドなディフェンスが要求されることになるのだ。中島が信頼を勝ち取るためには、持ち味である打開力に加え、得意とは言えない守備でのアピールも不可欠となる。決して相性がいい監督とは言えないかもしれない。
ただ、それは中島も重々承知のうえで、このポルトを選んだはずだ。ポルトガル・メディア『Record』によると、「監督のスタイルに順応して、要求されたことが全てできるように、一生懸命努力したい」とコメントしたという。
新進気鋭の指揮官の下で信頼を得て、さらなる高みを目指せるか。日本の10番の新たな挑戦が始まる――。
構成●サッカーダイジェストWeb編集部
そのポルトを率いるのが、2017年夏に就任したセルジオ・コンセイソン監督だ。ポルトガル代表のウイングとして活躍したことで知られている。
現役時代は、このポルトで評価を高めて、98年夏にイタリアのラツィオへ移籍。加入2年目にはセリエA制覇に大きく貢献した。その後はパルマやインテル、スタンダール・リエージュなどでプレー。56キャップを刻んだポルトガル代表でも、EURO2000のドイツ戦でハットトリックを達成するなど、鮮烈な印象を残した。
10年に引退すると、すぐに古巣スタンダールのアシスタントコーチとなり、指導者の道へ。一気に評価を高めたのが、ブラガ、ギマラエスなど母国の中堅クラブの監督を経て、16年12月に就任したナント時代だ。
降格の危機に瀕していたチームの指揮を任されると、システムを4-3-3から4-4-2に変更。まず組織的な守備を植え付け、カウンターとサイド攻撃というシンプルなスタイルで、見事に蘇生させたのだ。その手腕が評価されて、わずか半年でポルトに引き抜かれたのだった。
この4-4-2はコンセイソンのいわば代名詞で、これまで4-3-3が主流だったポルトでも迷わず導入。資金難でほとんど補強ができなかったチームを巧みにまとめ上げ、就任1年目で宿敵ベンフィカから5年ぶりにリーグ王座を奪還してみせた。
昨シーズンはベンフィカと2ポイント差の2位に終わり連覇は逃したとはいえ、チャンピオンズ・リーグ(CL)でチームをベスト8に導いたコンセイソンの手腕は、高く評価されている。
その44歳の指揮官が、中島に求めているのが、契約切れで退団が決定しているヤシン・ブライミの穴埋めだ。このアルジェリア代表FWは、左サイドハーフとして崩しの核を担っていた。中島がブライミの8番を受け継いだのも期待の表われだ。
圧倒的な戦力差から国内リーグでは、ボールを保持して敵を押し込む試合が多いとはいえ、この指揮官がことさら要求するのが規律とハードワークだ。守備に貢献できない選手は評価されない。それは、コンセイソン就任後、天才肌の司令塔オリベル・トーレスの出番が大幅に減っていることからも明らかだ。
とりわけ、予選3回戦の出場となるCLで、本大会に勝ち進めば、格上との対戦が多くなる。よりソリッドなディフェンスが要求されることになるのだ。中島が信頼を勝ち取るためには、持ち味である打開力に加え、得意とは言えない守備でのアピールも不可欠となる。決して相性がいい監督とは言えないかもしれない。
ただ、それは中島も重々承知のうえで、このポルトを選んだはずだ。ポルトガル・メディア『Record』によると、「監督のスタイルに順応して、要求されたことが全てできるように、一生懸命努力したい」とコメントしたという。
新進気鋭の指揮官の下で信頼を得て、さらなる高みを目指せるか。日本の10番の新たな挑戦が始まる――。
構成●サッカーダイジェストWeb編集部