まるで本物の日差し、人工照明「CoeLux」の実物を見てきた
イタリアのスタートアップが開発した人工太陽光照明「CoeLux」(コールクス)。白色LED光源を2枚のミラーで反射させ、その光を地球大気圏で発生している「レイリー散乱」(空が青くなる現象)を再現する特殊なアクリル板に通すことで、本物のような青空と陽射しを実現しています。

商品構成はハイエンドのCoeLux HE(630万円〜)、ミドルレンジのCoeLux-LS(85万円)、ローエンドのCoeLux-ST(50万円)の3つ。いずれもレイリー散乱によって本物さながらの青空を再現しますが、臨場感はハイエンドの「CoeLux HE」がダントツ。また、太陽光を模しているといっても人体に有害な紫外線などは含んでいません。

▲公式プレス画像、言われなければ人工照明だとわからない


▲光源となるLEDは非調光だが、大気圏のレイリー散乱を再現する特殊なアクリルを通すことで、自然に近い青空を再現している

上図のように構造が特殊なことから筐体は大型。特にハイエンドの「CoeLux HE」は厚さが1m弱もあり、一般的な住宅への導入には向きません。マンションのエントランスやオフィス、病院など、同照明を入れ込むことを想定して設計した建築物ではないと難しいようです。なお、ミドルレンジ以下のLSやHEに関しては薄くなっており、比較的さまざまな建物に導入できます。

実はこのCoeLux、海外で数年前に発表された製品。日本のテック系メディアでもたびたび取り上げられています。筆者も存在は知っていましたが、その様子は公式のプレス写真で知るのみ。実際はどんな感じで照らされるのかを知るべく、日本の販売代理店である森ビル傘下のラフォーレ・エンジニアリングのショールームにお邪魔し、CoeLuxを実際に見ることができました。

「本物の陽射しと瓜二つ」は本当だった

いざ実物を見ると、本当にプレス画像の通りです。本物の青空、そして太陽を瓜二つで、言われなければ本物の天窓と思ってしまうほど。光源をミラー2枚で反射させているため、移動すると太陽の位置も本当に遠くにあるようかのに動きます。まるで本物の青空と陽射しに瓜二つです。


▲630万円〜のハイエンド「CoeLux HE」

下記ツイートは動画。実物の様子がよくわかる

▲味気ない地下駐車場に陽の光(を模した人工照明)が差し込む

▲消灯した様子。巨大なため、専用に設計した建物でないと導入は難しい

▲自然の陽射しと同様に、陽当たりとそれ以外の境界がはっきりしている

より小型で廉価な85万円の「CoeLux-LS」がこちら(下記画像)。やや太陽感は薄れますが、青空に照らされている感は十分にあります。


▲85万円と安価なCoeLux-LS、太陽感はやや控えめだが、青空感は十分にある。

なお、ラフォーレエンジニアリングによると、今後薄型化したモデルや月明りなどを再現した新型モデルも順次日本に上陸予定。電気代に関しては一般的な照明より高額としています。

陽当たりによって不動産の価値が左右される現在、CoeLuxのように本物の陽射しを模した照明がより安価となれば、不動産市場にも変化がもたらされそうです。また、宇宙船や惑星移住、地下都市の建設にもこのような照明が用いられるのかと思うと、実物を見ていてワクワクしました。いずれにせよ未来感たっぷりの同照明、今後あらゆる建物に自然と瓜二つの陽射しをもたらせるか期待したいところです。