憂うつな梅雨は、 ココロとカラダをほぐして前向きに!

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執筆:井上 愛子(保健師・助産師・看護師)
医療監修:株式会社とらうべ


雨や曇の日が続いて洗濯物が乾かない、湿気が多くてヘアスタイルが決まらない、なんとなく気分もすっきりしない…そんな梅雨の季節。

ココロやカラダの不調を感じていませんか?

私たちの身体は、天候やそれにともなう制限などからさまざまな影響を受けています。

梅雨の季節に陥りやすい体調不良とその対策についてご説明します。

梅雨の天気の特徴

例年、本州では6〜7月頃にかけてのおよそ1ヶ月間、梅雨の時期を迎えます。

この時期は単に雨や曇りの日が多くなるというだけではなく、晴れたり曇ったり、時には豪雨のような雨が降ったりと、気圧の変化が激しくなります。

また、急に真夏日になったかと思うと、一方で「梅雨寒(つゆざむ)」や「梅雨冷え(つゆびえ)と呼ばれる寒い日もあり、寒暖差が大きいというのも特徴の一つです。

そして、ジメジメと湿度の高い日も多くなります。

ほとんどの方は、雨が降るとなんとなく気持ちも晴れない…という心境になったことがあるのではないでしょうか。

実際に、梅雨の時期の気圧や温度の変化、湿度の高さは、私たちのココロとカラダに多大な影響を与えます。

気圧の変化と自律神経の密接な関係

私たちの身体が健康的に機能するためには自律神経の働きが欠かせません。

おもに昼間の活動中に働く「交感神経」とリラックス時や睡眠中に働く「副交感神経」がバランスをとることによって、血液の循環や食べ物の消化・吸収、休む・リラックスするなど、様々な内臓器官の働きをコントロールしています。

しかし、梅雨時に雨が降って気圧の低い日が続いたり、気圧の変化が激しかったりすることで、自律神経のバランスが乱れてしまうのです。

なかには、頭痛や肩こり、関節痛、眠気、だるさなどの症状が出るという人もいます。

気温差がもたらす体調不良

梅雨時は雨が降って肌寒く感じる日がある一方、晴れると暑くなって大きな気温差が生じます。

そうなると身体は気温の変化に順応できず、体調を崩しやすくなります。

さらに、喘息やリウマチなどの持病がある人は、梅雨寒による急な発作や痛みが強くなることも考えられます。

ほかにも、気圧の変化と気温差の影響から疲労が溜まり、免疫力が低下して風邪を引きやすくなる、気分が落ち込みがちになる、食欲不振や慢性的なだるさ…といった症状にもつながります。

湿度の高さも要注意

湿度の高い日が続くと、身体の水分の排出が滞り、水分を溜め込みがちになります。

東洋医学ではこの症状を「水毒(すいどく)」と呼びます。

代謝が悪くなってむくむ、消化不良によって下痢や便秘などの症状を引き起こすこともあります。

むくみの症状や尿の回数が減っていると感じる人は注意してください。

水分の摂取量を控え、身体を温めるように心がけ、適度な運動が必要です。

とはいうものの、高温多湿の梅雨の時期、真夏ほどではないにしても、室内の熱中症にも十分に気をつけてください。

水分と塩分を適切に摂取しつつ、部屋の風通しをよくして、エアコンや除湿機を活用するなど環境を整えましょう。

梅雨の不快さはココロの不調を招くことも

雨や曇りの日が多くて日照時間が不足すると、軽いウツのような状態になりやすいなど、天気がココロにも影響を与えることは、さまざまな研究において報告されています。

原因の一つとして挙げられるのは、ホルモンバランスの乱れによる睡眠の質の低下です。

また、悪天候で外出機会が減り運動不足になっていること、先述の頭痛や肩こりといった体調不良なども、気持ちが落ち込むきっかけとなります。

こうした理由から、梅雨時はお天気と一緒に気持ちまでどんよりと沈みやすいのです。

ですから、このことを想定してあらかじめ対策を立てておくとよいでしょう。

基本的な生活習慣を見直して梅雨の不調を乗り切る!

それでは、どうすれば梅雨の時期を快適に過ごすことができるのでしょうか。

その鍵は、当たり前と思われるかもしれませんが、バランスの良い食事と運動、十分な睡眠、という基本的な生活習慣を整えることが第一です。

なんとなくやる気がでない、食欲が湧かないといった理由で、食事を疎かに済ませる、身体を動かさない、夜更かしをする…など不規則な生活をしていると、自律神経のバランスはさらに乱れてしまいます。

まずは三度の食事をきちんと摂り、水分を適切に摂取しましょう。

外出ができないときは、室内でこまめに身体を動かして、ストレッチなどを取り入れると、ココロの不調改善にも効果的です。

運動をすると「セロトニン」というホルモンが分泌されます。

セロトニンの働きによって精神的に落ち着いている状態が保たれ、質の高い睡眠にも繋がります。

そして、梅雨の貴重な晴れ間には室内をしっかりと換気し、積極的に身体を動かしましょう。

入浴ではゆっくり半身浴をして身体を芯までしっかり温め、眠る前には好きな音楽を聞くなど、自分なりのリラックス方法を持っておくことも大切です。

気分の切り替えが難しい梅雨の時期ですが、基本的な生活習慣を整え、自分にあった方法でリフレッシュしながら、ココロとカラダの健康を守りましょう。


<執筆者プロフィール>
井上 愛子(いのうえ・あいこ)
保健師・助産師・看護師。株式会社とらうべ社員、産業保健(働く人の健康管理)のベテラン

<監修者プロフィール>
株式会社 とらうべ
医師・助産師・保健師・看護師・管理栄養士・心理学者・精神保健福祉士など専門家により、医療・健康に関連する情報について、信頼性の確認・検証サービスを提供