中国メディアは、米国や中国など他国と比べた日本の製造業の現状について分析する記事を掲載した。(イメージ写真提供:123RF)

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 中国でたびたび称賛されてきた日本の「匠の精神」は、近年続いた企業の不祥事問題で疑問が持たれるようになった。では、現状はどうなのだろうか。中国メディアの今日頭条は9日、米国や中国など他国と比べた日本の製造業の現状について分析する記事を掲載した。

 中国は「世界の工場」とも言われてきた製造大国だ。記事は、日本企業の不祥事のニュースが続き、「中国製造業には日本をあざ笑う資格がある、日本の製造業はもうだめだ」と思った人がいるかもしれないと主張する一方、「それは自分を欺くことだ」と指摘。「日本は今でも製造強国」で、中国はいまだに日本を追い越せず、分野によっては米国さえ上回ると主張した。そう言える理由を5つあげている。

 1つ目は「生産効率」だ。中国の製造業の生産効率は日本のわずか21.3%と遠く及ばないとしている。2つ目は今でも「日本企業が世界に認められている」こと。世界で最も革新的な企業を選ぶグローバル・イノベーターでも、日本企業は米国と並んで他国を寄せ付けない圧倒的な存在感を放っていると指摘。ハイエンドの分野では米国を超えているほどだと紹介した。

 3つ目は「工作機械」分野だ。日本はこの分野の企業数が多く、技術・利益ともに最高で、一人勝ち状態だと絶賛した。4つ目は「自動車や材料など」で、製造業の技術の高さが表れる自動車分野では、中国人にも認められていると指摘。中国では日本車かドイツ車を買う人が多いが、ドイツ車の多くの部品は日本製だと指摘。中国や欧米でも作れないわけではないものの、日本企業のようなコストパフォーマンスの製品は作れないとした。材料でも、F―22戦闘機のステルス材料が日本製であることから分かるように、日本のレベルは高く「米国の少し上をいっている」そうだ。

 記事は最後に、日本の製造業の最大の利点として「精密で高い技術」を指摘した。ハードロック社のねじに代表される匠の技は、ずっとうらやましがられながらも超えられない存在で、中国では50のねじを作っても、肉眼で分かるほど大きさがばらばらなのに対し、日本では1万個のねじを作って1つも不合格が見つからないと手放しで絶賛している。

 中国では、匠の技と称賛してきた日本の技術も終わった、というような見方もあったようだが、日本は今でもれっきとした「製造強国」と言えそうだ。中国に追い越されないためにも、技術革新のさらなる進化は必須と言えそうだ。(編集担当:村山健二)(イメージ写真提供:123RF)