節分に、恵方巻きの当日販売の売場を知りたくコンビニを20店舗ほど回ってみた。

 農林水産省からの日本チェーンストア協会や日本フランチャイズチェーン協会(コンビニなどが加盟)など7団体へ、"需要に見合った販売"をとの異例の要請があったので変化を現認しようと思ったのだ。

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商売人としてのポテンシャルの差は大きいなぁ〜

 毎年、この日には店舗巡回員目線でコンビニを巡回する筆者の感想としては、要請のせいか品揃え数は例年より相対的に少なかったように感じる。

 筆者視点で「しっかり気合いを入れて販売しないと廃棄が出てしまうぞ」と思った店は、巡回店舗数の約20%で、約半分の店は通常時に販売する巻き寿司程度しか展開しておらず、「せっかくの販売チャンスなのにもったいないな」と感じられた。

 

 

 ある住宅街の駅前立地の隣合わせてあるコンビニ。チェーンは違うわけだが、昼前の陳列数は120個と25個と圧倒的な違いがあった(深夜に再訪すると両店とも売り切れだった)。

 正午前から訪れた歓楽街立地の隅にある店舗では、店長が赤鬼のコスプレをしており、売場には約70個を品揃えしていたが、筆者がいる間に初老の女性が12個の恵方巻きを買う光景を目撃した。

 こうした様子を見ていると、商売人としてのポテンシャルの差は大きいなぁと実感してしまう。また、都内の店舗では人手不足でそこまで手が回らないという店舗も散見された。

SNSでも大量廃棄の投稿はほどんど見られず

 

 SNS上でも、大量廃棄の投稿は本部からの規制もあったとは思うが、ほとんどアップされておらず。農水省の要請は一定の効果があったと思われる。

 恵方巻きを売り切るために、おにぎりなどの品揃えを減らしたであろう店舗も多かったように思う。今回は、本部店舗指導員の廃棄に対する意識が例年よりも高かったことは間違いない。

 赤鬼コスプレの店舗の例でも分かるように、販売意欲の高い店舗ではイベントを販売のポテンシャルを最大限に上げ、固定客をつくる良い機会としているので、ぜひ商売の醍醐味であるイベント販売は継続して欲しい。

 一方、販売意欲の無い店舗やそもそも立地的に販売が難しそうな店舗では、大量廃棄につながりフードロスを促進するので発注数は抑えるべきだ。

 実際、学生購買を中心とするオーナーが変わったばかりの学校内コンビニでは、部活の試合などスポーツイベントがあるものの、午前11時に84個あった商品が午後2時で72個あり、若干、販売の苦戦を感じられた。




工場の食品廃棄量、公表を義務付けしては?

 予約商材の販売数は、各コンビニの店舗巡回員にとって昇進や賞与人事考課に影響する場合が多く、発注指導に熱が入り過ぎてしまい、廃棄を生むケースも多々ある。そのため、時代に合わせて販売数に廃棄を加味した評価制度に変えていく必要がありそうだ。

 

 バイヤーからすると、今年の恵方巻き商戦は胃が痛くなるものだったろう。今回の農水省からの要請が1月11日と1カ月を切っての指導だったため、協力工場が既に原材料の発注をほとんど済ましていたと思われるためだ。他の商品に転用できない原材料は廃棄になる確率が高く、協力工場の収益が悪化してしまう。

 そうした中、今回の要請により、来年以降は当日販売分の製造数が読みやすくなった気がする。

 ただ、通常の商品もだが、仕入れる側の本部が商談的には圧倒的に優位で『欠品は許されない』との考えのため、協力工場側からの交渉難易度は高い。今後はフードロスに取り組む農水省は製造工場の食品廃棄量の公表を義務化し規制を設けるなどして、変えられないであろう取引慣行を指導するだけから、今後はさらに一歩踏み込んだ対応が必要となっていくだろう。

恵方巻きの品揃えを絞り込む時期にきている!

 恵方巻きはここ数年 コンビニ各社がお客のニーズに合わせて販売ポテンシャルを上げるため、品揃え数を増やしていっている。品揃えの増加は発注予測がしづらくなるため、フードロスを考えると、恵方巻きの品揃え数を絞り込む時期にきているかもしれない。

 同時に近い将来には恵方巻きに限らず、店舗の発注数や製造工場の生産数にもAI化が進み、過剰な発注が抑制される仕組みになることに期待している。

 店頭での廃棄削減は、新しい商品を求める傾向が圧倒的に強い日本人の特性を考えると、(店舗の作業負荷を加味する必要があるが)『カテゴリーによっては2つの賞味期限の異なる商品を店頭に並べない』などの規制も必要になってくるのかもしれない。

社会課題解決に適合したチェーンしか生き残れない

 日本のコンビニ創業の祖である鈴木敏文会長の「機会損失の撲滅」という考えがベースとなり、平成の時代にコンビニが小売業のトップに昇り詰めた側面は大きいだろう。

 だが、時代も変わり、社会に優しいコンビニとなるべく、フードロスにも取り組んでいく時代となってきている。変化対応業のコンビニも、これから社会課題解決に適合するチェーンしか生き残っていけないのではないのだろうか。

 節分が、鬼のお面をつけたお父さんに豆まきをする光景から、恵方に向かって恵方巻きを食べる行事に変わりつつあるのは、時代の変化としてはやむを得ないが、昭和生まれの筆者としては寂しくもある。