by Carlos Martinez

誰しもが「一番最初の記憶」を持っているものですが、約6600人を対象とした調査で、多くの人の「一番最初の記憶」が現実には起こらなかった「創作」であるということが示されています。

Fictional First Memories - Shazia Akhtar, Lucy V. Justice, Catriona M. Morrison, Martin A. Conway, 2018

http://journals.sagepub.com/doi/abs/10.1177/0956797618778831

Your Earliest Memory Probably Never Happened

https://www.livescience.com/63109-first-memory-fictional.html

ブラッドフォード大学の助教であるShazia Akhtar氏らの研究チームは11歳から100歳までの被験者6600人に「一番最初の記憶」と「その時の年齢」について尋ねました。この時、「一番最初の記憶」は家族の話や写真に基づくものでななく、「自分が直接的に経験した記憶」でなければならないことが強調されました。人は親戚から聞いた話や写真といった情報から記憶を「作り出す」ことがあるためです。



by Lindy Baker

調査の結果、40%もの被験者が「一番最初の記憶」が2歳以下で起こったことだと主張しました。その多くは「生後9カ月から12カ月の記憶」とのこと。しかし、これまでの科学研究で、脳の仕組み上、2歳以前の記憶を保持し続けることは難しいと示されています。記憶の形成は言語能力の獲得に助けられるため、言語習得前の段階である「2歳以下」という年齢の子どもは、記憶を形成する能力が十分ではないと考えられているためです。Akhtar氏は、2歳以前の記憶は、「作られたもの」であると説明しています。

オンラインで行われた調査の結果、2500人近い人々が幼少期の体験をつなぎ合わせて「一番最初の記憶」を創作していたことが判明しています。しかし、これらの人々は「一番最初の記憶」を長年信じてきていたため、科学的な説明をしても記憶が偽物であると信じなかったそうです。



by freestocks.org

Akhtar氏によると、このような偽の「一番最初の記憶」を持っている人は特に中年からそれ以上の年齢に多いそうですが、「最も影響を受けやすい年代」については調査されていないとのこと。

「最初の記憶を思い出すことは、その人の現実や自分自身に対する見方に影響する」と発表された1965年の研究結果をはじめとし、一番最初の記憶はその人の性格や人生に大きく影響するものと考えられてきました。どんな内容であれ、「自分に意識があると初めて認識したこと」はその人の根幹に関わることであり、それゆえに記憶が「偽物である」と言われることは人を動揺させるのかもしれないとのことです。