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「出ない出ない誠実」を目指せ!

先日、大相撲九月場所のチケットについて最速先行抽選の結果発表がありました。五月場所においては相撲仲間グループと協力して最速先行およびチケット販売サイトでの先行抽選に複数の応募をした結果、4人応募で千秋楽を4マス当選という極めて処理に難義する結果になっていました。それを受けて相撲仲間内でも大いに反省をしまして、「今回は最速先行だけに応募しよう」と絞り込んだわけですが、今回は「4人応募で千秋楽が3マス当選」しました。う、うーむ。

幸い最速先行サイトであるチケット大相撲においては、公式リセールサービスというものがあり、チケットキャンプがない今でも余ったチケットを売りさばくことは可能です。しかし、リセールの際にはチケット価格の10%というアホみたいな手数料を取られる仕組みとなっており、今回で言えば1マス4万円ほどしますので「余らせた瞬間に4000円ロス」みたいな状況になります。オークションで言えば「仕方なく定価割れで出品」みたいな話。今後は入魂の一人応募でいかざるを得ないなと、大いに反省しています。

それもこれも問題は豚少年(※オオカミ少年みたいなもの)の出る出る詐欺がやり過ぎの域に達したからにほかなりません。筆頭たる稀勢の里は昨年五月場所からの連続休場記録を8場所に伸ばし、横綱になってから全部出たのは1場所だけという体たらく。「オーロラ」みたいな存在となって(※見られたらいいなぁ/見られなくても文句言うなよ?の意)、完全にチケット代の対象外扱いとなっています。土日に稀勢の里を見るには初日を買うのが最善手ですが、初日からいないというパターンも8分の4であり得るという、ちょっと手を出せない豚少年です。

↓なお、今場所も「赤ちゃん抱っこと撮影4人マスC席」の売り込みには稀勢の里が小さく登場!出そうな雰囲気を醸し出す!

赤ちゃんは抱っこする、が、相撲を取るとは言っておらん!

何だろうこの「強いお相撲さんに赤ん坊が抱っこされると丈夫に元気に育つと言われている」という売り込みのウソ感は!

先に稀勢の里を誰かに抱っこしてもらうべき!

↓巡業・大相撲大田場所の宣伝は出るんだか出ないんだか、悲報なんだか幻なんだかというビジュアル!

九月場所直後の10月頭にこの3人が元気に揃うだろうか!?

不安なので、あらかじめ「ダメなら赤いペンでバツをつけても違和感のないデザイン」でポスター作っておきましたよ!

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去る名古屋場所は「館内のエアコンぶっ壊れました。てへぺろ」というYeah!めっちゃ嫌がらせモードのなかで、稀勢の里(※全休)、白鵬(※支度部屋でコケて休み)、鶴竜(※横綱ふたり休んだのでその流れに乗って休み)、栃ノ心(※親指を痛めて休み)と上位陣がドミノ倒しのようにバタバタと休場となりました。「エアコンぶっ壊れてても裸だから大丈夫だろ!」「熱中症対策には塩を舐めるべし」「力水もゴクゴク飲むべし」と無駄に暑さにだけは強いはずなのに、最大の暑さ対策は夏休みだとでも言わんばかり。

その体たらくは九月場所へと色濃く影を落としており、何と最速先行を担うチケット大相撲においては、僕の相撲仲間に千秋楽を3マス振り分けたのみならず、「平日のチケットに関して二次抽選を行なう」と言ってきました。割り当てぶんをさばけず、手元で余ったのでしょう。こんなことは近年トンと記憶にない事態です。東京場所でこれでは、いよいよ相撲ブームというものも下火だなと言わざるを得ません。

こうした事態となって改めて思うのは、やはり豚少年はイカンなということ。僕個人がチケットを取りやすいのは結構なことですが、普通の感覚の人が豚少年に遭遇してしまったら次回は大いに購入をためらうだろうなと率直に思います。どれだけ食事やグッズ、館内の散策が魅力的であったとしても、やはり大相撲の金看板は横綱です。横綱を見られない大相撲はオーロラの出ないフィンランドのようなもの。それはそれで楽しい旅行にはなるでしょうが、心の片隅に「ワシは何をしにココへ…?」「別の国でもよかった説」「オーロラが出てからくればよかった」と残る違和感は、止められない人情です。

逆に言えば、横綱がいさえすれば「土俵入り」というセレモニーがあり、横綱による結びの一番という特別な取組があり、そこそこの満足感が得られるわけで、そこは「満足」の分岐点だろうと思います。特に、頻繁に足を運べるわけではない人には、人生初かもしれないその1回に横綱がいるかいないかは大きな差であろうと。もし「今場所は豚少年ですよ」と事前にわかっているなら、人生初は別のタイミングに繰り合わせるから、先に言ってくれてもよかろうもんと。

「事前にわかるかボケ!」
「支度部屋でコケて怪我するなんて完全に想定外」
「相撲には怪我やアクシデントがつきもの」
「こんなに暑いとは思わなかったし…」
「そもそも相撲は上位陣だけのものではない」
「無名の力士を発掘するのも乙なものだぞ」
「イニエスタさんよりはマシだろ」
「アレは絶対に事前にわかってたからな」
「最初からおらん予定の日を黙ってたんや」
「アウェーの試合なんて巡業みたいなもの」
「イニエスタさんが出るわけないやろ!」
「むしろイニエスタニワカにとっていい勉強」
「商品は試合であって、イニエスタではない」
「こういうこともあると学ぶべき」
「さぁ、ヴィッセル神戸をお楽しみください」
「ちなみにポドルスキも休むぞ!」

……みたいな意見が正論であることは僕もそう思いますが、長い目で見たときにどうかなとは思います。期待通りにはならない場合があるなら、それをなるべく誠実にお知らせし、ただしそれを補うだけの準備があるとアピールすることも忘れず、十分な覚悟を持ってご来場いただけるようにつとめてもいいんじゃなかろうかと。「出る出る詐欺」と揶揄されるのは、ギリギリまで出そうな雰囲気を醸してくるからでしょう。「出ないかもしれへん」とわかっているなら、先に一言伝えるだけで詐欺とは言われなくなるのにもかかわらず。

僕は未来を見据えるものとして、「出ない出ない誠実」をこそ提唱したいと思います。

それはたとえば「右足に深刻な怪我を負っており、自分が企画したイベントではあるのだけれど、自分自身はプレーができません」とか「右足に深刻な怪我を負っており、イベントに出演を予定はしているけれども、飛び跳ねるプレーはできません」というようなときに、まだまだチケット絶賛発売中であったとしても、それを隠さずに発表するような姿勢です。「ご期待どおりにはできませんが、それでもよければ買ってください」と誠実にお伝えすることです。

それでもいい、それでも十分に楽しめると思って買ったチケットなら、発表どおりに立ってお話するだけであったとしても「出る出る詐欺」などとは言われません。逆に、当日まで懸命の回復につとめた結果として、思いがけず右足の状態も良かった場合に、予定外のプレーを見せてくれたりしたなら、得したような気持ちにさえなるのです。

「できないかもしれないが、もしかしたらできるかもしれないので、ギリギリまで黙って頑張った結果、できない」のと、「できるかもしれないが、もしかしたらできないかもしれないので、あらかじめできないだろうことをお伝えし、ギリギリまで頑張った結果、やっぱりできなかった」のとでは、その納得感において天地ほどの差があると僕は思います。「出ない出ない誠実」は、仮に本番で事前告知と違ってしまったとしても、むしろ未来への信頼を積み上げる行為であると。

今後は「出ない出ない誠実」をこそ目指していってほしいもの。約束できないものは約束できないと示し、ただしそれを補う策はあるとお知らせする。状況は好転する一方であり、後出しでの悪いお知らせは避ける。それはやろうと思えばできることなのです。アクシデントはあるにせよ、努めることはできるはずなのです。信頼と誠実に勝る戦略はない、それを強くお伝えしつつ、誠実な出ない出ない告知をお願いしたい……僕はそう願うものなのです。



オーロラが出ないなら行かんかったわ、は不幸な別れかただと思います!