ドーナツ型の大水槽の内側を「アクアシアター」と名づけ、ここでマグロの群泳を間近に眺められる 撮影/山田智絵

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葛西臨海水族園』といえば、生き物好きが一目置く水族館。イルカなどの海獣はいないが、魚類などの展示が抜群におもしろい。

復活への道のりは?

 展示の目玉は、大水槽で群れを作って泳ぐ「クロマグロの群泳」。世界でも類を見ない、貴重な取り組みである。

 ただ、2014年度、展示の目玉であるクロマグロが大量死するという出来事があった。その後、復活に向けて慎重に、段階的な手順を踏み好調に回復し、現在に至る。

 飼育展示課の堀田桃子さんに話を聞いた。

「さまざまな調査を行いました。水族園では、いくつかの要因が重なり合って起こってしまったのだと考えています。展示再開に向けては、多くの工夫をしました。

 生体を水槽に入れるときは、段階的に水槽の環境を確認するため、アカシュモクザメ、タカサゴ、クロマグロに近いサバ科のスマやハガツオと、マグロと遠い分類群の生き物から導入し、最後に1歳のクロマグロという順にしました。

 水槽に入れた搬入直後のクロマグロが、アクリルガラスと見分けられるように、格子状にテープを貼り、徐々に剥がすなどもしました」

 現在、大水槽にはクロマグロが約110匹。復活ドラマを聞くと、迫力の群泳がさらに感動的で、胸が熱くなってくる。水槽の前では、スタッフのガイドを聞きながら、えさを食べるようすを観察できるプログラムが毎日実施されているので、ぜひ参加してほしい。

 堀田さんがとっておきの観察ポイントを教えてくれた。

「今年、6月に新しいクロマグロが仲間入りしました。小さなマグロは、1歳の新入りで、まだ今は水槽の下のほうにいることが多いです。それ以外は、2歳、3歳、4歳のマグロがいます。大きさを見比べてみてください」

 以前、こちらの水槽でいちばん大きくなったクロマグロは全長194センチ。全長だけでなく体の太さ、存在感が圧倒的で思わず見とれる迫力だったという。

「まだそこまではたどり着けていないので、これからのクロマグロの成長を楽しみにしていただきたいと思います」