劣悪な環境の家に82匹のチワワが見つかる(画像は『real fix 2018年6月25日付「RSPCA Find 82 Chihuahuas Crammed Inside Couple’s Home」(SWNS/REALFIX)』のスクリーンショット)

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ペットのことを思うのならば、いかに去勢手術が重要であるかを実感するニュースがこのほど英バーミンガムから届いた。ある夫婦が飼っていた2匹のチワワが4年後には82匹に繁殖したのである。女性の死をきっかけにそれが発覚した。『BBC News』『real fix』『Birmingham Live』などが伝えている。

英民放テレビ局「Channel5(チャンネル5)」のドキュメンタリーシリーズ番組『The Dog Rescuers』のなかで、昨年4月に起こっていた驚くべき出来事が明らかとなった。

バーミンガムに暮らす女性が死亡し、ウェスト・ミッドランズ警察はその死因の捜査を開始したのだが、女性が夫と住んでいた家にとんでもない数の犬がいることを発見した。当初は「30匹ほどの犬がいるので対応にあたってほしい」と警察から連絡を受けたRSPCA(英国王立動物虐待防止協会)の捜査官ハーチー・ボウルさんは、警察側が犬の過剰繁殖を非常に心配した様子だったため数時間後にその家へと向かい、驚くべき光景を目にした。

劣悪な環境の中にいたのは、30匹ではなく82匹ものチワワだった。もともと亡くなった女性と夫スティーブンさんは4年前に“ブルー”と“ティンカーベル”という名のチワワのカップルを飼い始めたのだが、去勢手術をしていなかった。やがて2匹が子供を産み、また子供が子供を産むといった状態で、4年の間に82匹にも繁殖してしまった。

汚れた部屋には所狭しとチワワが隠れていた。82匹ものチワワには汚れがこびりつきノミがわき、火傷の痕もあったという。何匹かは近親交配のため行動に深刻な問題を抱えており、非常に凶暴でハーチーさんに吠えかかり噛みつこうとしたようだ。当時の状況をハーチーさんはこのように話している。

「チワワは家の中のあらゆる場所にいました。洗濯機を動かすと突然6匹のチワワが顔を出すといった状況でした。まるで地震被害にでも遭ったかのようなめちゃくちゃで汚れた家の中で、チワワはいろんな場所に隠れていたのです。犬たちは一度も家から出たことがなかったようです。一方で躾けられるのを嫌がり、非常に怯えている野犬のようでもありました。きっとはじめは夫婦も犬をかわいがっていたのでしょうが、増えすぎて手に負えなくなったといったところでしょう。家は典型的な犬屋敷と化していました。連絡した獣医も、家にこのまま犬を置いておくのは危険すぎると話していました。」

ハーチーさんは数がわからなくなるほどの多数のチワワを、スティーブンさんの家からRSPCAが運営する慈善施設「 Birmingham Animal Hospital(バーミンガム動物病院)」へと移動させた。そこでハーチーさん含むRSPCAスタッフらは、夜を徹して82匹のチワワの健康状態を検査した。また犬を預けている間、スティーブンさんとともに家を掃除し、今後犬が暮らしやすい環境にするための家の改装も手伝った。結局、82匹のうち4匹はスティーブンさんが引き取り、残りはそれぞれ新しい家に引き取られたという。

「最初、スティーブンさんが引き取った4匹のうちの2匹は行動面に問題を抱えていましたが、後にすっかりおさまったようです。これまで多くの犬と接する仕事をしてきましたが、私のキャリアの中でもこの件はとても悲しく、記憶に残りました。この出来事を飼い主のみなさんには是非知ってもらいたいのです。ペットの去勢手術は大切なことです。数が増えるのを防ぐというだけでなく、近親交配により子犬に深刻な健康上の問題や行動面での問題を生じさせるのを防ぐためでもあります。犬は生き物です。増えたからといって、書類や電化製品のように簡単に取り除けるというものではありません。」

なおスティーブンさんの妻の死因に関しては、警察の捜査により事件性はなく、事故後の後遺症が原因であったことが判明している。

画像は『real fix 2018年6月25日付「RSPCA Find 82 Chihuahuas Crammed Inside Couple’s Home」(SWNS/REALFIX)』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 エリス鈴子)