8日、厚生労働省で開かれた自殺対策意見交換会(撮影:徳永裕介)

写真拡大

自殺者数が年間3万人台で推移する中、厚生労働省は8日、自殺対策に取り組む民間団体との初めての意見交換会を同省内で行い、行政のかかわり方などについて話し合った。

 会合には、電話で自殺志願者の相談にのったり、遺族支援などを行っている全国の6団体の代表者が参加。民間団体側は、川崎二郎厚労相宛てに「自殺対策における行政との連携に関する要望書」を提出。国民の生命の安全を守るのは政府が担うべき最低限の仕事であるとして、自殺対策を政府の最重要課題の一つとして明確に位置づけることや、各都道府県に自殺対策協議会を設置すること、業務委託という形を含めて現在活動している民間団体のノウハウなどを有効に活用することなどを求めた。

 また、出席者からは「有意義な活動をしていても、ボランティアだけでは限界がある」といった意見や、「活動の場だけでも、行政から提供してもらえないか」といった要望が出された。

 会合に出席したNPO法人自殺対策支援センター ライフリンクの清水康之代表は、「例えば、電話相談を受けたら専門家を紹介できるようにするなど、いま行われている民間団体の取り組みをつなげるだけでも、いろいろなことができる。活動自体は民間でもいいが、警察や学校など公的組織と連携するためには、枠組み作りは行政に担ってもらいたい」と強調。

 一方、厚労省の担当者は「自治体レベルでは、どこが窓口になっているのかわからないというのはショックだった」とし、「まず取り組まないといけないことを提示してもらえたのはありがたかった」と感想を語った。

 厚労省や警察庁などでつくる関係省庁の連絡会議では、年内にも自殺対策に関する政府への提言をまとめることにしている。【了】

■関連記事
自殺の悲しみ、分かち合って(10月24日)

■関連コンテンツ
livedoor 自殺防止キャンペーン

■関連リンク
自殺対策支援センター ライフリンク