いよいよ2017年が終わろうとしている。今年も全国各地で長年親しまれてきたお店が、惜しまれつつもその歴史に幕を下ろした。ちょっぴりさみしくなる話題だが、Jタウンネットで取り上げた記事をとおして、閉店ニュースを振り返ってみよう。

地元民に愛され、青春を共にした思い出の店

まずは、東京・阿佐ヶ谷で半世紀以上続いた本屋さん「書原」。2017年2月19日に閉店した。書原阿佐ヶ谷店は1967年オープン。同じビルにはボウリング場を経て、アニメ制作会社「マッドハウス」が居を構えたこともあり、アニメーターにも愛された書店だった。


書原のある芝萬ビル(以下、2017年2月21日、Jタウンネット編集部撮影)

●阿佐ヶ谷で50年! 地元に愛された本屋「書原」ついに閉店...今までありがとう

次に、秋田の若者たちのオシャレを支えたファッションビル「秋田フォーラス」。2月26日に閉店した。秋田県出身の人気女優・佐々木希さんがデビュー前に働いていた場所としても知られている。「秋田で青春時代を過ごした人は必ずといっていいほどお世話になったんじゃないかな」「初めて行ったのは、小学生の時」と、自らの思い出を振り返るように、感慨をつぶやく人も多かった。10月からは若者だけでなくファミリー層も楽しめる商業施設「秋田オーパ」として生まれ変わり、再び賑わいを見せている。


秋田フォーラス、2012年(掬茶さん撮影、Wikimedia Commonsより)

●秋田のファッション発信地「秋田フォーラス」が30年の歴史に幕...佐々木希さんも店員だった

千葉市や仙台市でも、地元民に愛された商業施設が閉店した。千葉市中央区にあった三越千葉店は1984年、地元百貨店のニューナラヤを引き継ぐ形で営業を開始し、約33年間、千葉市民に親しまれてきた百貨店だった。


千葉三越も33年の歴史に幕(2017年3月、Jタウンネット撮影)

●千葉三越、最後の営業日...「ライオン像」も翌朝までに撤去される

2月27日に突然閉店した仙台市の「さくら野百貨店」仙台店は、今年で流行ったワードを発表する「仙台流行語大賞」で4位にランクインするほど地元住民に大きなショックを与えたニュースだった。


シートに覆われた「さくら野百貨店」のロゴマーク(2017年12月18日、跡地前でJタウンネット編集部撮影)

●仙台駅前のデパート「さくら野百貨店」が突然の閉店! 地元「昨日までやってたぞ」「マジかよ」

もう食べられないあの味が恋しい!

一方、飲食店の閉店ニュースもいくつか取り上げた。お店がなくなっても、おいしいものの味や香りの記憶は、なかなか忘れられないものだ。閉店と聞くと、最後に食べておきたいと思わず足を運んでしまう。

そのひとつが、3月18日に閉店したJR五反田駅の高架下にあったすし店「立喰ずし 都々井(たちくいずし つつい)」だ。閉店の一週間前に記者が食べに行きレポートした。店内には「移転先、決ればお知せ致します」の案内があった。知らせはまだ来ないが、品川経済新聞2017年12月15日の記事によると「来春には五反田駅近くのリバーライトビル(通称・五反田ヒルズ)に新店をオープンする予定」だという。これはうれしいニュースだ。


「立喰ずし 都々井」(2017年3月11日、Jタウンネット編集部撮影)

●にぎり1.5人前で900円! まもなく閉店の五反田駅前「立喰ずし 都々井」で食べてきた

ほかにも、8月27日には神奈川県横須賀市にある「海軍カレー」の元祖ともいえる店、魚藍亭の「よこすか海軍カレー館」が閉店。8月31日には神戸の人気洋菓子ブランド「御影高杉」が閉店するなどし、もう味わえないその味を惜しむ声がツイッターなどSNS上でたくさん投稿された。

元祖よこすか海軍カレー(Yusuke Kawasakiさん撮影、Flickerより)

●よこすか海軍カレーの「元祖」が閉店へ 「残念」「名店だけに寂しい」

●神戸「御影高杉」閉店へ 「ショートケーキが...」「ミルフィーユが...」

楽しく遊んだ思い出の園よ、さようなら...

時代とともに、テーマパークの人気も移り変わる。群馬県前橋市にある「赤城クローネンベルク」は11月30日に閉園した。ドイツの農村の街並みを再現したテーマパークとして、1994年に開園。動物との触れ合い体験に加え、自家製ソーセージや地ビールなどの飲食が楽しめる施設として人気を集め、2008年には約19万人が入園したこともあった。ここ数年は、入園者数の減少が続いていたという。

●群馬県民ショック! 「赤城クローネンベルク」閉園発表で衝撃広がる

そして、12月31日に閉園する福岡県北九州市の「スペースワールド」。閉園発表後は、「最後だから」とアトラクションなどを楽しみに行く人が増えているそうだ。同園は、12月27日にオーストラリアにあるスプリングブルック天文台の星命名サービスをつかって、牡牛座方面にある星の命名権を取得し、「SPACE WORLD」と命名したと発表した。これは、閉園後もずっと忘れないでほしいという従業員たちの思いからだという。

閉園日に向けて大いに盛り上がっている様子だが、どんなフィナーレを迎えるのか今から楽しみだ。


スペースワールドも閉園へ(2017年12月14日、Jタウンネット編集部撮影)

●「またいつか、別の星で、会いましょう」 福岡・スペースワールドの閉園演出が感動的

今回は紹介しきれなかったが、ほかにも惜しまれつつ閉店したお店はある。多くの人に愛されたお店は、きっといつまでもみんなの記憶に残ることだろう。