ヴァイッド・ハリルホジッチ監督(撮影:スエイシナオヨシ/PICSPORT)

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今回は、日本の2018年ロシアワールドカップ予選の総括をしておきたいと思います。まず、最大の目標であったワールドカップ出場を果たしたことは評価しなければいけないと思います。ワールドカップ出場は簡単なことではありません。毎回予選は大変ですし、正直に言うと、今回はホッと安心しました。

苦しんだ理由は何か。まずアジア諸国の格差が縮まってきたことでしょう。安心して戦える相手が少なくなってきました。それから、日本代表の絶対的な核となる選手がケガや調子を崩してコンスタントに活躍できなかったことです。本田圭佑、香川真司、内田篤人などは力を発揮できませんでした。

ですが、日本はその都度、調子のいい選手が出てきて難局を乗り切ったと思います。原口元気、久保裕也、井手口陽介、浅野拓磨、乾貴士などが別々の試合で活躍してくれたので、日本はどん底に沈むことがありませんでした。そういう意味では、2014年まではほぼ固定メンバーで戦わなければなりませんでしたが、今は選手層が厚くなったと思います。

本田や香川に頼らず予選を勝ち抜けたのは進歩でしょう。ただし、代わりの選手たちは日本代表のレギュラーに定着できたかというと、そうではありません。自分のクラブチームで出場できなくなったり、日本代表で安定したパフォーマンスを発揮しているとは言いがたいのです。

厳しい表現をすると、ここまで日本は「その場凌ぎ」で予選を乗り切ってきたと言えます。層が厚くなり、そのぶんそのときに調子のいい選手が見つかりやすくなったから助かりました。

守備ラインから中盤は何となく固まってきました。ですが、特に2列目の選手はまだ誰もレギュラーを取れていません。今後、ワールドカップまで時間がない中で、日本は選手の競争とともにチーム作りをしていかなければなりません。

ただし、僕は楽観視している部分もあります。それは2010年南アフリカワールドカップの際、岡田武史監督は直前までメンバーも戦術も探り続け、ベスト16という結果を出したからです。2014年ブラジルワールドカップの際は、チームを固めるのが早くて最後は苦しみました。もしかすると、直前まで選手を決めず、モチベーションを高く保つのがいいのかもしれません。ぜひ、いいほうに転んでほしいと思います。