ソロ・ボーカルを担当するスケルトン ©Justine Emard 2

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 「サカイ(sacai)」が、9月末にオーストラリアで初披露される渋谷慶一郎による新作モノ・オペラ「スケアリー・ビューティ(Scary Beauty)」の衣装を担当する。スケアリー・ビューティは、アンドロイドのソロ・ボーカリストと人間のオーケストラが共演する史上初の試み。渋谷慶一郎は作曲と指揮、ピアノを担当する。
 スケアリー・ビューティは、9月30日と10月1日の2日間、オーストラリア・アデレードで開催されるアートフェスティバル「オズアジア・フェスティバル(OzAsia Festival)」で世界初演を行う。渋谷慶一郎がオペラ作品を発表するのは、ボーカロイド・オペラ「THE END」(2012年)以来5年ぶり。
 サカイは、ロボット研究者の石黒浩(大阪大学特別教授)が開発したヒューマノイド・アンドロイド「スケルトン(Skelton)」の衣装を担当。「オーストラリアン・アート・オーケストラ(Australian Art Orchestra)」の演奏をバックにスケルトンが歌い演じる楽曲は、ミッシェル・ウェルベック、三島由紀夫、ウィリアム・バロウズの作品から抜粋、コラージュされたテキストによる3曲から構成。これらのテキストは、人類が絶滅した後の地上でアンドロイドが歌い続ける奇妙な情景を想定して選ばれているという。
 なお、スケルトンの動作や運動は事前にプログラムされたものではなく、オーケストラの演奏に反応してリアルタイムで生成される。男性でも女性でもない中性的な存在のアンドロイドが、コンピューターで生成された人工合成音声で10人編成のクラシカルな室内オーケストラと共演する形で歌う新感覚のオペラとなる。