「あなたのことはそれほど」4話「私の夫は、全然普通なんかじゃなかった」ってどの口で言った

写真拡大

連続ドラマ「あなたのことはそれほど」(TBS系)。


今話の美都のバカなところ


涼太(東出昌大)の友人・小田原(山崎育三郎)は、偶然にも美都(波瑠)と有島(鈴木伸之)の不倫現場を目撃してしまう。しかしなにも、二人の不倫に気付いているのは小田原だけではない。

美都の親友・香子(大政絢)、美都の母親・悦子(麻生祐未)、院長の花山(橋本じゅん)有島のお隣さん・皆美(中川翔子)、果てはオフィシャルサイトの相関図に載ってすらいない有島の部下・千葉(平間壮一)も気付いている。

これで本気で隠せていると思い込んでいる美都はすごいバカだ。

いくらバカとは言え、なんやかんやで「ちょっとバレてる?もしくはバレそう?」と危機感を持っていると思っていた。だが実際はそうではなかった。

二人でテレビを見ている時のこと、美都は急に「ねぇ涼ちゃん、私のこと怒って良いんだよ」と涼太に問いかける。涼太は不倫のことを切り出されるのかと思い動揺してしまう。
なんとか「なんのこと?」と声を絞り出すと、美都は「お母さんのこと。嫌だったんでしょ?長い間、義理の母親と同居なんて」と、余りにも的外れな事を言い出す。さすが。

続けて「夫婦なんだから心の黒いところを見せて」と、賢い人のような事を発言。まさか、ここまでとは。

そして美都は有島との密会で「女の子はなんだかんだでベタに弱いものなの。中華街とか、港の見える丘公園とか」と、少女脳が爆発した。

当然、有島の「俺に会えない時ように趣味を持て」という言葉の裏に隠された「めんどくさい女になるな」という意味には気付かない。

涼太はかわいそうだと思う


さんざん美都に本音を話して欲しいと言われていた涼太は、遂にため込んでいた思いが溢れ出してしまう。スマホを覗き見していた事を当然のように打ち明け、美都の不可解な行動の分析を冷静に始め、有島の番号を自分のスマホに登録した事を伝えた。そして、美都の不倫を全部知った上で、それでも一生愛し続けることを、誓った。

驚きを隠せない美都「私の夫は、全然普通なんかじゃ無かった・・・・・・」。涼太怖えー。

で、終わった第4話なのだが、考えてみて欲しい。確かに涼太は間違った思考を持っているのかもしれない。でも、演技とか目つきとか演出とかそういうものををいったん抜きにして、まっさらな状態で涼太の今までの行動、気持ちを考えて見てほしい。

涼太は不倫に気付いていても怖くて切り出せなかった。探るような質問ばかりしていたのも怖かったからだ。だから、美都の実家のスナックにもわざわざ遠出して出向いた。美都の親友の香子さんの仕事帰りを待ち伏せたのも同じだ。全部、美都にフラれるのが怖いからだ。有島相手に自分がどんな感情を抱くのか知りたくなかったからだ。

誰でも共感出来るような正常な感情をこじらせて、異常な行動を取ってしまっていただけなのだ。自我を保とうという努力が見える。

美都はヤバさに気付いていない?


それならば、美都はどうだろう? ラストの「私の夫は、全然普通なんかじゃ無かった・・・・・・」は、美都のヤバさを強調している言葉にも聞こえる。

美都も美都で、偶然出会った有島と麗華(仲里依紗)の赤ちゃんを、一瞬とはいえ殺そうとしている。前話で言っていた「簡単につぶせそう」を実行しようとしている。さらに、涼太同様、有島にメールを連投している。つまり、美都は自分のヤバさに気付かずに、涼太をヤバイ人として見ているということになる。

健気なヤバイ奴と、ヤバイ奴になりつつあるが自覚を持っていない奴と、事の重大さをわかっていないチャラ男と、分をわきまえてそれなりの幸せを求める悟り女の四角関係「あなたのことはそれほど」。第5話は、自覚がない方のヤバイ奴が、悟り女に再接近する。赤ちゃんを連れて逃げろ。

(沢野奈津夫@HEW)