大学ラクロスシーズン到来!鹿島オープンで自分の現在地を確かめよ。
2016年の大学ラクロスは男子が慶應義塾大学、女子は関西学院大学がそれぞれ大学選手権を制した。関西学院大学は大学チームと社会人クラブチームで争われる全日本選手権も獲り、「日本一」の称号を手にしている。
そして迎えた2017年。今年もラクロスシーズンの到来を告げるように、大学ラクロスにおける恒例行事の1つである大会、鹿島オープンが開催された。
鹿島オープンとは株式会社KJナビツアーズが主催する、宿泊型の大会である。毎年この時期に茨城県鹿嶋市の宿泊施設で2泊3日に渡って行われ、期間中は人工芝グラウンドでの試合が最低6試合組まれるほか、強豪社会人クラブチームの選手からの指導も受けられる。以前別の場所で行われていた時を含めると今回で21回目の開催となる。
大会委員長も過去参加者。鹿島オープンの意義。
大会委員長の鈴木氏
大会委員長を務めるのは鈴木伸吾氏。元日本代表であり、強豪クラブチーム・スティーラーズでプレーする傍ら、学生への指導を行う彼もまた、学生時代に鹿島オープンに参加していたうちの1人だった。就職で大会を運営する会社に入り、大会委員長を務めている。
大会開催に向けて、準備は毎年6月から開始する。ホームページやチラシ等の作成に始まり、各大学への案内、会場との調整など、やるべきことはたくさんある。
長いラクロスシーズンの中で、鹿島オープンをどのような位置づけの大会として考えているのか。鈴木氏に尋ねた。
「1つはシーズンに入ってすぐの、このタイミングで行うことで他のチームと比べてどのくらいの実力があるかを調べる、立ち位置を確認する目的です。2つ目はオープン大会として、単独では人数が揃わないところも合同チームで参加できる点です。そうすることでフルコートでラクロスをやる場を提供しています。
練習だけをずっとやっていてもマンネリ化してしまうこともあると思います。試合だけでなく、社会人クラブチームの選手へのプレー相談会なども行うことを通して刺激を受けてほしいと思います。もちろん試合もあり、結果も出るので、それを次への糧にもしてもらいたいです。」
夏に始まるリーグ戦に向けて、オフの間に取り組んできたことを試す機会として参加している選手もいるはずだ。鹿島オープンでそれを実践しながら、社会人クラブチームの選手に相談できる環境というのは、本格的なシーズンインに向けて、有意義な時間になっているに違いない。
大会から広がる、ラクロスの輪
長くラクロスを選手として続けながら、毎年大会主催者としても学生と関わる鈴木氏だが、改めてラクロスという競技はどんな存在なのだろうか。
「ラクロスをやっている人は上昇志向が強い人が多いんです。参考書が多くあるスポーツではないので、自分達で試行錯誤してチームをつくったり、うまくなるために考えたりします。そういったことを僕も先輩から学びながらやってきて、今もこうしてラクロスに関わることで勉強している途中です。
僕自身、まだまだ気づけるところがあると感じているので、ラクロスは自分の成長に繋げたり、モチベーションを上げてくれる存在です。」
鈴木氏にとってもまた、鹿島オープンは自分自身を成長させてくれた場であり、それは今も変わらない。学生との触れ合いを通してラクロスを始めた頃の初心を思い出すこともできる。それが指導や選手活動への活力にもなっていく。
優勝した東京学芸大学Bチーム
新シーズンの到来と同時に引退した4年生は卒業を迎える。社会人になってクラブチームで活動を続ける選手もいるが、仕事との両立が難しく、競技をやめていく人もいるのが実情だ。
「ラクロスをやってきた人は競技で得た新しい気づきを通して、様々な部分が磨かれていると思います。ラクロスはカレッジスポーツと呼ばれていますが、今度実業団などもできてくるとさらに発展していくと思うので、できるだけ長く競技や普及活動を続けてほしいですね。
もし社会人になってラクロスをやめてしまう人も、これまで競技を通して培ってきたものをラクロス以外のことに挑戦する時に生かしてほしいです。」
これまで関わってきた全ての学生ラクロッサーに向けて、鈴木氏からのエールだ。
そしてまだ見ぬラクロッサーに向けて最後にメッセージを頂いた。
「これだけたくさんスポーツがある中でラクロスを選んでもらうのはなかなか難しいことだとは思います。僕もサッカーを12年やった後にラクロスを始めました。正直サッカーをやめて、新しい競技をやることにためらいもありました。うまくできないことも多かったですが、そういう時こそ考え、チャレンジしてきました。
だから新入生の皆さんにもぜひ新しいことにチャレンジしてほしいですし、それがラクロスで、大会とかで僕と出会うことができ、一緒に競技を盛り上げていこうと話ができたら嬉しいです。」
鹿島オープンには毎年引退した大学4年生や社会人が休みをとってスタッフとして手伝いに来ている。この大会を経験した選手が鈴木氏を慕い、後輩の成長を見守るという循環ができている。このスパイラルの中から、将来のラクロス界を担う選手が出ることを願いたい。
大会委員長・鈴木氏(左端)と運営スタッフ