市立呉vs至学館
至学館の誤算
市立呉(広島)vs至学館(愛知)
延長12回、2時間49分の激闘。決着は至学館のエース・新美 涼介(3年)の二塁牽制悪送球からだった。「自分がランナーを気にしすぎて、牽制のサインじゃないのにセカンドの藤原大介に投げてしまった。身勝手な行動だった。チームに申し訳ない」と悔やむ。場面は12回一死一、二塁。呉の二塁走者・近藤大亮(3年)はしきりに新美を揺さぶってきた。「僕のモーションが大きかった。テンポを変えて二塁走者を刺そうと思った」とマウンドで感じた新美。その気持ちがはやり、セカンドの藤原大と十分な意思疎通ができていなかった。結果的に捕球に失敗し、ボールはセンター方向へと転がる。走者の近藤は三塁に達しピンチが広がった。ここから守りの乱れが連鎖。決勝点を与えてしまった。
お立ち台で自分を責め続けるエースの横で、敗因を語っていたのが麻王義之監督。新美が「身勝手な行動だった」と話していたことを問うと、「そんなことはない。結果的にセカンドがジャックルする形になったが、(新美は)良く投げたと思う」とかばった。それよりも、「1点と2点の差は大きかったと思います」と12回に2点目を与えてしまったことを残念がった。
【思考破壊】をチームのコンセプトにしてきた至学館。サインプレーも100種類近くあると言われるが。それゆえの難しさをあらためて感じたゲームだったと言えるのではないだろうか。
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