2人のWBC代表に憧れるアメリカ帰りの二塁手

西村達貴(日大豊山)

 日大豊山が初回で試合を決めた。無死二、三塁から3番西村 達貴の左中間を破る適時二塁打で2点を先制。そこから打者一巡の攻めで、一気に6点を先制する。5回裏にも西村の適時打で1点を追加し、6回裏にも、二死満塁。4番高橋が左中間を破る適時二塁打を放ち、一塁走者の西村も俊足を生かして本塁へ生還し、10対0でコールド勝ちを決めた。

 この日は3打数2安打3打点2得点の活躍を見せた西村 達貴に注目したい。170センチ71キロの小柄な二塁手だが、センス抜群のプレーヤー。なんと西村の父親は愛工大名電でイチローの1年先輩。小学生の時からアメリカで過ごし、トライアウトを通して、アメリカの強豪チームに所属していた。日本の高校野球に憧れ、日本に戻ってきた選手だ。「独特の感性を持った選手です」と上野満監督が評するように、プレースタイル、話しぶりからそんな雰囲気を漂わせる選手だ。

 この公式戦を迎えるまで不調で苦しんでいたと語る西村。それでもしっかりとフォームを固めてマルチヒット。「支えてくれた監督さんや、チームメイトのおかげです」と感謝の心を忘れなかった。

 西村はスクエアスタンスで構え、両膝をまげて構えている。力みがなくバランスが取れた構えで、センスの良さを感じる。早めの始動で足を上げていき、ゆったりと右足を上げていき、レベルスイングでしっかりととらえられる技術の高さは素晴らしい。

 さらに50メートル6秒フラットの俊足を生かした走塁が魅力で、また果敢に次の塁を奪っていく走塁姿勢も素晴らしい選手だ。守備はスピード感ある動きが魅力だが、まだ股関節が固く、バウンドの合わせ方に課題がある。西村も「やっと不調を脱しましたが、走攻守の内容については全く満足していません」と語るように、上野監督も「まだまだですね」と求めるレベルは非常に高い。

 その西村が目指すプレーヤーは2人のWBC代表選手だった。ロビンソン・カノ(ドミニカ共和国代表)、ホセ・アルトゥーベ(ベネズエラ代表)だ。

「特にアルトゥーベは、僕と身長が変わらないのに、あんなパワフルな打撃とスピード感ある動きができて凄いと思っています」

ぜひ見ている人を惹きつけるようなプレーヤーとなっていけるか、注目をしていきたい。

(取材・写真=河嶋 宗一)

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