「HUNTER×HUNTER」31巻。キルアの超スピードに難なく追いつくツボネの人情
31巻はこんな話
ネフェルピトーとの対決で瀕死の重態になったゴンを助けるため、キルアはなんでも願いを叶えてくれる妹(弟の説もある)・アルカを連れて、ゴンのもとに向かう。しかし、アルカに願いをかなえてもらうためには、リスクがある。
アルカの「おねだり」を三つかなえると「お願い」を一つ叶えてくれる
ただしアルカへの「お願い」がデカければデカいほど 次のアルカの三つの「おねだり」がデカくなる(つまり、尻ぬぐいは別の人がする)
キルアは誰かに「お願い」をしてもらって尻ぬぐいは自分でするんじゃないか。失敗した場合は、犠牲者が数万人になるだろうとイルミは推測する。
キルアとアルカをゴンのもとに行かせてしまえば、ゾルティック家が全滅してしまうかもしれない。イルミはアルカの殺害に向かうのである。
一方、キルアは父親から監視役としてゴトー、カナリア、アマネ、ツボネの執事4人をつけられる。
ゾルティック家の執事養成所の長はツボネなんじゃないか説
いい事!? キルアちゃん!! アタクシは御父様やゴトーの様に甘くはありません事よ!!
キルアにプレッシャーをかけるツボネ。
キルア様を「ちゃん」呼ばわりは敷地広しといえどツボネ先生のみ……!!
普段は冷静な執事長のゴトーが尋常じゃない量の汗を流すほどの迫力。ゴトーからは「先生」と呼ばれている。
イルミの口から、ゾルティック家の敷地内には、執事養成所があると語られている。執事としての礼儀作法から、子育て、戦闘力の向上など、様々なことを叩きこまれるんだろう。ツボネはそこで教鞭を執っていたのだ。顔を見た途端、ゴトーが汗を吹き出ていたというのは、彼は養成所時代に、アマネからかなり厳しい授業を受けていたからなのかもしれない。
かつて、「肝臓ちょうだい」「十二指腸ちょうだい」「背骨ちょうだい」「脳みそちょうだい」の「おねだり」に失敗してカスガが死んだときには、67人が犠牲になっている。
ゾルティック家の執事養成所で同じクラスだった者や、担任、専科の教師たちが同時に死んだということだが、ツボネは生き残っていた。「カスガと長い時間過ごした人」のうちには入っていなかったのである。この時点でツボネは校長や理事長クラスになっていた可能性もある。
ゴトーレベルの人情派・ツボネはもう物語に出てこない方がいい
成長しましたね 坊ちゃん
いい殺し手になれますことよ…
やだね 涙腺が緩くなっちゃって
どーも母親似のイルミ様とミルキ様は好きになれないよ
かつてキメラ=アントの幹部たちを凌駕したキルアの超スピードに難なくついていき、監視を怠らないツボネ。任務の上では、イルミたちの味方だが、心情的にはキルアの味方である。
しかし、終盤。自ら掛けている眼鏡に隠しカメラを仕込まれていたことに気づく。キルアを尾行する映像がイルミにそのまま流されていたのである。
隠しカメラのせいで、イルミに追いつめられたキルア。笑顔でイルミに敵意を見せつつ、ミスを挽回しようとする。
「中指の爪ちょうだい」
「薬指の爪ちょうだい」
アルカの「おねだり」に対して笑顔で自らの爪を剥がし、「尻ぬぐい」はしますよって汗一つかかずに言ってのける。結局3つのおねだりをクリアし、キルアに「お願い」の権利を渡す。
しかし、
「ナニカは誰より優しいよ」
「呪われてるのは『お願いする方だ!!』」
キルアはゴンを治さずに、ツボネの爪を再生させてしまう。
このときのツボネの表情は、何かを憐れむような、申し訳なく思うような、どこか切ない顔をしていた。
暗殺家業はブラック企業
執事の中でもトップクラスの人情派であるツボネだが、この先、また物語に出てきたら捨て駒に使われそうな気がする。ゾルティック家は必要とあらば、執事を捨て駒の様に扱い、簡単に殺してしまうのだ。実際に、31巻でゴトーが殺されてしまっている。この他にも、アルカの威力を検証する実験台に使ったり、ヒシタを針人間に変えてしまったり(そうなったらもう助からない)、安心できる職場ではないのだ。
(山川悠)
参考→『HUNTER×HUNTER』再開を待ちながら1巻から読んでみる