「東洋の真珠」と称されるマレーシアのペナン島。その中心地が、マレーシア南部のマラッカとともに世界遺産に登録されている歴史都市・ジョージタウンです。

ジョージタウンで見逃せないスポットの一つが、ペナン島で最も有名なヘリテージホテル「チョンファッツィ・マンション」。鮮やかなインディゴブルーの外観から、通称「ブルー・マンション」と呼ばれています。

1992年公開のフランス映画「インドシナ」のロケ地にもなったジョージタウンのアイコン的存在で、2011年には世界シェア1位のガイドブック「ロンリープラネット」の「世界で最も素晴らしい邸宅10選」の一つに選ばれました。

この華麗なる邸宅は、19世紀末、中国人大富豪チョンファッツィ氏が中国から職人を呼び寄せて建設したもの。16歳で中国の農村からインドネシアへと渡り、東南アジアで実業家として成功、19世紀末のペナンを牛耳っていたチョンファッツィ氏は、「東洋のロックフェラー」の異名をとるほどの影響力を持っていました。

チョンファッツィ氏は東南アジアに複数の邸宅を持っていましたが、一番のお気に入りがこのブルー・マンションだったのだとか。

一時は荒廃していたブルー・マンションですが、丹念な修復作業の結果、かつての美しい姿を取り戻しました。38もの部屋をもつ建物は、現在はホテルとして営業しています。

宿泊しない限り自由に見て回るというわけにはいきませんが、1日3回(11:00、14:00、15:30)のガイドツアー(英語)で内部を見学することができます。

ガイドツアーは、チケットの前売りや予約の受付は行っていないので、ツアー開始時刻の15分前を目安に直接ブルー・マンションに行けば大丈夫。

敷地内に入ると、その鮮やかな青と、陶器をちりばめた繊細な装飾に目を奪われます。周囲の喧噪から切り離され、ここだけ時が止まっているかのよう。

一面青という色使いの大胆さと、精巧な装飾とがあいまって、息を呑むほどの圧倒的な存在感を放っています。

どこを切り取っても絵になるその姿に、誰もがたちまち魅力されてしまいます。

ブルー・マンションは、独特の外観もさることながら、風水を駆使して設計されていることでも知られています。建物の前方が海、後方が山を向いている立地は、風水で「龍の頭」と呼ばれ、縁起が良いとされる立地条件。

ホテルのレセプションとなっているホールに足を踏み入れると、中国の建築様式をベースに、ステンドグラスなど西洋の要素を取り入れた優雅な空間が広がります。床材はイギリスから取り寄せたものなのだとか。

柱に施されたコウモリの彫刻は、魔除けの意味。単なるデザイン・装飾ではなく、すべてに意味があるのです。

ホールと居住空間とをつなぐ部分には美しい装飾が施された仕切りや、今となってはとてつもない価値をもつというアンティークのベンチなどが置かれています。

仕切りに施された彫刻は一見木のように見えますが、なんと貝殻でできているのだそう。まさに気の遠くなるような職人技ですね。

中庭の中央部は、ブルー・マンションのなかで最も「気」が集まるパワースポット。気功経験者がここに立つと、その特別なパワーを感じることができるのだとか。

ツアーでは客室棟に立ち入ることはできませんが、優雅なヘリテージホテルの世界を垣間見ることができます。

2階では、チョンファッツィ氏が特に寵愛していたという7番目の妻が着ていた衣装や、ブルー・マンションの修復過程などの展示が見られます。

2階から見る繊細な透かし模様が施されたバルコニーは圧巻。東洋と西洋の様式が融合した美に、思わずため息がもれます。

ガイドツアーが終わるころにはきっと、「ここに泊まってみたい」という気持ちにさせられているはず。

ざまざまな文化が融合して栄えてきたジョージタウンを象徴する歴史的建造物、ブルー・マンション。ここは、ジョージタウンの歴史と文化がつまった特別な場所なのです。

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