<ドゥテルテの暴言でキャンセルされたアメリカとの首脳会談ばかりか、オバマとASEAN首脳との会議も欠席。中国とフィリピンが領有権を争う南シナ海という大きな課題は放置されたままになった>

 ご存じ、フィリピンロドリゴ・ドゥテルテ大統領。6月の就任時から麻薬犯罪の一掃を掲げ、裁判もなく多数の容疑者の殺害を容認したとして国際社会から厳しい批判を浴びてきたが、今週ラオスの首都ビエンチャンで開催されたASEAN(東南アジア諸国連合)首脳会議での外交デビューも不運なものだった。

 バラク・オバマ米大統領に人権侵害を指摘されたドゥテルテは、「くそ野郎」と外交上あり得ない言葉でオバマを侮辱、6日に予定されていた首脳会談はキャンセルされてしまった。

爆弾テロによる片頭痛?

 それだけではない。8日に行われた米・ASEAN首脳会議も欠席した。中国と対立している南シナ海の領有権問題を直接オバマと話し合える最後の機会で、重要な会議だったにも関わらず、だ。

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 それも欠席の理由は「片頭痛」。休日をとるはずだった土曜日に休むことができず、疲れがたまっていたという。

「いつもというわけではないが、大統領は激務が続いて疲労が蓄積すると頭痛になることがある」とフィリピン政府の報道官は弁明した。「ラオス入りの直前に国内で大規模な爆弾テロが起きたため、普段なら休日にしている土曜日も休めなかった」

 ドゥテルテがミンダナオ島の地元ダバオ市を訪問したタイミングを狙ったかのように、市中心部で2日夜に発生した爆弾テロのことだ。

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 幸い、7日の夜に参加各国の首脳を招いて催された夕食会の直前に、オバマとドゥテルテは握手を交わすチャンスがあったという。2分間ほどの会話もあり「二人のやり取りは和やかだった」と、代表取材をしていたアメリカ人記者は言う。

 ドゥテルテが相次いで会議を欠席した理由には、娘の流産も影響したとする報道について、フィリピン政府の報道官は否定も肯定もしなかった。

From Foreign Policy Magazine

シボーン・オグレイディ