ポケモンGOが日本でリリースされてからというもの、多くの人々があちこちでポケモンGOの虜になっているようです。総務省と消費者庁が画面を見ながら歩いたり、自動車・自転車等に乗ったりする「ながらスマホ」の注意喚起をするまでの社会現象となっています。アプリの発売元Niantic.inc.やポケモンの権利を所有している株式会社ポケモンに出資をしている任天堂の株価が急騰したことは記憶に新しいところです。

任天堂からの発表にもあったように任天堂の連結業績に与える影響は限定的かもしれませんが、ポケモンGOの注目すべき点は、多くの人々を特定の場所に移動させる、集めることができる点であり、ポケモンGOが流行することで生まれたビジネスチャンスの活用の仕方にも注目するほうが良いかもしれません。

ポケモンGOには「ポケストップ」や「ジム」と呼ばれるゲームの公式スポットが用意されています。ポケストップとはポケモンを捕まえるための道具などを入手することができる場所で、ジムは保有しているポケモンで他のプレーヤーと対戦ができる場所です。現在は世界中の名所やモニュメントなどがそれらに設定されていますが、このポケストップやジムを商業施設に広告枠として売り出すことで、ポケモンGOの運営元は新たな広告収入を得られ、広告主側としても新たな集客方法として活用することができるでしょう。既にマクドナルドとの提携はなされていますが、他にも色々な企業とのタイアップが考えられそうです。

また、ポケモンGOでは位置情報を活用してモンスターを見つけたり、ポケストップやジムなどの場所を探したりするため、これまでデータ通信を必要としていなかったユーザーにも多量のデータ通信が発生する可能性があります。また、Niantic側も多くのユーザーにアプリを楽しんでもらうためにインフラ環境を強化しなければならないかもしれません。通信キャリアやNianticにクラウドサービスを提供している会社にとっては売り上げ拡大のチャンスとなるかもしれません。

eワラント証券が注目するポケモン関連株は次の通りです。

■KDDI(9433)、NTTドコモ(9437)
データ通信量収入拡大、新規スマホ契約増加を期待。内需関連銘柄という点では円高が進んでも相対的に耐性あり。

■東日本旅客鉄道(9020)、西日本旅客鉄道(9021)
例年実施しているポケモンスタンプラリーのように各駅をポケストップにすることで、旅客運輸収入と駅ナカ施設の売上増を期待。特に東日本旅客鉄道はグループ内のジェイアール東日本企画がポケモンの広告展開に強みを持っており、ポケモンGOの広告代理店となる可能性に期待。

■セブン&アイ・ホールディングス(3382)、三井不動産(8801)
運営する商業施設をポケストップ等にすることでポケモンGOに絡めた集客イベント実施で来店増を期待。

■明治ホールディングス(2269)
ポケモン人気の再燃によってタイアップ菓子の売上増を期待。

■ミネベア(6479)
Pokémon GO Plusの製造に経営統合予定のミツミ電機が関わる可能性。

■アマゾン・ドット・コム(AMZN)、アルファベット(GOOG)
ポケモンGO開発会社Nianticはアマゾンにより提供されているクラウドコンピューティングサービス(アマゾン・ウェブサービス)とアルファベットにより提供されているGoogle Cloudを利用している模様。ポケモンGO利用者拡大でクラウドサービスを提供する両社に恩恵。アルファベットについてはアンドロイドアプリの課金増による売上増加も期待。

(eワラント証券 投資情報室長 小野田 慎)

※本稿は筆者の個人的な見解であり、eワラント証券の見解ではありません。本稿の内容は将来の投資成果を保証するものではありません。投資判断は自己責任でお願いします。