舞台『娼年』で妖艶な絡みも…松坂桃李「出演にためらいはなかった」
「出演作はすべて両親に観てほしいと思っていました。でも今回に関しては、できることなら観に来ないでほしい。それくらい自分の中で、覚悟を持って挑む作品です」――俳優・松坂桃李が、舞台『娼年』で2年ぶりに演劇の舞台に立つ。ごく普通の大学生・領が、ボーイズクラブのオーナー・静香(高岡早紀)にスカウトされ娼夫となり、さまざまな女性の欲望を叶えてあげることによって成長していく物語だ。演劇界では異例のR-15指定。濡れ場シーンもあるという本作で新境地を切り開く松坂に、現在の心境を聞いた。
撮影/アライテツヤ 取材・文/江尻亜由子
スタイリング/伊藤省吾(sitor) ヘアメイク/SHUTARO(Vitamins)
――8月末から上演される舞台『娼年』で、娼夫役を演じられる松坂さん。娼夫役と聞いてどう思いました?
意外、でしたね。世の中の方がどう思っているかはわからないですけど、「こんなふうに思われているだろうな」と僕が思っていたパブリックイメージとは、まったく違うテイストの役柄だなと。「こんな機会はなかなかないので、ぜひ」とお返事しました。
――ベッドシーンが何度もあるようですし、それを観客の前で演じるというのはけっこうハードルが高い気がしますが、ためらいはなかったですか?
ためらいはなかったですね、決意をしたその瞬間は。「こんなお話をいただいた」っていう衝撃のほうが大きかったので。ありがたいなぁと思って。
――ありがたい、というのは、またひとつ殻を破れるというか、新しい自分を引き出してもらえる、みたいな感覚なんでしょうか?
というより、自分の中でまた自分にかけるハードルが上がるというか、新しいことに挑戦できる喜びというか。そのぶん大変なんですけども(笑)。……いわゆるパブリックイメージどおりの作品をやり続けていると、自分が自分にかけるハードルが低くなっていくと思うんです。もちろんイメージどおりの役柄をやり続けるのも、それはそれでスゴいことだとは思うんですけど。
――脚本・演出を手がける三浦大輔さんといえば、2014年に公開された映画『愛の渦』。過激でリアルな会話と描写で人間の性欲に真正面から向きあった内容で話題を呼びました。
『愛の渦』も観ましたし、舞台では『ザ・シェイプ・オブ・シングス』(向井 理主演)や寺島しのぶさんが出演されていた舞台『禁断の裸体』も観に行きました。生々しいところはしっかり生々しく描いていて、人の「欲」の部分がぬるっと出てくる感じが、とても印象的でした。
――出演が決まってから、三浦さんと何かお話されました?
まだ顔合わせとビジュアル撮影くらいで(※取材を行ったのは6月上旬)。「よろしくお願いします」「あっ、どうも」くらいしかお話できてないんです。
――しかもそんな囁くような小声で?(笑)
お互い目を合わせることもできず、ちらちらと見ながら(笑)。最初の顔合わせのときは特に、三浦さんの人見知りな感じが出てましたね。僕が誰かと話していると、視線を感じるんですよ。でも僕が三浦さんのほうを見ると、目をそらされてしまうという(笑)。
――顔合わせの時点では、「この役を本当に松坂さんがやってくれるなんて信じていない」とおっしゃっていたみたいですよ。
そうなんですか?(笑)だからかな、2回目にお会いしたビジュアル撮影のときには、人見知りがなくなってきてる感じがしました。若干ですけど(笑)。
――あんなに大胆な作風の三浦さんが人見知り、というのは意外でした。
三浦さんの作品というと、センセーショナルな印象が強いですよね。だからこそ、石田衣良さんの原作『娼年』をどう演出されるのか…。石田さんの紡ぐ言葉って、とてもキレイだと思うので。そこに三浦さんの手が加わることによってどうなるのか、今から楽しみです。
――松坂さんが演じられる領という青年は、どういう印象でしょう?
自分の中に自分のことを押し込んで、フタをしている人。だからといって、すごく暗い性格ってことではなく、むしろ他人との距離感が絶妙にはかれるというか。フラットな状態の人だなぁと思いました。
――「人や物事をあるがままに受け入れるところが自分に近い」とコメントされていましたよね。
はい。僕自身、聞き役に回ることが多いんです。みんなから話しやすいと思われているのか…? それはどうかわからないですけど、聞かれない限り自分のことは話さないです。
――それはどうして?
単純に、自分の話は面白くないので(笑)。人の話を聞いてるほうが、僕も楽しいんです。
――領は、高岡早紀さん演じる静香と惹かれ合っていきます。松坂さんご自身は、自分よりひと回り年上の女性との恋愛って想像できますか?
原作を読んでいて、領が静香に惹かれていく感じは強く共感しましたが、自分がリアルにそうなるか…というと、正直あんまり考えたことなかったですね。でもやっぱり色気を感じる瞬間はどの年代の方にもありますし、機会があれば、ねぇ?(笑)静香さんのような方とご一緒したいですよ。
――年上の女性のどういう部分に惹かれるんでしょう?
気になる部分はやっぱり、ウラ側ですね。経験も豊富で洗練されていて、余裕があるように見えるけれど、そことはまた違った部分を見てみたくなります。あと、転がされたらどうなるんだろう、とか(笑)。
――相手には、相当の経験値があるわけですからね。
自分がリードしてるふうに見えても、実際は手のひらの上で転がされてますよ(笑)。
――高岡さんとは映画『今日、恋をはじめます』(2012年)で親子役で共演されていますよね。高岡さんの印象というと?
母性と女性本来の色気を感じる方です。このお話が決まってからは、僕の中ではすでに静香のような印象というか。領が静香を目で追ってしまうように、僕も高岡さんを意識していますね。
――相手が高岡さんだと決まった段階で、すんなりイメージできた、と。
そうですね。すっと役に入っていけるんじゃないかなと思います。
――高岡さんとは何かお話されました?
まだ撮影ぐらいでしか会えてないんですけど、そのときは「よろしくね〜♪(ニコッ)」って声をかけていただきました(笑)。
撮影/アライテツヤ 取材・文/江尻亜由子
スタイリング/伊藤省吾(sitor) ヘアメイク/SHUTARO(Vitamins)
新しいことに挑戦できる喜びを感じて
――8月末から上演される舞台『娼年』で、娼夫役を演じられる松坂さん。娼夫役と聞いてどう思いました?
意外、でしたね。世の中の方がどう思っているかはわからないですけど、「こんなふうに思われているだろうな」と僕が思っていたパブリックイメージとは、まったく違うテイストの役柄だなと。「こんな機会はなかなかないので、ぜひ」とお返事しました。
――ベッドシーンが何度もあるようですし、それを観客の前で演じるというのはけっこうハードルが高い気がしますが、ためらいはなかったですか?
ためらいはなかったですね、決意をしたその瞬間は。「こんなお話をいただいた」っていう衝撃のほうが大きかったので。ありがたいなぁと思って。
――ありがたい、というのは、またひとつ殻を破れるというか、新しい自分を引き出してもらえる、みたいな感覚なんでしょうか?
というより、自分の中でまた自分にかけるハードルが上がるというか、新しいことに挑戦できる喜びというか。そのぶん大変なんですけども(笑)。……いわゆるパブリックイメージどおりの作品をやり続けていると、自分が自分にかけるハードルが低くなっていくと思うんです。もちろんイメージどおりの役柄をやり続けるのも、それはそれでスゴいことだとは思うんですけど。
――脚本・演出を手がける三浦大輔さんといえば、2014年に公開された映画『愛の渦』。過激でリアルな会話と描写で人間の性欲に真正面から向きあった内容で話題を呼びました。
『愛の渦』も観ましたし、舞台では『ザ・シェイプ・オブ・シングス』(向井 理主演)や寺島しのぶさんが出演されていた舞台『禁断の裸体』も観に行きました。生々しいところはしっかり生々しく描いていて、人の「欲」の部分がぬるっと出てくる感じが、とても印象的でした。
――出演が決まってから、三浦さんと何かお話されました?
まだ顔合わせとビジュアル撮影くらいで(※取材を行ったのは6月上旬)。「よろしくお願いします」「あっ、どうも」くらいしかお話できてないんです。
――しかもそんな囁くような小声で?(笑)
お互い目を合わせることもできず、ちらちらと見ながら(笑)。最初の顔合わせのときは特に、三浦さんの人見知りな感じが出てましたね。僕が誰かと話していると、視線を感じるんですよ。でも僕が三浦さんのほうを見ると、目をそらされてしまうという(笑)。
――顔合わせの時点では、「この役を本当に松坂さんがやってくれるなんて信じていない」とおっしゃっていたみたいですよ。
そうなんですか?(笑)だからかな、2回目にお会いしたビジュアル撮影のときには、人見知りがなくなってきてる感じがしました。若干ですけど(笑)。
――あんなに大胆な作風の三浦さんが人見知り、というのは意外でした。
三浦さんの作品というと、センセーショナルな印象が強いですよね。だからこそ、石田衣良さんの原作『娼年』をどう演出されるのか…。石田さんの紡ぐ言葉って、とてもキレイだと思うので。そこに三浦さんの手が加わることによってどうなるのか、今から楽しみです。
色気?余裕? 年上女性に惹かれる瞬間
――松坂さんが演じられる領という青年は、どういう印象でしょう?
自分の中に自分のことを押し込んで、フタをしている人。だからといって、すごく暗い性格ってことではなく、むしろ他人との距離感が絶妙にはかれるというか。フラットな状態の人だなぁと思いました。
――「人や物事をあるがままに受け入れるところが自分に近い」とコメントされていましたよね。
はい。僕自身、聞き役に回ることが多いんです。みんなから話しやすいと思われているのか…? それはどうかわからないですけど、聞かれない限り自分のことは話さないです。
――それはどうして?
単純に、自分の話は面白くないので(笑)。人の話を聞いてるほうが、僕も楽しいんです。
――領は、高岡早紀さん演じる静香と惹かれ合っていきます。松坂さんご自身は、自分よりひと回り年上の女性との恋愛って想像できますか?
原作を読んでいて、領が静香に惹かれていく感じは強く共感しましたが、自分がリアルにそうなるか…というと、正直あんまり考えたことなかったですね。でもやっぱり色気を感じる瞬間はどの年代の方にもありますし、機会があれば、ねぇ?(笑)静香さんのような方とご一緒したいですよ。
――年上の女性のどういう部分に惹かれるんでしょう?
気になる部分はやっぱり、ウラ側ですね。経験も豊富で洗練されていて、余裕があるように見えるけれど、そことはまた違った部分を見てみたくなります。あと、転がされたらどうなるんだろう、とか(笑)。
――相手には、相当の経験値があるわけですからね。
自分がリードしてるふうに見えても、実際は手のひらの上で転がされてますよ(笑)。
――高岡さんとは映画『今日、恋をはじめます』(2012年)で親子役で共演されていますよね。高岡さんの印象というと?
母性と女性本来の色気を感じる方です。このお話が決まってからは、僕の中ではすでに静香のような印象というか。領が静香を目で追ってしまうように、僕も高岡さんを意識していますね。
――相手が高岡さんだと決まった段階で、すんなりイメージできた、と。
そうですね。すっと役に入っていけるんじゃないかなと思います。
――高岡さんとは何かお話されました?
まだ撮影ぐらいでしか会えてないんですけど、そのときは「よろしくね〜♪(ニコッ)」って声をかけていただきました(笑)。