開幕から1か月が経った。高卒新人はまだ育成期間とはいえ、成績が気になるはず。今回はスタートを切った高卒新人投手のこれまでを振り返っていきたい。※成績は5月1日現在

現段階は育成期間 実戦の活躍はこれからか小笠原 慎之介(中日ドラゴンズ)

 昨年の高校生ナンバーワン左腕で中日ドラフト1位の小笠原 慎之介(関連記事)。4試合に登板し、防御率6.19と苦しい投球を強いられている。16イニングを投げて12四球とやや多く、被安打15とほぼ1イニングに1本は打たれている計算となる。想像以上に苦しいスタートになっていることは間違いない。だが、このようにプロの壁を早く味わって、自分は何が武器なのか、活躍するためには何が必要なのかを考えていくことはとても大切だ。この苦しみを乗り越えて、大きくなれる投手だと信じている。

 今年のセ・リーグの高卒投手で二軍戦で公式戦登板している選手は、東京ヤクルトに3位指名された高橋 奎二、そして阪神ドラフト4位の望月 惇志と非常に少ない。その高橋は5月1日の横浜DeNA戦でプロ初先発プロ初登板を果たし、3回無失点3奪三振の好投。

 そして望月は高校時代最速140キロ後半を計測した速球投手で、プロ入り直後に成長を見せ、想像以上に早く実戦デビューをしているようだ。現在は2試合に登板し、防御率3.38、三振も3つ奪っている。2人とも上々の滑り出しを見せているといえるだろう。

成田 翔(千葉ロッテマリーンズ)

 読売ジャイアンツ3位指名の大型右腕・與那原 大剛(関連記事)と6位の巽 大介は、4月29日の富山GRNサンダーバーズ戦で登板した。與那原は1回無失点に抑えたが、巽は1回3失点とほろ苦いデビューとなっている。

 パ・リーグでは千葉ロッテのドラフト3位の成田 翔(関連記事)、ドラフト5位の原 嵩ともに二軍戦での登板はないが、成田も原も5月1日のフューチャーズ戦に実戦登板し、2人とも1回無失点に抑えている。またオリックスでは吉田 凌が2試合に登板し、計2回で5失点とこちらもほろ苦いデビューとなっている。

 開幕1か月の動きを見ると、球団はじっくりと高卒ルーキーを育てているのが分かる。特に福岡ソフトバンク1位の高橋 純平(関連記事)は二軍・三軍ともに登板なしなのだ。大きなケガをしているわけではないが、まずはプロでやれる体力をじっくりと身に付けている段階なのかもしれない。高橋純は昨年のドラフト前にインタビューした時も、まずはプロでやれるように焦らずにしっかりとやっていきたいと語っていたので、いずれ浮上してくると思う。

  振り返ると、高卒新人投手のスタートはやはりじっくりとしているもの。それを考えると、高卒1年目から登板していた二刀流で活躍していた大谷 翔平(北海道日本ハムファイターズ)、松井 裕樹(東北楽天<関連記事>)、藤浪 晋太郎(阪神)などは別格の投手ということが分かる。

 しかし焦る必要はなく、投手陣の活躍はこれからになるだろう。1か月後にもまた定期報告としてこのコラムを掲載したいと思うので、楽しみにしていただきたい。

(文=河嶋 宗一)

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