ももクロ × ブックディレクター・幅允孝「人生を豊かにしてくれる本とは?」
「ももいろクローバーZのSUZUKIハッピー・クローバー!」略して“ハピクロ”。ももいろクローバーZが贈る、“教養エンターテインメント・プログラム”です。毎週、様々なジャンルのプロフェッショナルの先生たちが登場して、「○○学」と題した、聴けばつい誰かに話したくなるアカデミーを開講中です。
4月に入り、番組がリニューアルしました。
ももクロメンバーは、毎週2人ずつ登場。より1人1人がクローズアップされます!
4月3日は、「人生を豊かにする“本”引き寄せ学」のハピクロ・アカデミーを開講。ブックディレクターの幅允孝さんをお迎えして、「自分に合った本の選び方」や、「社会人にオススメの本」について、教えてもらいました。
(ももいろクローバーZがパーソナリティをつとめるTOKYO FM「ももいろクローバーZのSUZUKIハッピー・クローバー!」4月3日放送より)
幅先生:百田さんと佐々木さんは、本は読みますか?
あーりん:学校とかで朝の読書の時間があったりしたから、「青い鳥文庫」や、「ディズニー文庫」とか、めちゃめちゃ読みました。
幅先生:百田さんはどうですか?
かなこ:私はいまの方が読みますね。
学生時代はあんまり読まなかったです。
幅先生:読んでなさそうですよね、漢字書けませんもんね(笑)。
かなこ:漢字書けないんですよ〜(笑)。本屋さんに行っても、ベストセラーと言われているところから選ぼうとしちゃうんですよね。
幅先生:僕は直感に聞いてもいいのかなと、「迷ったら買え!」みたいな感じで、買われるといいと思います。
本って、遅効性の道具だと思うんですね。”役に立つかわからないけど、楽しいから読んでみよう”という気持ちで、じわじわと染み込んでくるみたいな感じで、手に取ってもらえたらと思います。
本を読むのが長続きしないという方にオススメの読み方は併読、4冊くらい本を同時並行で読むのはいいですね。
あーりん:頭の中がぐちゃぐちゃにならないんですか?
幅先生:イメージとしてはご飯と近いんです。”今日の夜はお肉を食べたい!”みたいな、自分にとってストレスのない本を選ぶ。それが、本とのうまい付き合い方なのかなと思います。
4冊くらいあると、絶対に進まない本は出てくるんです。そういう本はトイレに置いています。途中で本を読み止めちゃうと、敗北感を感じるじゃないですか。
あーりん:わかる!(笑)
幅先生:本は待ってくれるものだと思うんですよ。トイレだったら毎日見るじゃないですか、”この本、まだ待ってくれてるな〜”みたいな感じで。
2、3ヶ月経ったときに、”これ、読めるかも”みたいな日がくるんですよ。パッと手にとって読んでみると、意外に進んだりして。慌てず、騒がず本と付き合うのがいいのかなと思います。
──ブックディレクター・幅允孝先生に学ぶ「人生を豊かにする“本”引き寄せ学」
”ももクロと同世代! 20歳前後の皆さんにオススメの1冊”
清野:ここからは、「人生を豊かにする“本”」をご紹介いただきたいと思います。
幅先生:長く読むのが辛いという方には、詩集なんかはどうかなと思ってお持ちしました。茨木のり子さんの「自分の感受性くらい」です。これは、読むと背筋が伸びる本ですね。
「駄目なことの一切を 時代のせいにはするな」いろんなことを人のせいにしがちなんだけど、
「自分の感受性くらい 自分で守れ ばかものよ」と書いてあるんですよね。
こういうのを読むと、背筋が伸びて、反省したりするんですよ。20歳くらいの女性が読むと、気付きがあるんじゃないかと思います。
──”社会人にオススメの1冊”
幅先生:社会人の皆さんに読んでほしい本「くらしのこよみ」という1冊です。昔は、「二十四節気 七十二候」と言いまして、日本は72の季節に分かれていたのはご存知ですか?
あーりん:立春、とかですか?
幅先生:そうなんです。それは「二十四節気」で、「七十二候」はもっと細かく分かれています。
例えば4月3日を調べると、「雷乃声発(かみなりすなわちこえをはっす)」という季節の名前なんですよ。
旬の魚がイイダコとか、旬の野菜がニラだとか、季節の花はチューリップ、とかね。
かなこ:そういうのを教えてくれるんだ〜。
幅先生:カレンダー式に、多くの図版を使いながら今の事項を教えてくれるんですよ。
あーりん:”何が旬なのか?”とか、よくわからないもんね。
幅先生:社会人になったら、大人のたしなみとして「いまは、サザエが美味しい季節でね」とか、なんとか(笑)。
かなこ:言いたい!(笑)
清野:いろいろな本をご紹介していただきましたが、百田さんと佐々木さん、いかがですか?
かなこ:詩集が気になります。何をやっていても、自分ができない理由を何かのせいにして、納得しようとしちゃったりって、どうしてもあるんですよ。
そういうときに、こういう本を読みたいなと思いました。
清野:詩は言葉が短くても刺さりますよね。
かなこ:自分が行き詰まったとき、本に背中を押してもらうのも有りなのかなと思います。
清野:佐々木さんはどうですか?
あーりん:先生の話を聞いてたら、「くらしのこよみ」が気になりました。
おばあちゃんとママが、旬のものにこだわる人で……改めて日本人として知っておきたいなと思いました。
清野:では、先生には、ここでクイズをお願いしたいと思います!
幅先生:社会人向けにもう1冊持ってきた本「鮨12ヶ月」。これは、新橋の「鶴八」というお鮨屋さんが、毎月旬のネタを教えてくれます。
”普通のお鮨の紹介本とは違うところはどこか?”というのを、クイズにしたいと思います。
1番使われている魚の部位が違う
2番登場する魚が大きい
3番同じネタを毎月食べる
あーりん:どれかな〜?
かなこ:「いっせーの」で、いける?
かなこ・あーりん:いっせーの! 1番!
あーりん:お! 揃いましたね(笑)。
幅先生:これは、3番の「同じネタを毎月食べる」です。
かなこ:ナヌ!? けっこう自信あったのに!
幅先生:1月の旬のコハダから始まって、サバ、タコ……。2月のページを開くと、またコハダから始まるんですよ。
よくよく読むと、「1月のコハダと、2月のコハダが同じなわけがない」と、この本では言ってるんですよね。
かなこ:なるほど〜。
幅先生:同じコハダなんだけど、1月は熊本産のコハダ、2月は東京湾のコハダ。
お鮨の包丁の入れ方も違うんですけど、そうすることによってお酢の感じ方が違ってくるみたいなことを教えてくれたりします。
かなこ:おもしろ〜い!
幅先生:”毎月、毎月、コハダかよ!”って思うんですけど、実は同じコハダでも、まったく違った味わいがする。
僕もこれを見ながら、お鮨を勉強しました。
──「人生を豊かにする“本”引き寄せ学」家族編
清野:幅先生、最後は家族編があるんですよね?
幅先生:最近監修した1冊、ドラえもん名言集「のび太くん、もう少しだけがんばって」です。
かなこ:はい〜! もう読みたい!(笑)
ドラえもんがのび太に伝えたいメッセージって泣けるんですよね、小さい時は何も考えずに観てたけど、大人になってドラえもんを見ると、違う部分が揺さぶられて……。
あーりん:道具の裏に隠された真意、みたいなね(笑)。
幅先生:ドラえもんは、アニメ、映画もありますけど、てんとう虫コミックスの漫画で、藤子・F・不二雄さんが描いてました。
たまたま、僕はのび太とお誕生日が一緒なんですよ(笑)。そういうご縁もあって、こういう本を1冊作ろうと思ったんです。
かなこ:漫画の中からピックアップした名言集なんですね。じゃあ、わたしが知らないのも多いかも。
幅先生:漫画版が、より藤子・F・不二雄さんのメッセージが込もっていて、ちょっとずつ人間関係が変わっていったり、のび太や周りの人間も少しずつ成長していく、味わいのあるストーリーが漫画にはありますね。
名言集から、てんとう虫コミックスに興味を持っていただけたら嬉しいなと思って作ってみました。
あーりん:小さい子でも、お父さんでも、親子で一緒に楽しんで読めるね。
子供が響く言葉と、お父さん、お母さんが響く言葉が違ったりして面白そう。
かなこ:最後に、本がある事によって、人生はどんな風に豊かになるのでしょうか?
幅先生:本って、読まなくてもいいんですけど、読んでおくと、いつか読んだ何かがじわっと芽が出る。遅効の道具と捉えてもらえるといいのかなと思います。
”すぐ読んで、すぐ何かを得よう”ではなく、ゆっくりじわじわと自分に染み込んでくるものだと捉えてもらえたら、もう少し気楽に、楽しく本というものと付き合えるんじゃないかと思います。
あーりん:なんか、本を読むことが気楽になったね!
かなこ:ね! もうちょっと手に取ってみようかな、とか思うよね。
今日の先生は、ブックディレクターの幅允孝先生でした!
かなこ・あーりん:先生、今日は本当にありがとうございました!
ももいろクローバーZがパーソナリティをつとめるTOKYO FM「ももいろクローバーZのSUZUKIハッピー・クローバー!」。4月10日のゲストは、気象予報士の天達武史さんが登場します。
〈番組概要〉
番組名:「ももいろクローバーZのSUZUKIハッピー・クローバー!」
放送エリア:TOKYO FMをはじめとする、JFN全国37局ネット
放送日時:毎週日曜 16:00〜16:55
パーソナリティ:ももいろクローバーZ、清野茂樹
番組Webサイト: http://www.tfm.co.jp/clover/