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●欧米女性が愛用、生理用ナプキンにはないメリット
女性の皆さん、生理用品はナプキン派ですか? それともタンポン派ですか? 実は最近、ナプキンともタンポンとも違う「月経カップ」という生理用品が話題になっているのをご存じでしょうか。

今回は、月経カップとはどんなもので、生理用品の選択肢としてアリなのかどうか、知っておきたい注意点とあわせてご紹介します。

○膣内で経血を"ためる"新しい生理用品

月経カップとは、シリコンなどでつくられた、小さなカップ型の生理用品。膣内に入れて、経血をカップ内にためて使用します。経血量にもよりますが、1日に2回程度は取り出して、たまった血を捨てて洗浄する必要があります。

新しいタイプの生理用品と言っても、欧米では何十年も前から多くの女性に愛用されてきたそう。ただ日本では認可されていないため、使いたい場合は、海外製のものをインターネットなどで購入することになります。価格はメーカーにより異なりますが、大体4,000円前後です。

○メリットは「漏れない」「エコで経済的」

まず大きなメリットは、自分に合うものをうまく装着できれば、ナプキンのように漏れる心配が少なく、快適に過ごせる点。体内に異物を入れている違和感もあまりないという声が多いようです。さらに、頻繁に取り替えが必要なナプキンと比べると、長時間装着したままにできるのも魅力です。

膣内に入れて使うという点ではタンポンと同じですが、月経カップは洗って繰り返し使えるので、ゴミが出ず、エコで経済的。また、取り出したときに経血量が目で見えるので、自分の体の変化を把握しやすいという面もあるかもしれません。

●痛みが心配、装着難度は「タンポン以上」ってホント?
○デメリットは「装着難度」「衛生面」

一方、デメリットもいくつかあります。第一に、膣内に入れて使うものなので、慣れないと出し入れが難しく痛みを伴うこともある点です。タンポンには通常、アプリケーターやヒモがついているため、基本的には手を膣内に入れる必要がありません。しかし月経カップは、手を使って出し入れしなければいけません。手が汚れますし、装着の難度はタンポン以上と考えていいでしょう。

そのほかに、衛生面も気になります。素材はシリコンなので、正しく使えば雑菌が繁殖する可能性は少ないのですが、取り出した後にちゃんと洗わなかったり、不潔な手で出し入れを行ったりすれば、膣内に炎症などが起こる可能性も。さらに、取り出すのを忘れて入れっぱなしにしたり、出すときに爪で傷をつけてしまったりといったトラブルもありえます。

まれではありますが、膣や子宮膣部(子宮の出口部分)にカップが触れることで、「迷走神経反射」といって、雑菌の繁殖などから急に血圧が下がり、気を失ってしまうようなショック状態を起こす可能性があります。膣の中に装着するものは、医療器具として扱わなければならないため、注意が必要です。

○ほかの生理用品を知っていますか?

もちろん、ナプキンやタンポンなどで特に不便を感じていない人は今の方法を続けて大丈夫です。一方で、生理を快適に過ごすためのグッズは増えつつあります。

例えば、ナプキンかぶれが気になる人の間で「布ナプキン」の使用が注目されていますね。また、経血量が多くて漏れてしまうのが心配な人には、ナプキンと二重で使用する日本製の生理用品もあります。まず会陰(えいん: 膣口から肛門までの間の部分)に経血をためるものを貼り、その上からナプキンを重ねて使います。従来の生理用品に不満がある人は、いろいろと試してみてもいいのではないでしょうか。

なお月経カップは、国内での認可がないのでインターネットなどで購入することになります。個人の責任のもと十分注意して使うようにしてください。また、痛みやトラブルがあったら、すぐに婦人科を受診しましょう。また、月経カップに関しては、医師によっても意見が違うので、信頼できるかかりつけの婦人科がある人は、一度相談してみてもいいかもしれませんね。

※画像は本文と関係ありません

○記事監修: 善方裕美 医師

日本産婦人科学会専門医、日本女性医学会専門医
1993年高知医科大学を卒業。神奈川県横浜市港北区小机にて「よしかた産婦人科・副院長」を務める。また、横浜市立大学産婦人科にて、女性健康外来、成人病予防外来も担当。自身も3人の子どもを持つ現役のワーキング・ママでもある。

主な著書・監修書籍
『マタニティ&ベビーピラティス―ママになってもエクササイズ!(小学館)』
『だって更年期なんだもーん―なんだ、そうだったの?この不調(主婦の友社)』
『0〜6歳 はじめての女の子の育児(ナツメ社)』など

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