東京商工リサーチの調査によると、2015年に希望・早期退職者を募集した上場企業は2000年以降で最も少なかったことが分かった。募集人数が最も多かったのはシャープの3500人。

 2015年に希望・早期退職者の募集実施を公表した上場企業数は前年と同数の32社で、調査を開始した2000年以降で最少だった。

 2000年以降で募集企業が最も多かったのは2002年の200社で募集人数も過去最多の3万9732人。最近ではリーマン・ショック後の2009年に191社(募集人数2万2950人)が実施した以降は減少傾向となっている。

 2015年の募集企業32社を産業別に見ると、最も多かったのは電気機器の6社。次いで、小売業の4社。

 募集人数は8843人で前年(8852人)とほぼ同じ水準。2年連続で1万人を下回ったのは2000年以降で初めて。

 個別企業(グループ会社を含む)で募集(応募)人数が最も多かったのは、シャープの3500人(募集)で、全体の約4割を占めた。次いで、横河電機1105人(応募)、サニックス900人(募集)など。募集(応募)人数が100人以上になったのは17社(前年10社)だった。

 調査を実施した東京商工リサーチは、「ゲームやスマホアプリ開発などのgumiは、2014年12月に上場を果たしたが、赤字の業績下方修正で2015年3月末から早々に希望退職募集を実施した。上場企業の人員削減の動きは落ち着きをみせているが、製薬大手の田辺三菱製薬が国内市場の縮小を見越して、成長が期待できる海外に投資を振り向ける体制を整えるために早期退職者を募集したり、今後も将来のビジネス展開を見据えて人員削減に踏み切る企業が出てくる可能性が高い。また、不正会計問題を機に事業運営体制の見直しを進める東芝が、早期退職や配置転換などの構造改革策を発表するなど、2016年の上場企業の動向が注目される」とコメントしている。

 同調査は、2015年1月以降に希望・早期退職者募集の実施を情報開示、具体的な内容を確認できた上場企業を抽出している。

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