中国のドローンメーカー「EHANG-Home」が、開発中の乗用ドローン「EHANG184」をアメリカ・ラスベガスで開催中のCES 2016の会場で発表しました。EHANGによると、EHANG184は人間が一人乗って飛ぶことが可能で、目的地を指定するだけで周囲の安全を確認しながら飛行が可能なAAV(Autonomous Aerial Vehicle:自律飛行機)とのことです。

EHANG-Home

http://www.ehang.com/index.html

Ehang's autonomous helicopter promises to fly you anywhere, no pilot required | The Verge

http://www.theverge.com/2016/1/6/10721654/electric-self-flying-quadcopter-ehang-184-ces-2016

EHANG184は人が乗って飛ぶことができる乗用ドローン。人が乗るキャビンから4本のアームが伸び、その先にローターを搭載する様子はまさにドローンそのもの。



乗用車のようなデザインのキャビンから4本のアームが伸び、その先には2枚のローターを装備。合計8枚のローターを回転させて飛ぶマルチコプターです。



キャビン部分の形状はヘリコプターの機体にも似ています。また、アームは以下のように折りたたんでコンパクトに格納することが可能。



透視図で見ると、人がちょうど一人乗れるサイズの機体になっていることがわかります。コンセプトは、まさにドローンをそのまま大きくして人間が乗れるようにした乗り物と言ったところ。



内部は人がすっぽりと収まるバケット形状のシートが備えられています。



シート横から伸びるブームの先には、機体に指令を行うためのタブレットを装着。室内には空調や室内灯が用意されており、小型の荷物を入れるラゲッジスペースも設けられる模様。乗員は操縦を行う必要がないので、操縦桿などの機器は備えられていません。



機体の全高は2047mmで、ローターを含む全長・全幅は3866×2899mm。機体はカーボンファイバー樹脂とアルミで作られるとのことですが、重量は200kg前後と発表されています。



EHANG184は1名の乗員を含む最大100kgの荷物を乗せ、約23分・約16kmの飛行が可能。合計出力106キロワットの8つのモーターでローターを回転させ、最高で500メートルの高さまで上昇して平均時速100kmでのフライトが可能とのこと。これが本当に実現するとしたら、かなり画期的な乗り物になることは間違いありません。



CES 2016の会場で実機が展示されているとのことで、大きく期待してしまいそうなEHANG184ですが、現地を取材しているThe Vergeによると、現段階ではまだ「アイデアコンセプト」の段階を越えるものではないとのこと。EHANGのサイトなどではEHANG184が飛行しているムービーを見ることができますが、そのほとんどがCGによる映像であり、実際に人を乗せて飛んでいる様子は確認できなかったとのこと。



EHANG184が飛んでいる様子は以下のムービーの後半で確認が可能ですが、やはり人を乗せている様子は確認できません。また、ラスベガス周辺を示すマップが表示されていますが、後述のようにアメリカ国内での飛行は不可能なため、実際に飛ばして撮影されたものかどうかには疑問が残ることも否めません。

EHANG184, world's first Autonomous Aerial Vehicle - YouTube

アメリカでこのような航空機を飛ばす場合には連邦航空局(FAA)による耐空証明を受ける必要がありますが、現段階では認可を受けておらず、実際の飛行は不可能。EHANGは「中国国内で飛行テストを行った」としているようですが、その様子を確認できる映像や資料は確認できなかったとのことです。



実際に人を乗せて飛ぶ段階になると、周囲や同様の機体との安全をどのようにして確保するのかという問題を避けることもできませんが、これに関しても現段階では不透明の状態の模様。これからさらに開発が進められることになると思われますが、実際に人を乗せて飛ぶ様子を見るのはもう少し先になりそうです。

なお、Ehangは中国のドローンメーカーで、以下の「GHOSTDRONE 2.0」のような製品を開発しています。

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