U-18代表メンバーたちは次のステージへ!プロ入りか進学か?
日本で開催された第27回 WBSC U-18ベースボールワールドカップ。日本はこの大会で準優勝を収める活躍を見せ、選手たちの素晴らしいパフォーマンスに感動を覚えた方も多いはず。今回はU-18大会出場選手の中で、ドラフト指名を受けた選手、またそれ以外のステージへ進む選手たちを振り返っていきたい。
ドラフト指名された8人の選手たちエース格として活躍した佐藤 世那(仙台育英)
投手・佐藤 世那(仙台育英高) オリックス※2015年インタビュー・成田 翔(秋田商業高) 千葉ロッテ※関連コラム・高橋 樹也(花巻東高) 広島・小笠原 慎之介(東海大相模高) 中日※関連コラム・高橋 純平(県立岐阜商業高) 福岡ソフトバンク※2015年インタビュー
捕手・堀内 謙伍(静岡高) 東北楽天
内野手・平沢 大河(仙台育英高) 千葉ロッテ※2015年インタビュー
外野手・オコエ 瑠偉(関東一高) 東北楽天※2015年インタビュー【前編】 【後編】
なんと8人がドラフト指名を受け、そして1位が4人いる。つまり今年、ドラフト1位指名された高校生はすべてU-18経験者ということになる。1位指名されたい高校球児はU-18に入る目標を持つ必要性もあるかもしれない。そしてやはり数多くの日本の高校球児の中から選ばれた20人である。選り抜きの20人の中で、抜きん出たパフォーマンスを示したプレイヤーは必然と評価が高くなりやすいということだろう。
ドラフト1位指名を受けた高橋 純平、小笠原 慎之介はエース候補性として期待されるだけに、ケガに気を付け、伸びていってほしい大器だ。また成田 翔はメキシコ戦に先発して4回7奪三振。自慢の速球とキレ味鋭い変化球のコンビネーションは見事だった。やはり三振が奪えるのがこの投手の最大の魅力で、プロの舞台での好投にも十分期待が持てる。
高橋 樹也はリリーフとして3試合に登板し、6イニングを投げて7奪三振、無失点の好投を見せた。相手打者に狙い球を絞らせないピッチングはプロの世界でも大きく生きてくるだろう。成田、高橋樹の2人は3位指名となっており、今大会の活躍が高く評価されたことが伺える。
アメリカ戦(試合レポート)、カナダ戦(試合レポート)で完投勝利を挙げた佐藤 世那はまさに大会のエースだった。140キロを超える速球と落差抜群のフォークのコンビネーションが最大の武器。世界の強打者を翻弄した頭脳的なピッチングで、厳しいNPBの世界を渡り歩いてほしい。
堀内 謙伍は下位打線ながら右、左に打ち分ける打撃と、捕手では強肩と好リードが光った。東北楽天では正捕手を目指し、泥臭く攻守のレベルアップを果たしたい。平沢 大河は主力打者としてチームを引っ張った。軽快な遊撃守備、パンチ力のある打撃を磨きをかけて、いずれはNPBを代表する内野手と呼ばれる選手になってほしい。
オコエ 瑠偉は「ゼロからスタート。学びにいく」と発言したように、特に打撃面で大きく伸びていった選手だ。今回の1位は今大会で成長した姿を見せたことが大きく影響していると考えられる。誰よりもうまくなりたい、強くなりたいという意欲を失わず、目標とするメジャーリーガーの夢を果たしてほしい。
[page_break:進学希望を出した選手たち 投手・捕手]進学希望の投手、捕手は大学球界でもチームの核になる可能性を秘めている二冠王を獲得した勝俣 翔貴(東海大菅生)
続いて進学希望を出している選手たちをスポットに当てたい。まずは投手・捕手編だ。投手、捕手ともにチームの核になる可能性を持った技術、ポテンシャルを備わった選手ばかりで、大学球界でも活躍が期待できそうだ。
・上野 翔太郎(中京大中京高)大学進学希望※関連コラム・森下 暢仁(大分商業高)大学進学希望※関連コラム・勝俣 翔貴(東海大菅生高)大学進学希望 ※2015年インタビュー・伊藤 寛士(中京大中京高) 大学進学希望※関連コラム・郡司 裕也(仙台育英高) 大学進学希望※関連コラム
今年の侍ジャパンU-18代表でプロ以外のステージへ進む選手たち。調べると具体的な大学名は明らかになっていないが、ほとんど進学希望だという。
この大会、防御率0.00と最優秀防御率のタイトルを獲得した上野 翔太郎は、140キロを超える速球は少なかったが、手元でぐっと伸びて次々と強打者から空振りを奪い、スライダー、チェンジアップをコーナーギリギリにコントロールし打者を手玉に取る投球は、高橋 純平も「理想の投球です」と絶賛するほどであった。ぜひ大学の舞台でも、U-18ワールドカップで見せた投球を披露してほしい。
森下 暢仁は、145キロ前後の伸びのある直球と縦のカーブで勝負する本格派右腕で、その素質の高さをかなり高く評価する球団もあったが、本人はレベルが高い選手たちが集まったこの舞台だからこそまだ実力不足と感じたことが多いようだ。ぜひ次のステージでは自信を持ってプロ入りができる投手を目指してほしい。
勝俣 翔貴は大会で二冠王を獲得したように打撃レベルはずば抜けていて、プロ志望届も提出していた強打者だが、指名漏れとなった。だが次のステージでも活躍が期待される選手だ。今は走塁、守備面もしっかりと評価される時代になってきたので、打撃面で圧倒的な成績を残しつつ、守備、走塁もきっちりとこなし、文句なしで上位でいける選手になることに期待したい。
捕手では、伊藤 寛士は得意の右打ちを武器に、また上野の持ち味を引き出したインサイドワークを武器に強打の捕手として活躍を見せられるか。また郡司 裕也は佐藤 世那との呼吸ぴったりな配球が見事で、世那の好投に郡司ありと思わせる名捕手だった。ぜひ次のステージでも数多くの好投手の持ち味を引き出し、名捕手と呼ばれる存在になってほしい。
[page_break:内野手・外野手も大学球界で早くから活躍できる布陣が揃っている]内野手・外野手も大学球界で早くから活躍できる布陣が揃っている主将としてチームを引っ張った篠原 涼(敦賀気比)
続いて内野手と外野手だが、彼らは技術的にも、意識的にもレベルが高い選手。早くから大学球界で活躍できる可能性を秘めている。
内野手・津田 翔希(浦和学院高) 大学進学希望※関連コラム・宇草 孔基(常総学院高) 大学進学希望・杉崎 成輝(東海大相模高)大学進学希望※関連コラム・篠原 涼(敦賀気比高)大学進学希望※関連コラム
外野手・豊田 寛(東海大相模高) 大学進学希望・舩曳 海(天理高) 大学進学希望※関連コラム
津田 翔希は二塁、三塁、遊撃の3ポジションをこなす守備力と絶妙な右打ちが光る玄人受けする選手。大学進学すれば、重宝される選手になりそうだ。宇草 孔基は思うような打撃はできなかったとはいえ、常に大きく声をあげて、味方を鼓舞する姿が素晴らしかった。ぜひ次のステージでは思い切り暴れることに期待したい。
大会期間中、抜群のバットコントロールを見せて活躍を見せた杉崎 成輝。打撃の完成度は代表選手の中でもずば抜けていた。杉崎は細身な体型でも一発を打つパワーがある。ぜひ走攻守三拍子揃った内野手を目指していきたい。
そして主将の篠原 涼は文句のつけようがないぐらい素晴らしいキャプテンシーとメンタリティを持った選手。また30打数10安打、打率.333にチーム3位タイの8打点、さらに無失策の好守備と攻守でチームを引っ張った。ぜひ次の舞台でもチームリーダーとしてチームを引っ張る姿を見せて、再び我々の心を熱くさせてほしい。
豊田 寛は途中、ケガで出場できなくなってしいかなり悔しい思いをしたのではないかと思う。次のステージではパンチ力ある打撃、強肩が光る外野守備をさらに伸ばして、強肩強打の外野手として大暴れを見せてほしい。
恐怖の9番打者として活躍した舩曳 海は大会期間中に大きく伸びた選手だ。選球眼の高さ、守備範囲の広さ、広角に打ち分ける打撃、鮮やかに盗塁を決める俊足とどれもレベルが高かった。ドラフト候補と注目されていたが、進学を決意。走攻守三拍子揃った大型外野手として、今度はドラフト上位候補に挙がる存在になることを期待したい。
最後に、現役高校球児の清宮 幸太郎(早稲田実業高・関連コラム)にも触れたい。1年生ながら代表入りとなりかなりプレッシャーもあったと思われるが、決勝のアメリカ戦ではフル出場。9回の最後の攻撃では大きな声を張り上げていた。先輩にもまれながら、精神的に大きく成長を遂げ、秋季大会では余裕も感じられるプレーを見せてくれた。今回あと一歩で世界一を逃した悔しさを晴らすためにも、2017年に開催される第28回 WBSC U-18ベースボールワールドカップで代表選手に選ばれるような選手を目指してほしい。そして代表選手に選出され、日本の4番打者にふさわしい豪打を見せてくれることに期待したい。
ぜひこの20名の選手に、輝かしい未来が訪れることを祈りたい。
(文=河嶋 宗一)
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