ミスターATARI、ノーラン・ブッシュネルに本当に会えるのか?:「ATARI GAME OVER」への道

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編集部より:この連載は1990年代以降ゲーム業界を渡り歩いた黒川文雄さんが往年の名ゲームメーカー、ATARIのゲームビジネスを検証するドキュメンタリー「ATARI GAME OVER」の日本語化に奔走する物語です。懐かしのゲーム機やゲームソフトだけでなく、アタリの創業者(正確には共同創業者)であるノーラン・ブッシュネル氏に突撃取材を敢行するなど、この連載だけでしか読めない内容を10回に分けてお届けします。今回は第4回。連載のまとめページはこちら。

「ATARI GAME OVER」日本語版の権利は無事購入できましたが、そのまま日本語字幕をつけて出すのは愚か者の所業です。

そこで思いついたのが、ATARIの創業者ノーラン・ブッシュネルさんに会うこと(写真は若き日のブッシュネルさん)。生けるビデオゲームの父、伝説の人、ブッシュネルが死んでしまう前に会ってみたいと思ったのが、そのキッカケです。人は誰でもいつかは死にます。生きているうちにやれることはやりましょう。会える人がいるなら会っておきましょう。

しかし私、ブッシュネルさんへのアクセスをナメていました......。

「まあ、Facebook経由で直接メッセージを送れば返事が来るだろう」という程度の大甘です。もちろんまったくレスがありません。というか、送信したメッセージは開封すらされないまま。それが2015年1月下旬のことでした。

私の経験上、外国人(特にアメリカ人)は「Facebookの『その他メッセージボックス』はほとんど開封しない」、そしてメールへのレスは極端に短文か、一通り読んだけど相手から催促のメールが来るまでは放置するというケースがほとんどです。

元ATARIのハワード・スコット・ウォーショウさんにも、Facebook経由でメッセージをしましたが、実際にメッセージが開封されたのは送信から半年以上経過し、アメリカでの取材が終わった7月末でした。むしろTwitterへのメッセージ投稿のほうが早く読まれます。「ATARI GAME OVER」にも出演している、元マイクロソフトのシーマス・ブラックレーさんも「Facebookはキライ。Twitterしかやってないよ」という返事でした。

肝心のブッシュネルさんへのコンタクトですが、待てど暮らせど返信メッセージはありません。ちなみに、この原稿を書く際に、念のためFacebookでブッシュネルさん宛のメッセージを確認したのですが未だに開封すらされていませんでした。

うーん、困った......。では、ブッシュネルさんとFacebook上で知り合いの日本人フレンドの方のチカラを借りようということで、私のフレンドであり、なおかつブッシュネルさんの知り合いの人を探したところ日本と海外を含めて9人がいました。

その中で、日本人VIP級の3人のうち、私が親しくしているゲーム会社の重役に打診したのですが「名刺交換程度で、紹介できるほどの関係ではない......。ゴメンネ」とのこと、うーん残念!

では、海外に目を向けて海外のインディーズ系ゲーム団体の会長さんからメッセージを入れてもらいましたが、こちらもまったく返信がありませんでした。そんなことを繰り返しているうちに3月後半に入っていました。

並行してブッシュネル氏の個人会社 BrainRush(ブレインラッシュ)のinfo宛にもメールしましたがこちらも返信はまったくありませんでした。すると、4月末ごろ、別件で連絡を取り合っていた海外の友人から、「ブッシュネルさんへの連絡は『LinkedIn』を使うとイイよ」っていうことを教えてくれました。

「ええ『LinkedIn』? それってマジかよっ! だって転職サイトだろ? それって......」というのが本音でした。僕も登録していますが3年以上更新していません。たまに不動産投資のオファーが来るくらいで、かえって面倒くさい程度の認識でした。