最近、日本のテレビでは同性愛のカップルの認知度がどんどんアップしているようだ。東京の渋谷区では「同性パートナーシップ証明書」の発行を定めた条例が成立し、同性愛の認知度だけでなく、社会的な受け入れ体制も整う兆しが見られている。

一方、インドでは自由恋愛ができないのが当たり前なくらい保守的な面を持つ。結婚相手は「カースト」と呼ばれるヒンドゥー教における身分制度にのっとって、相手を探すことが求められるのが一般的だ。いわんや「同性愛」に関しては、2013年にイギリス植民地時代以来の「同性間の性行為を禁止する」法律を復活させるほど、いまだにタブー視されているのだ。

そんなインドにも同性愛者の権利を訴える活動家は存在する。実はある活動家の母親が、同性愛者である自分の息子の結婚相手を探す広告を新聞に掲載したことがネット上で話題になっている。

インドではお見合い結婚が主流

自由恋愛よりお見合い結婚が主流のインドでは、両親が子供の結婚相手を探すため、新聞で嫁・婿募集の広告を載せることはよくあり、効果的な方法だと支持されている 。

その母親が掲載した広告の内容は以下のようにシンプル。

「25歳から40歳までの男性で、動物好き、ベジタリアンの男性希望。私の息子Harrish Iyerの花婿を探しています」

広告を掲載した新聞の編集者は同性愛者を支持

この小さな広告が、当然のごとくインドでも物議を醸すことになった。何百万人もの読者を抱えるインドの主要新聞は「同性愛の婚活広告は犯罪だ」とする意見も多く出ているのだ。

この広告を掲載した『Mumbai tabloid Mid-Day』の編集者であるSachin Kalbag氏は、「私たちはいつも平等の権利を支持しています。それは性的少数者だけでなく、出身地、肌の色、宗教等々、全ての違いにおいてです。この同性愛者の婚活記事を受け取った時、何度も考えることなくすぐに掲載しました」と、同性愛者を支持するコメントを残している。

東京在住のインド人女性もカースト制度に悩まされている

筆者にはインド人女性の友人がおり、彼女が「ビジネス学校で出会った彼と結婚したいのだけれど、カーストが違うし、恋愛結婚を親が認めてくれるかどうか分からなくて悩んでいる」という悩みを聞いたことがある。
東京で働く彼女のようなエリートのインド人女性であっても、いまだにカーストという制度に縛られて恋も結婚も自由にできないという事実に驚いたことがある。

そんな国で、同性愛者として生きて行くことや、今回のように社会に一石を投じるような行動は、かなり勇気のいることだと想像がつく。こうした活動が重なって、同性愛者の権利が少しずつ認められるはすだと信じながらも、今後の動きを見守って行きたいと思う。

参考記事:COSMOPOLITAN

(中村綾花)