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 ホラー映画でもおなじみのキャラクター、ゾンビ。その強烈なビジュアルや行動、あまりの怖さに、夜中にトイレに行けなくなってしまった事も、一度や二度ではありません……。

 しかし、ゾンビだって元々は人間。生きている人にも色々あるのだから、ゾンビにも色々あってもいいのでは? ゾンビの格好をしてみたらゾンビの“何か”が分かるようになるかも!?

 ……ということで、ゾンビになってウォーキングしてみました。

「ゾンビになろう!」How to ゾンビ?

 まず必要になるのは、ゾンビメイクとゾンビの衣装。一見すると難しそうですが、身近にある材料を使って意外と気軽に変身できました。『こういうゾンビになりたい!』というイメージを再現するもよし、ゾンビメイクや生傷メイクの合わせ技で個性を出すもよし。

 ハロウィンやコスプレ関連のサイトにも参考になる情報がたくさんあるので、理想のゾンビ像を追求してみましょう。

※今回取材させていただいた、代々木公園ゾンビウォーキング2015主催ZOMBIENA(ゾンビーナ)のサイトでも変身方法を紹介されています。詳しくは

 イベント参加に向けて取材班が準備したのはこちら。



ゾンビの勝負服、その名もゾンビ服。ネクタイとメガネで社畜風ゾンビにしてみました。

べっとり血濡れた手形と、ランダムな焦げ感がポイント。

 詳しい衣装の作り方は



そして生傷メイク。ティッシュとゼラチンを重ねて、色を付ければ完成。

思い切ってやった方が本物っぽい。だってゾンビですから。人生初のゾンビ体験



 それにしても、なんという“ゾンびより”でしょう!

 どこまでも続く厚い雲、じっとりと肌にまとわりつく湿気、生ぬるい暑さ。当日の朝まで雨だったおかげで、ゾンビウイルスが繁殖するのにこれ以上ないコンディション。

 ゾンビウォークはメイク・着替えが完了した状態でするのが条件だったので、今回1時間前に会場の公園に到着。さすがに早すぎたと大勢の人でにぎわう公園を見渡してみると……



!!!!!!

 第1ゾンビ発見しました!!



 したたり落ちる血に青ざめた肌。一人でもスゴいのに、集団だともう迫力が違います。

 こちらの皆さんはもともと仲間内にゾンビ好きに方がいて、その方経由で今回のイベントを知ったそう。見た目は怖すぎるけど、お話しするとみなさんフレンドリー。とってもステキな先輩ゾンビのみなさんにゾンビに必要なアレを教えてもらいました。

【ゾンビ直伝。ゾンビウォークのコツ】
・体の重心をずらす
・ちょっと内股ぎみになる



これがゾンビ直伝のゾンビ立ち

 あら不思議、ゾンビになっちゃいました。ゾンビの特徴的な不安定な動き方はこうしていたのですね。メイクだけでも十分怖いのに、この動きが加わると金棒持った鬼も裸足で逃げ出しそう。



ゴゴゴゴゴ……ドドドドド……。ちょっと角度を変えてみるとこんな感じです

 間もなく集合時間。果たして昼下がりの公園には、どのくらいのゾンビが集結しているのかという期待と、本気すぎてトラウマになったらどうしようという不安が入り混じった複雑な気持ち。さあ、ゾンビウォークの始まりです!

レッツ・ゾンビウォーキング!



 集合場所に向かうとすでにゾンビの集団がスタンバイ、先頭集団がスタートしたところでした。朝まで天候がはっきりせず参加人数に若干の不安があったのですが、どこまでも続く想像以上のゾンビの行列……。

 今回のゾンビルートはいたってシンプル。集合場所の代々木公園原宿門を出発→ドッグラン裏→噴水前で集合写真→撮影後は現地解散。

「人を襲わない」、「ゆっくり歩く」、「過剰なコスプレはNG」など何点か注意事項がありました。今日ばかりは人間を襲うというルールもお休み。身体は腐り始めているけど大事なところは腐ってないのです。

 公園に居合わせた人たちの視線を独占する行列。そうですよね、白昼堂々とゾンビが列をなして歩いているのですから。でも現実です、パンデミック起こしたゾンビの行列です。

 腐り始めた身体を引きずりつつ歩いているとワンちゃんの散歩に遭遇。この子たちは大人しかったですが、中にはゾンビに向かって吠えたり、思わず後ずさりするワンちゃんも……。分かるよ、その気持ち。





 ゾンビになってウォーキングをしていると、様々な人間と会いました。何度も何度もカメラを向けてくる人、決して目を合わそうとせず背中で感情を物語る人、積極的に話しかけてきてコミュニケーションを取ろうとする人……。小さい子がゾンビの列を見て泣き出した時は、さすがに申し訳なくて胸が痛みました。

 そうか、これがゾンビの見ている世界なのか……。



この人もゾンビ

もちろんこの人たちもゾンビ

 どのゾンビもとても堂々として、初対面とは到底思えない和やかさで話しながら歩いています。ここ何年かでハロウィンやコスプレイベントが定着したことも影響しているのか、衣装やメイクの作りこみ方からはただモノじゃない雰囲気が醸し出されています。

 もしかしたら一通りのコスプレ・仮装をして、たどり着いたのがゾンビなのでしょうか? だとしたらゾンビって相当奥が深いですね……。

 そうこうしているうちにゾンビ一行は記念写真の撮影場所へ。名残惜しさを感じつつ振り返ってみると……





 どこまでも続くゾンビの行列。そりゃ子供も泣くわ! そして、ゾンビウォークはついにフィナーレの記念写真撮影へ。



夢のゾンビオールスターズ。掛け声はもちろん……

せーの! “はい、ゾンビッ!”

画面からあふれ出さんばかりのゾンビ! ビバ、ゾンビ!!

老若男女のゾンビ。国籍も色々。「教えて、ゾンビさん!」質問コーナー

 今回のイベントを主催したゾンビ集団『ZOMBIENA(ゾンビーナ)』のメイミーさんにお話を聞きました。

「代々木公園ゾンビウォーキング」はなぜ5月開催なのでしょうか?

 ゾンビになりきることと、ハロウィンの仮装とを同じくくりで考えていないので、10月に開催していません。ゾンビにとって、夏の暑さと冬の寒さは敵です。

 メイクが溶けたり、薄着できなくてコスチュームを楽しめなかったりするからです。5月は暑すぎず、寒すぎず。梅雨ほど雨は降らないし、歩くにはちょうどいい季節ですよね。なので、5月に開催しています。

「代々木公園ゾンビウォーキング」はいつから行われているのでしょうか?

 2012年からです。

毎年(2013年除く)開催されているとのことですが、変化はありますか?

 親子連れが多くなり、複数人でのグループ参加、またリピーターも増えてきました。

ゾンビのここを見て! というポイントはありますか?

 各参加者のゾンビメイクと衣装のバランスをチェックしてあげてほしいです。

オススメのゾンビ映画はありますか?

 ゾンビーナ的には「ゾンビ革命」がツボってます。

ゾンビメイクをする時のこだわりは?

 傷をどこに作るか? と、血糊のバランスには気を使っています。

もし1ヶ所だけゾンビメイクをするとしたら、どこにしますか? 部位と、できれば理由も教えてください。

 やはり、顔。ゾンビだぞ! と分かりやすい部分なので。また、人ごみを歩いても、他人の洋服をメイクで汚す心配がありませんよね。

ゾンビになりたい! けど、ハズカシイ…という方もまだまだ多いかと思います。そんな未来のゾンビへ一言お願いします。

 とりあえず、物は試しで、1回。騙されたと思ってやってみてください。どんなに汚いゾンビになっていても、変身後は自分がゾンビになっていることって忘れてしまいがち。

 逆に、世界が変わったように感じられて、その違和感がやみつきになるかもしれません。百聞は一見に如かず、気軽に挑戦してみてくださいね!



ゾンこれ2015(ゾンビ写真集)

 みんな違ってみんなイイ! ということで、大勢のゾンビさんを撮影させていただきました。渾身のゾンビ姿をご覧ください。



かなりインパクトがあるお二人

内臓出ちゃってます。材料は紙粘土とラップ。貴重なポロリ画像@ゾンビ。(名刺をいただいたら、ちょっと血が付いてました……)

仲良し友達ゾンビ♪ 内定欲しい就活生ゾンビ&焼肉食べたいアオザイゾンビ(キョンシー風)

ゾンビには国境なんてありません

とても絵になるシスターゾンビ。迫真の白目をご覧ください。

ドイツやポーランドからの参加者も! 日本語のサイトを見てこのイベントを知ったそう。

ゾンビウォークを教えてもらったゾンビたちとも再会! ゾンビですがとっても生き生きしています。

したたる血がポイント。血糊は甘いけど目に染みると痛いそうです。

ガーリーゾンビ。おめかしに1時間かかったとのことでした。

モツはみ出しペア。落とさないでね。

今回多かったゾンビファミリー。二回目の参加だそう。可愛いメイドゾンビちゃん曰く、「ゾンビも結構体力使うよ〜」とのこと。

父子ゾンビ。初めてのゾンビ体験は楽しかったとのことでした。

今回唯一の緑ゾンビ。……やっぱり遺伝かな?

倒れたゾンビを助けているのかと思いきや、まさかの共食い。

 皆さんゾンビウォーク解散後は、林の中などで思い思いのシチュエーションで撮影していました。 木の陰から顔をのぞかせたり、銃で撃たれて芝生に倒れこんだり……。まるで映画のような場面があちこちで繰り広げられていました。

 ところ構わず人を襲い、無限に増殖を繰り返す。さらに恐ろしげなビジュアルも相まってゾンビの存在には相当抵抗がありました。もし夜中に遭遇したら、逃げられる可能性が限りなくゼロに近くても全力で逃げるでしょう。

 そんなビビりな筆者ではありますが、今回ゾンビの格好をして、ゾンビの視点からゾンビを考えてみたら、ほんの少しだけゾンビに優しくなれるような気がしました。

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(文・写真/あおきみか)

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