【亀山敬司×経沢香保子～新規事業の作り方】第4回｜節操のなさも個性

2015年5月25日 10時50分

　2015年2月19日、オンライン英会話サービスやモノづくり支援など、次々と新規事業を立ち上げるDMMグループの会長・亀山敬司と、トレンダーズの創業者で、最年少上場女性社長としても知られるカラーズ代表取締役・経沢香保子氏の対談がちゅうつねセミナーで行われた。その模様を計5回にわけて配信していく。

「自分に何が出来るかな？」という想像力

経沢香保子（以下つね）　では会場の皆さんから質問をいただいて、答えていきたいと思いますが、いかがでしょうか？　

客Ａ　ジャスト亀山として、ご自分の性格とか、こんなタイプだ、みたいなところを伺いたいです。

亀山敬司（かめ）　俺が自分で言うわけ？（笑）う～ん…。

つね　小さい時一番時間をかけた過ごし方が人の性格出ると思うんですけど、小さいときは一番何に時間を使われましたか？

かめ　ボーっとしてるのが一番長かったかな。

つね　まあ、考え事ってことですか？ちなみに今は何をして時間を過ごすことが多いんですか？

かめ　やっぱりボーっとしてる時かな？（笑）

つね　私もそうで、考え事してる時が一番楽しいから。贅沢ですよね。ボーっとしてるのって。

かめ　それでいうと、今の世の中は情報が多すぎるから…。みんな朝から晩までスマホ見て情報取るじゃない。データの収集はすごいんだけど、それを処理できない。だから俺はたまに1ヶ月くらい休みもらって旅に出るけど、ひとりでブラーっとして情報から離れるとやっぱりその中で思考が働くよね。

つね　思考が働くって重要ですよね。

かめ　タバコ吸ってボーっとしたり、トイレでボーっとしたり、その時間に結構ビジネスも浮かぶし、いろんな骨組みができる。過去の自分の反省も含めて記憶を辿りながらね。そういう時間は結構好きかな。好きというか大事だと思う。

つね　いつもでも、笑顔ですよね？　ムカついたりすることないんですか？

かめ　ムカついたりはなくなってきたかな？　でも仕事になると結構言う時は言うよ。売上が見込み違いで損した時とかは文句言わないんだけど、損を報告しない時や隠したりする時は叱る。上手くいってる時は来るんだけど、悪くなった時に「なんでその報告をもっと早くしないんだ！」っていうことがある。

「能力がなくて売上が立たないのはしょうがないけど、それを言わないのは怠慢でしかない」と、そこは結構キツく言うかな。キツく言い過ぎるとまた怖がって来なくなっちゃうから、最後に「でもそれは期待してるからだよー」とか一応フォローした言い方はするけどね（笑）

つね　ちなみに今月の私たちの勉強のテーマは「アイディアで突破する」なんですけど、アイディアを生むためになにか工夫されてることとかありますか？

かめ　アイディア自体はほとんどがパクりといえばパクりで、応用なんだよね。それにちょっとIT絡めたり、過去に経験した情報の組み合わせでしかないっていうのが多い。それをオリジナルっぽく自分で思ってるけど、突き詰めたら、これってここにあったよねとか、先人がやってたようなことが多い。だから自分で知恵絞るっていうよりも組み合わせる。

　例えばコンビニの棚見るときに何見るかっていうと、「あれ？この間までコーヒーがドトールだったのにセブンイレブンブランドになってるな」とか思うじゃない。そうすると、「あ、多分この業界ってどんどんメーカーが外されてって、セブンイレブンが棚を自分たちの商品に変えようとしてるな」とか、思惑が見えるわけよ。それっていうのは当然の流れで、シェアを抑えたらその場所に自分の商品を売った方が効率がいいしね。

つね　カップヌードルも今、セブンのありますもんね。

かめ　その時に「じゃあ、どこでもいいカリントウとかのメーカーさんは苦しいんじゃないかな？」とか「そういうメーカーさんに対してコラボのプレゼンできないかな？」とか、結局は想像力みたいな話になる。

つね　連想ゲーム的な。

かめ　だからさっき言ったように情報は入ってる。セブンイレブン行けばみんなが同じものを見てるけど、見た時にそこから何を想像するか。「これってなんで変わってるの？」　「なんでこうなってるの？」って考え出すと、その中に「じゃあ私ならこれ出来るかな？」みたいな答えがある。

つね　そこで「自分に何が出来るかな？」みたいなところで結びつけると、何かが生まれてくるってことですね。

CMは世間だけじゃなくライバルへのメッセージ

つね　ちなみに売り込み方ですが、さっきの英語のもそうなんですけど、サービスを一気に売り込む時はどうされてるんですか？　

かめ　オンライン英会話の場合は、サービス自体がまだあまりポピュラーじゃないので、テレビで先に宣伝打っちゃえば、うちが始めたように思われるなと。もともとは3年ほど前から10社くらいあるんだけど。先行してテレビCMして、結果は後付けでいいからまずイメージをつける感じの売り込みかな。ドーンとCM打って短期で引き上げる。

つね　印象をつけるっていうのはすごい大事ですよね。それが一番とか、それがスタンダードとか、そのブランドとして選ばれるっていう、思い出させるっていうのは一番の強烈なパワーですもんね。

かめ　DMM.makeなんかもたけしさんが出るCMをして、ああいう施設でモノが作れるってやると先端的に見えるし、あそこまでやると他社もなんかやりにくくなるじゃない。それ以上のタレントでそれ以上の施設を用意しないと勝負できないからね。先に「ここに来るなよ！　藤田さん来るなよ！　南場さん来るなよ！」って言ってるわけ。

つね「亀山マーケットに入ってくるな！」と。

かめ　世間へのイメージだけじゃなくて、ライバルに対してのイメージっていうのもあるから、実際そういった目的で宣言する。「本気でやりますここは」みたいな。

つね　相手に戦意喪失させとくっていう。

かめ　もちろんそれでいうと、いけそうな分野しかやんないよ。例えば「自動車やります」とか、「建設やりますよ」って言っても、「何いってんだ」と笑われるだけじゃない。新しくてまだ誰も参入してない分野だから「一番でここ走りますよ」って言えるんで。そうなるとやっぱり新しいもの流行りもの追っかけになる。だから「DMMってなんでもやるし主体性ないよね」って言われるけど、「流行りもん追っかけます」っていう、「節操のなさがあります」ってことなんだよね。

つね　そこを声高らかに言うんですね（笑）

かめ　でもね、業種変わっても結局そんなにやることは変わらない。プラットフォームを作るとか。仕入れて広めて売るってことは原則変わらない。うちのスタッフも慣れてるから「次はなんですか？」みたいな。データ分析係にとっては商品分析するとき、艦これのデータも、熟女のデータも変わらないのね。だから分析表は同じものを使ってるんだよね。一見違うことやってるように見えて実は似たようなことやってる。

つね　裏側が同じだったりしますね、思考回路というか。

かめ　そんな感じですかね。なんか脱線しましたけど、質問はなんだっけ？

つね　どんな性格ですか？　というところから（笑）

かめ　結局こんな性格で、物忘れの激しい性格で、聞かれたことに答えない性格。すみませんね（笑）

（【亀山敬司×経沢香保子～新規事業の作り方】第5回へ続く）

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