USENの宇野康秀社長=06年3月16日(資料写真:吉川忠行)

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USEN<4842>の宇野康秀社長は29日午前、東京都中野区の中野サンプラザで開いた定時株主総会の冒頭、2期連続の最終赤字となった決算について「心配をかけているが、実態としては投資を回収して大きな収益を将来的に見込める段階まで戻ってきている」と説明し、株主に理解を求めた。

 業績悪化の原因のひとつに、監査法人トーマツの会計方針変更による損失計上を挙げ、カルチュア・コンビニエンス・クラブ<4756>の監査を手掛ける三優監査法人に変更する理由を「映像権の評価などの分野で専門知識を持ち、こまめにコミュニケーションしながら安定的な会計が維持できる法人がいいと判断した」と話した。

 また、グループ解体が進むライブドアとの提携の方向性については「資本提携やポータル分野以外の提携は急加速で進む状況ではなく、最も有効な分野のみを今後も継続する」と現状維持の考えを強調。12月下旬のLD株主総会で社外取締役を退くことについては「ライブドアの今後の方向性を指し示すという当初担っていた役割は済んだ」とし、同社取締役である高垣佳典氏を新たな役員としてライブドアに推薦したことを明かした。

 総会では15人の株主が質問に立ち、「業績悪化なら無配でもいい」「東証一部に上場準備すると毎回言っているが、信じられない」「後発のユーチューブがGyaOの閲覧件数を上回っている」などと資本政策や投資がかさむネットテレビ事業に対する厳しい意見が続出。

 「ライブドアのような株主を裏切る会社になってほしくない」と訴える声が会場から相次ぐと、宇野社長は「上場企業の経営者として、株主の期待を裏切るような不祥事がどういうメカニズムで起きるのかということを把握しながら、そのようなことがないようにしていく。安心して応援してほしい」と述べた。

 株主総数は昨年8月末時点の2万8000人から10万人に急増、「うち8割が個人株主」(宇野社長)としている。それに合わせ、総会会場を昨年使用したホテルオークラ東京の宴会場(500人収容)から、2000人収容の大ホールに切り替えた。今回、議決権を行使した株主の数は約9652人で、所要時間は昨年並みの約2時間だった。

 人材紹介子会社インテリジェンス<4757>の鎌田和彦社長やマッキンゼー出身の紺屋勝成氏らを新たに取締役に加える役員人事案や、資本準備金の取り崩し、会計監査人変更など全8議案が承認された。【了】

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