人権団体の招きで非公式に来日していた国連人権委員会任命の特別報告者ドゥドゥ・ディエン氏(撮影:吉川忠行)

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人権団体の招きで非公式に来日していた国連人権委員会任命の特別報告者ドゥドゥ・ディエン氏(セネガル)は18日、東京都千代田区の外国特派員協会で会見し、「日本には根深い人種差別がはびこっている。とくに米同時多発テロ以後は、外国人を排斥し犯罪者扱いする傾向にある」と話した。

 同氏は05年7月に来日。9日間の滞在期間中に人権状況についてヒアリングを中心とした調査を行い、今年1月に報告書を発表した。その中で、日本には人種差別と外国人嫌悪が存在し、アイヌ民族や沖縄の人びとなど“ナショナル・マイノリティー”と、在日コリアンやその他の外国人に影響を及ぼしていると結論付けた。また、日本政府に対し、人種差別の存在を公式に認め、独立した国内人権機関と差別問題専管部局を設置することなどについて、24項目の勧告を行った。

 会見で、ディエン氏は「日本には人種差別を禁じる法律が存在しない」と指摘。17日に参院で成立した改正出入国管理・難民認定法で、16歳以上の外国人に指紋採取や顔写真撮影を義務づけたことなどを批判した。

 日本政府から報告書に対して公式の回答がないことや、日本のマスメディアがディエン氏の報告をほとんど取り上げていないことへの感想を問われ、「日本のメディアを見ていないので知らないが、問題にされないということはこの件の根深さを表している」と主張した。【了】