マーリンズ・イチロー【写真:田口有史】

マイアミOPに出場中の錦織に、米紙「テニス界のイチロー

 テニスのマイアミ・オープンで男子シングルス準々決勝進出を決めた世界ランキング5位の錦織圭選手が、マーリンズのイチロー外野手に対する尊敬の念を示している。米地元紙マイアミ・ヘラルドが「人気絶大なケイ・ニシコリはテニス界のイチロー」と特集している。

 ジュニア時代に渡米し、フロリダのIMGアカデミーで修行した錦織は昨年、ホームとも言えるこの大会で8強入りを果たしている。今年も快進撃を続ける中、16強入りを果たした試合後の記者会見で、ある日本人アスリートに関する質問を受けた。イチローだ。

 41歳のベテランは今季マイアミに本拠地を置くマーリンズに移籍。“マイアミ”つながりの質問について、錦織はこう答えたという。

「いまだに最も偉大な選手だと思います。つまり、日本のスポーツ界で最もビッグな選手です。41歳ですが、いまだに野球で本当にいいプレーを続けている」

 男子テニス界での大躍進で日本スポーツ界の若き顔となった錦織だが、新天地で4月6日(日本時間7日)の開幕戦ブレーブス戦を控えるレジェンドに対して、大きな敬意を示した。

 特集では「彼はホームランを打ったこともなければ、ニューヨーク・ヤンキースのピンストライプのユニフォームに袖を通したこともない。でも、ATPランク5位のケイ・ニシコリは、イチローの名前で知られるマイアミ・マーリンズの外野手同様に、アジアのスポーツファンの間で大きく知られている」と、錦織とイチローがアジアのスポーツ界でいかに大きな存在であるかを報じている。

「まだ会ったことはないけれど、話をする機会が持てれば」

 イチロー自身もテニス界で旋風を巻き起こす若武者について大いに感銘を受けている。ヤンキース所属時の昨年9月6日、ニューヨークで行われていた全米オープンで決勝進出を果たした錦織の活躍について「(テレビで)試合を見た。今日は俺のことなんかどうでもいいね。すごいね。すごいという表現はちょっとダサいけど、気持ちいい。相手を圧倒していた。すごい」と言及。世界ランク1位のジョコビッチを破り、日本人選手初となる4大大会での決勝進出を果たした錦織の快挙に心を動かされていた。

 その当日、イチローはロイヤルズ戦で2安打1打点と活躍していたが、自分を差し置いて錦織を褒め称えた。弓子夫人と同郷の島根県松江市出身という縁もあり「それでちょっと僕にとっては特別な思いがある」とも話している。

 そんな2人はまだ会ったことがないという。錦織は「彼は本当にフィットしている。体が本当に強い。(イチローから)学ぶことはたくさんあります。まだ会ったことはないけれど、話をする機会が持てればいいなと思っています」と語った。野球界のレジェンドと会話を交わし、何かを吸収する機会を心待ちにする様子だった。

 錦織は31日(現地時間4月1日)、マイアミ・オープン4回戦で世界ランキング20位のダビド・ゴフィンを6−1、6−2のストレートで下した。一方、イチローは同日に強豪カージナルスとのオープン戦で7回から途中出場。2打数2安打2盗塁で決勝点を挙げ、守備でも華麗なスライディングキャッチを決めるなど大暴れしている。

 年齢差16歳。日本の誇る超一流のアスリート2人は、まだ見ぬお互いを刺激し合っているようだ。