レシートに担当者のフルネームを記入 これで「怖い思いをした」と女性が訴え、議論に
「レシートにレジ担当者のフルネームを載せるのはやめてほしい」――。スーパーでのアルバイト経験のある女性が書いたブログ記事をきっかけに、インターネット上で議論が盛り上がっている。
この女性が高校時代に働いていた店では、レシートにフルネームが漢字で印字されるようになっていたそうだが、「本名と顔が一致することによって、たくさん怖い思いをしてきた」という。
バイト後に「レシートの名前に見覚えあった」
一例として挙げたのが「変なおじさん」のエピソードだ。日頃から不審な行動が目についていた男性に、ある日「ねえ、○○ちゃんって言うんだね」「○○ちゃんの家はこの近く?おじさんも近いんだよ」と話しかけられ、ひどく驚いたそうだ。だが何かできるわけでもなく、その後も嫌悪感を抱きながら接客を続けざるを得なかったという。
また、アルバイト仲間だった女子高生はバイト後に「レシートの名前に見覚えあった」と中学時代の先輩男子らに引きとめられたという。「送っていく」と言われて車に乗ると、知らない公園に連れていかれ性的暴行を受けたとのことだ。
店員らは、名字をひらがなで記したネームプレートも付けていたというが、女性は本名をフルネームで知られた場合、「もしかしたら家を探されるかもしれない」などと恐怖感を抱いたという。仲間の被害については「本名が明記されていなければ、分かることはなかったはずです」とも分析し、本名をフルネームで印字する必要性に疑問を投げかけた。
ブログが2015年2月18日に投稿されると、ネット上で注目を集めた。事例については「なんでもかんでも不審者・ストーカー扱いする風潮にうんざり」などと反発する声も出ているが、フルネームの印字そのものについては、
「子供には名札の配慮とか徹底しているのに」
「これ女の子だったら嫌だろうなぁとは思ってた」
「自分でコントロール出来ない箇所で個人情報を垂れ流されるのはキツイなぁ」
などと理解を示す声が優勢のようだ。
スーパーではフルネーム方式をいくつか確認
フルネームを印字するケースは多いのか。記者がさまざまなレシートを見てみたところ、番号やIDだけのものが大半だった。名前であっても名字のみというのがほとんど。ただネットでも指摘があったように、スーパーではフルネームのケースがいくつか確認できた。
実際に大手スーパー4社に聞いてみると、2社は「全店舗でレジ担当者名をフルネームで印字している」とのこと。理由について詳しく聞くことはできなかったが、レジがいくつもあり、1日の間に交代が多いことなどを考えれば「同じ名字の人と混同しないため」ということもありそうだ。店として客に安心感を与える側面もあるだろう。
また、あえて名前を出すことが「苦情案件」を減らすことに一役買っているのではないかとの指摘もある。コンビニオーナーでブロガーの川乃もりや氏は14年3月の記事中で、
「お客さんに名前を知られているというのは、従業員に抑制力を与え、お客さんからしても『◯◯さんに◯◯された』と、ある種の証拠的存在になる。運送系のトラックにも、名前が書いてあることが多いですよね。あれも、乱暴な運転を抑制することになっているのではないだろうか」
などと分析している。
しかし女性のブログに書かれているように、男女間の問題などが発生するリスクもある。フルネームが分かればフェイスブックなどのSNSで特定される可能性も高まる。公開範囲を限定していない従業員の無防備さを責めることもできるが、ネット上では「Facebookで友達申請来た時は本当に怖かった」という報告も複数あり、印字するメリット・デメリットについて議論が続いている。