これまで千人以上の家計を見続けてきたというファイナンシャルプランナー花輪陽子さん。家計簿と出合ったのは、人生のどん底時代だったという。

「30歳で結婚してすぐ、夫の会社が倒産し、私も勤務していた外資系金融機関をリストラされて、夫婦で生活の見直しを迫られたんです」

このピンチを救ったのが「家計簿づけ」だったのだ。大事なことは、自分が何にいくらお金をかけているかを知ることだったという。

「方法として、すべての支出を一つの銀行口座にまとめて、家賃や光熱費、保険などの固定費を把握しました。家計簿をつけることで、無自覚な支出が減っていきます。ファッション代にかなり使っていた私が、洋服1着買うのにも予算内で探すようになりました。それで私は、年間200万円の支出を減らせたんです」

この家計術を応用し、たどりついたのが今の花輪式「通帳&現金メモ」だ。

「支出を一つにまとめた銀行口座の通帳が家計簿代わりです。毎月引き落とされる支出は一目瞭然ですし、クレジットカードの引き落としがあれば、通帳とカード明細を突き合わせします。予定外の引き落としは、何に使ったかを通帳に鉛筆でメモしておくんです」

銀行から現金の引き出しは、手数料がかからないよう月に一度にすること。1カ月分の生活費を引き出し、通帳記入して両替をする。そのお金を、食費、交際費など項目別に袋やポーチに分ける。これで1カ月をやりくりする。

「光熱費など固定費の引き落としにクレジットカードは使ってもいいですが、外食や買い物、娯楽費などの支払いで、カードは封印しましょう。使いすぎて予算オーバーします。支払いは現金が基本。袋分けした生活費だけでやりくりすることを心がけてください」