各社の最新モデルが次々に発売。4G、LTE対応など「高速通信」を全面に押し出している

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10月中旬に発表された各携帯キャリアの新作スマホは、従来の3Gを上回る高速大容量通信(以下、「4G」)に対応している。利便性が向上したかのように見える一方、こうした4Gスマホには、料金プランに「見えない値上げ」が隠されていたのだ。

それは、スマホには必須の「パケット定額料金」。従来の3Gスマホのパケット定額料金は、各社とも5460円で横並び。ちなみに、インターネット接続に必要なサービス(ドコモ:spモード/au:IS NET/ソフトバンク:S!ベーシック)も315円で共通だ。

ところが4Gスマホでは各社とも、パケット定額料金が5985円へと525円も値上がり。それなのに各社のカタログを見ても「4Gで速度が大幅にアップすること」だけを大きく謳(うた)い、料金アップについてはまったくと言っていいほど触れていない。

ケータイジャーナリストの石川温(つつむ)氏はこう指摘する。

「本来、電波利用の効率がよくなるはずの4Gになって値上がりするのは、矛盾を含んでいると思います。パケット定額料を値上げして、一契約当たりの売上高(ARPU)を上げたいと思っていたキャリアにとって、4G導入が“好都合”だったのでしょう。そして、もし設備投資が一巡しても、値下がりは考えにくいと思います。イー・モバイルのソフトバンクグループ入りで、市場はより寡占状態になっていますから」

通信速度がアップして、いちばん恩恵を受けるのは、キャリアが別料金のオプションとして用意する動画サービスなどの利用者だ。キャリアとしては、値上げしたパケット定額料に加え、こうしたオプション料金を払ってくれるユーザーは大歓迎だろう。

しかし、メールのやりとり、出先でのちょっとしたネットサーフィン、フェイスブックに代表されるSNSサービスなどを中心に使っているライトユーザーには、4G化による速度アップの恩恵は限定的だ。また、4Gの整備が進んでいないエリアでは、出費だけが増えることにもなりかねない。

キャリア各社は4G導入に伴い、各種のキャンペーンを実施してはいる。4Gスマホを購入した人に、機種代金の一部を補助したり、基本料金に相当する部分を割り引いたりするものだ。しかし、こうした割引施策は、従来の3Gスマホでも恒常的に行なわれてきたこと。キャンペーンによる割引期間が終了すれば、ベースとなる月々の料金が値上がりするのはまぎれもない事実だ。

3Gから4Gへのシステム変更は、3Gの通信が逼迫しているキャリア各社の都合による部分もあるはず。そうしたツケをユーザーに押しつけるのは、果たしてまっとうなことなのだろうか。

(取材・文・撮影/「4Gスマホの落とし穴」取材班)

■週刊プレイボーイ48号「4G対応Androidスマホ“ステルス値上げ”に気をつけろ!!」より