A子と部長は夫婦であり、つまり対等の立場なのだから、これはもうしょうがない。

むしろA子がそう振る舞ったほうが、社会は丸くおさまるはずだ。

企業で働く女性にとって究極のスピード出世とは、上司との結婚なのではなかろうか。

これは僕の妻であるチーにも、いくらか当てはまっている。

たとえば家庭の中で、僕が自分と同等か、あるいは年下の友人・知人の話をするとき、当然のように「○○くんがどうこう」「××の野郎がどうこう」と言うわけだが、それを聞いているうちにチーも「○○くん」「××くん」という表現を使うようになった。

そして、彼らと実際に対面してもチーはごく自然にタメ口を使い、彼らも彼らでチーに対して敬語を使ったりする。

しかしよく考えてみると、彼らはみんなチーより年上なのだ。

今年36歳になる僕にとっては後輩の大半が30代であり、まだ29歳のチーにしてみれば立派な先輩だ。

チーは僕との7歳差の結婚を果たしたことによって、そんな先輩連中に対してタメ口を使うようになり、それを社会の一般常識もまた、寛大に許容している。

そこに目くじらを立てないほうが男女の社会的秩序が保たれることを、我々は無意識のうちに自覚しているのだろう。

加藤茶の若奥様は、志村けんにもタメ口なのだろうか。