全国のガソリンスタンドが危機的な状況に陥っている。民間調査会社『帝国データバンク』(東京・港区)が6月8日に発表した「ガソリンスタンド経営業者の倒産・休廃業動向調査」によると、2011年度の倒産は前年度比14.3%増。企業倒産自体は'09年度から3年連続で減少している局面の中で、ガソリンスタンドの倒産は増加の一途をたどっているのだ。
 「自動車保有台数が目減りし、さらに原油価格が高騰した'07年度から倒産は高水準で推移しています。値下げ競争で疲弊しきっている上、昨年6月に改正された『危険物の規制に関する規則』の影響が、さらに窮地に追い込む要因になると指摘されおり、今後も事業継続を断念する店舗が次々と出てくると予想されます」(経済記者)

 現在のガソリンスタンドは高度成長期に建てられものが多く、たとえ外装をリニューアルしたり経営会社が変わったりしても、埋まっているタンクは開業当初のものを使っている場合が多い。前出の規則は、貯蓄用地下タンクの腐食防止を施すためのもので、そうなれば同規則の猶予期間が切れる来年1月末までに改修を行わなければならない。従わない場合、消防法に基づき許可の取り消し等の処分を受ける可能性がある。
 社団法人全国石油協会によると、「改修が必要とされるタンクを保有している業者は、少なくとも全国で5000社」とのこと。工事には1店舗あたり500万円前後の費用が必要とされ、その一部を補助金として受け取ることができるが、工事中は当然営業不能となるため、無収入状態に陥ることになる。大型チェーンであれば問題ないが、1、2店舗のみを経営しているという業者は、多少の補助金が出るくらいでは改修に踏み切れない状態なのだ。

 政府は、100平方キロメートルあたりガソリンスタンドが8カ所以下の市町村を「ガソリン供給不安地域」と位置づけている。今後、これらの市町村を中心として“空白地帯”が増えることが予想され、ドライバーが不便な思いを強いられることは間違いなさそうだ。