東京湾直下に陸側プレートとフィリピン海プレート、太平洋プレートがせめぎ合う場所が発見された−−。東大地震研究所の平田直教授の発言が物議を醸している。
 これは1月27日、石原慎太郎都知事が定例会見において平田氏のブリーフィング(報告)で出た内容を明らかにしたもので、石原都知事は驚きを隠せず、「こうしたプレートどうしがぶつかっている部分は大きな地震のトリガー(引き金)になりやすい」「東京湾の中が大きな震源地になる可能性がある」と説明。
 国に対しての調査依頼を含め、今後の対応について語った。

 平田氏といえば、“今後4年間、東京直下でM7級の地震が発生する確率は70%”という試算を発表し話題となったが、果たして今回の“東京湾直下型”に関して文科省の地震調査研究推進本部はどう見ているのか。
 「確かに関東地方には3つのプレートがぶつかり合うエリアがあり、日本海溝付近であることはよく知られています。さらにそれは東京湾に向かって伸びている。ただ、その先端は東京湾直下というよりも千葉市の下と見ています」(担当者)

 また、この脅威とは別に関東地方には200〜400年の間隔で関東大震災クラスの巨大地震が繰り返し起きている。その間にM7クラスの大地震も起きており、平田氏らが“70%”と警鐘を鳴らしたのはこの大地震を指す。直近では明治東京地震、安政江戸地震が有名だ。
 「関東地方は地層が厚くプレートの構造が複雑なため、実をいえば、これらの地震はどこが震源なのかはっきりしません。しかも、発生の仕方も震源もいろいろあって、“ここでこうして起きる”ということがなかなか言えないのです」(同)

 やはり、“次”となると、震源や規模は研究者によって見方が異なるというわけか。
 東京を襲う可能性があるのは、首都圏直下型地震だけではない。琉球大学理学部の木村政昭名誉教授も、房総沖の日本海溝付近や伊豆小笠原海溝に地震の“空白域”があり、そこが危ないと指摘している。
 東京湾直下型地震の場合、震源の深い場所で発生するため、大津波の可能性は低いという。しかし、湾岸の工業地帯が何らかの拍子で火災を起こせば、辺りはパニックに陥るだろう。もう“想定外”の言い訳は許されない。