Softbankとauどちらの料金が安い?

2011年10月14日から販売が開始されたAppleの最新iPhone「iPhone 4S」。このモデルから、SoftBankに加えて、新たにKDDIもiPhoneの販売に参入した。ここで気になるのは「SoftBankとKDDI、どちらのiPhoneがより魅力的か」ということではないだろうか。そこでITライフハックでは、全3回にわたりSoftBankとKDDIのiPhone 4Sを徹底的に比較し、読者の皆様に判断材料を提供したい。

第1回の今回は、もっとも気になる「料金」に着目して両社を比較してみよう。SoftBankとKDDIで販売されるiPhone 4Sの端末自体は同型であるが、両社の戦略から販売価格や月々のランニングコストは異なる。もちろん価格だけで優劣が判断されるものではないが、それでも「どれだけコストがかかるか」は、家計に響く問題だけに、大きな判断材料になることは間違い無いだろう。
■ 基礎知識:iPhoneを養うのにかかるコストは?
最初に、携帯電話を購入・維持するために必要となるコストの仕組みを再確認しておこう。

まず端末を購入するために支払う費用が「機種代金」である。機種代金は購入時の一括払いか、分割(2年間、24回の場合が多い)で支払うことができる。

次に携帯電話サービスを利用するためには「基本料金」が必要となる。音声通話をするとそのぶんの「通話料」もかかる。さらにiPhoneなどのスマートフォンでは、「インターネットサービス利用料」「パケット定額料」も必須となる。

このほか、事業者が端末を購入しやすくする、月々の料金から一定額を割り引く「通信料割引」が存在する。カタログに大きく書いてある「実質負担金額」は前述の「機種代金」からこの「通信料割引」を差し引いた後の価格である。ただし実際には「通信料割引」は「機種代金」そのものからは減算されず、それ以外の「通話料」や「パケット定額料」などから差し引かれる。差し引いた結果のマイナス分は割り引かれない。

なお、SoftBankは「基本使用料」が差し引きの対象にならないが、auは対象となる。通信料割引は端末購入から24ヶ月間持続し、その後は割引が消滅する。

以上から、月々の支払額は、端末を一括で購入したときには以下のようになる。

SoftBank:
基本料金 + (通話料 + インターネットサービス利用料 + パケット定額料 - 通信料割引)

au:
(基本料金 + 通話料 + インターネットサービス利用料 + パケット定額料 - 通信料割引)

※カッコ内がマイナスになった時は0に直して計算する

端末を分割で購入した場合には上記金額に加えて端末の分割支払金(機種代金を月割したもの)を支払うことになる。

上記の料金項目のうちSoftBankとKDDIで異なる名称が付けられているものについて、対応を以下に示す。

図1

■ 実質端末価格はau、実際の支払いはSoftBankが安い
それでは上記の料金システムを踏まえて、SoftBankとauのiPhone 4Sを料金の面から比較していこう。まず両社が推奨するプランを比較する。これらはカタログでも大きく記載されており、目にすることが多いだろう。

画像1
両社のカタログに大きく書かれている推奨プラン

このプランにはSoftBankは「バリュープログラム(i)」、KDDIは「ISフラット iPhoneスタートキャンペーン」と名付けられており、両社ともパケット定額料が完全定額(SoftBank「パケットし放題フラット」、au「ISフラット」)になっている。基本料金は午前1時〜午後9時の自社内通話が無料になるプラン(SoftBank「ホワイトプラン(i)」、au「プランZシンプル」)で比較した。通話料は含めていない。

図2

iPhone 4Sでは容量の違いにより価格や料金が変動するが、ここでは32GBに注目して比較する。まず端末価格そのものはSoftBankが57,600円、auが61,680円と、SoftBankの方が安めに設定されている。パケット定額料についてもSoftBank4,410円、au4,980円とSoftBankが安い。さらにauのパケット定額料4,980円は、2012年1月31日までに契約した場合のキャンペーン価格で、キャンペーンが終了すると5,460円になるため差はさらに広がる。

逆にauが安いのは、新規契約時の通信料割引。SoftBankが1,920円に対して2,140円の割引が設定されている。結果、いわゆる「実質端末価格」もSoftBank11,520円、au10,320円とauに軍配が上がる。ただしauが安いのは新規の場合のみで、機種変更の場合は通信料割引が1,750円に減額され、優位性がなくなってしまう点に注意が必要である。

最終的な月々支払で比較すると、端末購入方法にかかわらずSoftBankが安い。端末の料金を分割払いした場合、SoftBankの月々支払額は6,185円となり、auの新規契約(6,705円)との比較では520円、機種変更(7,095円)との比較では910円の差となる。

■ auが200円安くなる「プランF (IS) シンプル」はプラン変更に制限が出る場合も
一方KDDIの場合、完全定額の「ISフラット」以外のパケット定額料を選択すると通信料割引(「毎月割」)が適用されなくなるので、SoftBankのようにパケット定額料を安くするテクニックは使えない。それでも少しでも安くしたい場合、「プランZシンプル」の自社内無料通話を捨てて「プランF (IS) シンプル」(基本使用料780円/月)にすることで、プランZシンプルと比較して月200円支払いを安くすることが可能だ。ただし「プランF (IS) シンプル」と他の料金プランとの間でプラン変更を行うと「ISフラット iPhoneスタートキャンペーン」のパケット定額料割引が解除されてしまうことに注意が必要である。

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「ISフラット iPhoneスタートキャンペーン」の備考に「プランF (IS) シンプル」に関する注意が小さく書かれている

■ 料金はSoftBankに軍配、ならば「通信品質の差」はどうか?
以上、SoftBankとauのiPhone 4Sにまつわる料金を比較してきた。局所的にauが安い項目も存在するが、全体的にはSoftBankがより安い料金でiPhone 4Sを提供しているといっていいだろう。KDDIはこの料金差について「ネットワークなどの品質の差」であることを各所で表明している。実際auのiPhone 4Sカタログには『iPhoneに、もっと「つながり」を。』という挑発的なコピーが示されている。では実際にSoftBankとauのネットワーク品質には料金分の差はあるのだろうか。次回以降で検証してみたい。

画像3
挑発的なauのコピー。料金差に見合った「つながり」を提供できるか?

【特集】iPhone 4S徹底比較
第2回「通信編」:SoftBankとauのiPhone 4Sはどちらが速いのか?通信速度の違いを実測調査
第3回「機能編」:SoftBankとauの「iPhone 4S」、同じ端末なのに使える機能が違う? 購入前に要チェック

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