現在、中国市場へ続々との日本の外食産業が進出している。その中で、ラーメン店を経営する企業、日本の麺類であるうどんを提供する企業も多い。

・株式会社サガミチェーン「上海盛賀美飲有限公司」・株式会社家族亭「上海家族旺餐飲管理有限公司」・株式会社はなまる「花丸餐飲管理(上海)有限公司」

 まだ、店舗オープンには至っていないようですが、丸亀製麺のブランドを持つ、株式会社トリドールも平成23年4月に上海東利多餐飲管理有限公司を設立しているので店舗オープンも間近かと思われます。ここで、現在日本で主流のうどんとは、讃岐うどんと言われる、非常にコシの強いつるっとした食感のうどんである。日本人はラーメンの麺であっても、現状一般的にこのコシとつるみを持った麺をおいしいと評価する人間が非常に多い。

 しかしである。

 中国現地、広く中国各地で中国地元の麺を食された方はお気づきかもしれない。中国本場でうまいラーメンを食べようと意気込んだところで、中国に日本で提供されているようなラーメンという形態の麺類を見つけることはできない。

 例えば、蘭州拉麺と言われる牛肉麺の店を見つけて入ってみると、そこで提供されている麺は、卵やカンスイを使わない、小麦粉を練った麺である。ただ、小麦粉と水、塩等で作られて麺なので、うどんと似ているかというと、うどんとも別モノである。

 そして最大の違いは、日本人がいう麺のコシが非常に弱く、軟らかいことである。中国で面食(麺類)というと、小麦粉で作ったモノ全般になる。

 私が中国の麺類で非常にコシがあると感じるのは、もっちもっちの水餃子の皮ぐらいなもので、中国人が普段食べている麺類は、基本的にコシが強くない。

 だから、日本人が好きなタイプの麺は、中国人は普段食べ慣れていない。

 日本のラーメンは、中国人観光客の増加とともに、ラーメンは日本の食文化、おいしい食事として認識され、経済レベルの高い上海や香港あたりでは、店舗も増えて非常に流行している。

 うどんもその同じ流れに乗って、徐々には日本スタイルのコシの強い、つるっとした食感のうどんも中国市場で浸透していく可能性は十分にある。

 しかしながら、中国全土にいち早く店舗展開をすること考慮するならば、時間のかかる純日本スタイルのうどんを中国人消費者に押し付けるのは、いかがなものか。

 私の独断と偏見であるが、私の中国人観で言えば、中国人の麺類に対する好みは軟らかいのが好きである。

 中国人に友人が多い人はインスタントラーメンのある事実に気付いている人はいないだろうか? それは日本人だとのびた、ふやけたと感じる状態の麺の硬さで、インスタントラーメンを食べる中国人が意外と多いことである。中国人は、極端ではないものの、全般的に軟らかい、歯ごたえがあまりない麺が好みなのである。

 こうした、中国人の好みにマッチするうどんは、大阪うどんである。ダシ、スープのやさしい味で食べる大阪うどんは、病み上がりの胃にやさしいような軟らかさで、歯で噛み切らなくてもツルツルと食べることができる。独特のコシがある讃岐うどんではなく、ふにゃふにゃと軟らかい大阪うどんこそが、中国人一般大衆が好きになるうどんだと私は声を大にして言いたい。(執筆者:戸田大介 提供:中国ビジネスヘッドライン)